公民 第0回 はじめに

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公民の出題形式と対策

1.日本国憲法の条文
 公民前半の単元となる「憲法」・「政治」分野の土台となっているのは,日本国憲法の内容です。つきつめると教科書は日本国憲法の学習といえるでしょう。したがって重要な憲法条文をおぼえておくことが必要となります。
 しかし一字一句完璧におぼえることなどとてもできませんから,空所補充の形式で,条文の流れにそって語句をおぼえていきましょう。憲法条文の空所補充は,そのまま実際の問題で出題される形式でもあります。⇒《基礎編 要点整理:日本国憲法》

2.公民の用語をおぼえる
 日本国憲法の条文とともに最低限おぼえておかなければならない語句・用語はもちろん公民にもあります。ただし歴史ほど多岐にわたって出題されるわけでなく,その数は歴史に比べてずいぶん少なくなっています。基礎編・応用編・発展編へと自分のレベルにあわせて着実におさえていきましょう。

3.正誤文の判断
 公民の問題で差がつきやすく,難しいとされるのが歴史と同様正誤問題です。正解を得るためにはまずは正確な知識が,そしてレベルが上がるほど深い知識が必要になります。問題集などを解いて勉強する際には歴史同様,誤文のどの部分がまちがっているのかを選択肢すべてについて分析するように心がけましょう。(誤文の分析が詳しい問題集ほどよい問題集です。)
 公民の正誤問題を解くためのおぼえるポイントを,いくつかのパターンに分類します。
①語句の説明
 説明されている語句と内容が一致しているか?「~とは・・・ということである。」
②比較
 歴史同様,よく似た事項の共通点と相違点を比較しながらおぼえる。
③数値
 多数決に必要な数,期間(任期・日数),人数,年齢など公民全体にわたってさまざまな数値をおぼえておく必要があります。
④手続きの流れ
 政治的手続きの正しい流れを問う問題が出されます。

4.図版・資料の問題
 問題によって多少の違いはありますが,出題される典型的な図というのがあります。(例えば「三権分立」,「法律ができるまで」など)《基礎編 要点整理:図版・表の整理》を利用して何度も練習すればすぐにものにすることができるでしょう。
 また地理同様,統計資料の出題も多くなっています。統計を理解するポイントをおさえていきましょう。

5.説明問題
 特に公民の問題で独特なのが,現代社会の諸問題(情報社会・消費社会・少子高齢化・社会保障など)について,自分の意見を求められることです。《文章記述問題》の例題で練習し,あらかじめいくつか答えをもっておくことも大切です。
 またテレビやニュース,新聞などを日頃から,少しずつでよいので目にすることが大切です。

6.時事問題
 その年におこった出来事・ニュースを題材につくられる問題が時事問題です。時事問題の出題は,受験する高校によって大きな差があり,毎年詳しく出題する高校もあれば,まったく出題しない高校もあります。各自の受験高校(特に国立・私学)の過去問を早い時期に確認しておくことが大切です。
 受験する年の前年の11月ごろには,入試問題が完成していると考えられますので,さらにさかのぼって,かつ余裕をもち,2年生の10月ごろから,以下の点に取り組むのが理想的です。
・新聞を読む
 「新聞を読め」とはよくいわれますが,なかなか実際に実践している中学生は少ないと思います。新聞を読むときは,二面だけにしぼってもよい。各紙第一面(特に見出し)国際面です。ざっと目を通すだけでもよい。
・テレビ
 テレビでニュース番組をみるのも,中学生にとっては面白くないものですね。夕方のニュース番組はワイドショー的で,夜のニュース番組は放送時間が長く,遅い時間帯や勉強時間帯(?笑)であることが多い。
 短時間で,ポイントだけがまとっまっているニュースとして,BS1(NHK)のBSニュースというのがあります。毎時50分~00分までの10分番組。毎時放送しており,一度見逃しても好きな時間に見られるのがよい。
・スマートフォン
 中学生ぐらいなら,新聞やテレビよりもこちらの方が,気軽かな。
 長時間,余計なことに夢中にならないという自信があるのなら,スマートフォンを使ってニュースサイトを閲覧するのもよいでしょう。これもやはり国内のトップニュースと国際情勢に絞り,自分で閲覧時間も決めておくこと。

 時事問題の語句などをおぼえるのは,入試1ヶ月前(年明け)からでも十分です。社会の勉強の最終段階といってもよいでしょう。このときに役立つアイテムは,
・インターネット(ウェブサイト)
 インターネット上には受験対策として時事問題を取り上げている無料サイトがたくさんあります。「受験 時事問題」で検索して気に入ったサイトを利用しましょう。さかのぼって過去の記録にもアクセスしやすいし,簡単な問題形式になっていることもあります。ただし実践向きの問題が少ないのが難点。
・時事問題対策の問題集
 毎年10月ごろから,時事問題をまとめた問題集が販売されます。問題を実践形式で作成しているものもありますので,ウェブサイトの問題で満足できない人は思い切って購入するとよいでしょう。ただし1冊あたりの価格が1500円~2000円と高額であるのが難点。

・おさえておきたい話題
 問題として出題されやすいのは,自然災害(場所・災害の種類),注目されている新しい法律(改正)・条例(受験生各自の都道府県),選挙(実施された年),外交(条約),国際情勢(各国首脳・首脳会談・紛争・経済情勢),オリンピック(前後の開催地も重要)です。以上の点は特に注意したい。

☆色分けについて

…重要語句
…難語句(各単元)
…語句そのもの以外の大切なポイント(【比較】・【セット】・【説明】・【資料】・【落とし穴】など)
…参照

よく使われる語句を理解しておく

語句  読み  意 味 
可決 かけつ 決定すること。反対語は否決。
過失 かしつ 不注意。
過半数 かはんすう 半数を超えた数。10の過半数は6以上(5が半数。それを超えた数で6)。11の過半数は6以上(5.5が半数。それを超えた数で6)。過半数にはすでに「以上(過)」の意味があるため,「過半数以上」という表現はしない。また過半数と半数(2分の1)以上」とは異なる。半数(2分の1)以上は半数(2分の1)を含むからである。
為替 かわせ  公民では,外国の通貨との交換比率,為替相場(為替レート)を示す。
供給 きょうきゅう  売り手。売り手が売りたい量。 
均衡価格 きんこうかかく 需要と供給が一致したときの価格。均衡価格=市場価格ではあるが,厳密には市場価格=均衡価格ではない。
金融 きんゆう  お金を用立てること。 
採択 さいたく  条約などに賛同する。(まだ効力はない) 
諮問 しもん  意見を求めること。 
市場価格  しじょうかかく  実際の市場で売られている価格。必ずしも均衡価格ではない。
需要 じゅよう  買い手。買い手が買いたい量。
審議 しんぎ 議場(議会)での話し合い。
審理 しんり  裁判で事件の事実関係や法律関係を裁判所が取調べて明らかにすること。 
世帯 せたい  生活を共にしている集団・家族。 
訴訟 そしょう  裁判所に訴えて,問題の解決を求めること。またはその手続き。
貯金 ちょきん  ゆうちょ銀行などに預けるお金。 
貯蓄 ちょちく  金融機関の預貯金,生命保険,株式投資などを含めたもの。 
締結 ていけつ  条約などを結ぶこと。 
投資 とうし  利益を得ることを目的にお金を出すこと。出資したお金は返済されない。 
発議 はつぎ・ほつぎ  議場(議会)で意見や議案を提出すること。発議のあと,審議して多数決をとる。 
批准 ひじゅん 条約を国が最終的に確認・同意すること。
罷免 ひめん 辞めさせること。
法曹 ほうそう  裁判官・弁護士・検察官など。 
融資 ゆうし お金を貸すこと。「ローン」。借り手は出資者に元本返済の義務がある。
預金 よきん 普通銀行に預けるお金。
利子 りし 借りた際に支払うもの。
利息 りそく 貸した際に受け取るもの。