歴史 第0回 はじめに

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歴史の出題形式と対策

 歴史は暗記とよくいわれます。人物・出来事・用語・年代など。用語をおぼえていないとどうしようもない。最低限必要な語句はおぼえるしかない。これは覚悟して下さい。
 しかし何から何まで同列にしておぼえようとするのはまちがっています。用語を丸暗記しても絶対に点数に結びつかないことも確かなのです。
 大切なのは,何事も基礎からはじめ,基礎を定着させる。その上で「おぼえるポイント」をおさえる。

1.時代を区別する
 公立高校の入試問題の歴史で,もっともよく出題される形式の1つは,時代・時期を特定する問題です。「~のころ(時期)の説明文として正しいものをあとから選び,記号で答えなさい。」という形式。言葉だけをおぼえても,それがどの時代に使われる語句かを理解していないと問題が解けません。
 「歴史は語句の暗記だ」という人ほどこれを理解していません。そして解けない原因を暗記力不足にしてしまうんです。
 受験生のほとんどは語句と時代を一致させず,時代の前後関係も無視しておぼえているのです。そして語句は知っていても,おそろしいほど時代や時期が一致しないのです。つまり語句を知っていても,もっとも一般的な問題が解けないのです。
 まずは日本の時代区分とその順序を正確におぼえること。その上である程度,その時代の基準となる人物や出来事をおさえていきましょう。これができないまま細かい語句をおぼえてもまったく使い物になりません。歴史の基礎とは時代を完璧にマスターすることです。

2.歴史用語をおぼえる
 時代を完璧におぼえたら,今度はもう少し細かい語句(出来事や人物など)をおぼえていきましょう。ここでも一問一答形式はおすすめできません。流れのある短文の中で空欄補充の形でおぼえていくのがよいでしょう。問題文には空欄以外にも重要な点が隠れているからです。
 まず基礎編では,公立高校の入試で出題率(出現率)の高い語句をおさえます。応用編では公立高得点と地域の上位私立受験に必要となる語句を,国立・最難関私立をめざす発展編では高校歴史レベルの知識も含めて,理解を深めていきます。

3.正誤文の判断
 「正しい文を選びなさい。」・「誤っている文を選びなさい。」という形式。私立・国立高校の入試問題に多いパターンです。「1.時代を区別する」「2.用語をおぼえる」でおぼえた語句を正しく使えるかどうかが問われます。ここで大切になるのが「おぼえるポイント」です。「コツ」といってもいいでしょう。用語の丸暗記では点数に結びつきません。
 ここで問題を解くための「おぼえるポイント」をいくつかのパターンに分類してみましょう。
①時代・時期
 これが歴史の基礎であることは述べました。もっともよく出るパターンです。語句をおぼえるときは,常にそれが(最低限)何時代のことなのかを意識しながらおぼえること。正誤問題ではまず疑ってかかるべきところです。問題に問われている時代と合っているかどうか。
②比較
 よく似た語句・出来事の共通点と相違点を比較させておぼえる。
③歴史的意義
 歴史ではよく,「最初の~」,「最後の~」という出来事が登場します。これらは歴史的転換点となるのでよく問われます。
④因果関係
 1つの出来事を単独でおぼえるのではなく,一連の流れとしてまとめておぼえておく必要があるもの。
⑤国
 世界の歴史では出来事がおこった国,人物の出身国が重要となります。正誤問題ではそれらの一致・不一致が重要な視点となります。「キリスト教を伝えた人物がザビエルである」ことは重要なことですが,100回おぼえても役に立ちません。「ザビエルがスペイン人」であることがポイントなのです。

 正誤問題の練習では,歴史に限らず,誤文のどの部分がまちがっているかを選択肢すべてにおいて分析することが大切です。特に応用・発展レベルになればなるほど,下手に難易度の高い語句をおぼえる一問一答勉強法より社会の力をつける勉強法となるでしょう。答えだけわかればいいのではない。

4.史料の読み取り
 歴史的文献・絵画・写真・グラフなどさまざまな史料から問題を解きます。都合によってこのホームページで紹介できるものと紹介できないものがありますが,「【史料】」の表示のあるものは一度教科書やインターネット上で確認しておきましょう。
 また歴史上の地名がでてきた場合は,必ず最低限都道府県も一緒におぼえるものだと思って下さい。これも歴史を「おぼえるポイント」の1つです。差が出るところですよ。

☆色分けについて
…重要語句
…難語句(各単元)
…語句そのもの以外の大切なポイント(【時代区分】・【時期】・【流れ】・【比較】・【歴史的意義】・【セット】・【位置】・【説明】・【史料】・【落とし穴】)
…参照

よく使われる語句を理解しておく

 答えとして要求される語句ではありませんが,歴史でよく使用される言葉を理解しておきましょう。もちろんなんとなくでもいいんだけれど,なんとなくもわかっていない人,チンプンカンプンのままスルーしてしまっている人,多いんじゃないかな。私自身,授業をしていて子どもたちが意味のわからないまま問題を解こうとしている姿をよくみかけます。そんな今更,人には聞けない語句です。

語句  読み  意 味 
暗殺 あんさつ 密かに殺すこと。
王朝 おうちょう 主に中国の歴史上の国名(漢字一字)を問うときに使用。「次の説明にあてはまる王朝名を答えなさい。」
革命 かくめい これまでの制度や価値を根本的に変えること。
教皇 きょうこう 法王ともいう。キリスト教カトリックの頂点にあり,神の代理人とされる。カトリック世界の最高位。ローマのバチカン市国に居住するためローマ教皇ともよばれる。
近代化 きんだいか 古い慣習にとらわれず,制度・慣習・様式が科学的・合理的になること。
君主 くんしゅ その国を代表し,統治する人物。(皇帝・王・天皇など)。
皇帝 こうてい 1つの文明圏を支配し,地域の王の上に立つ者。
講和条約 こうわじょうやく 戦争の終結を宣言し,領土・賠償金などについての条件をとりきめる条約。平和条約ともいう。講和会議とはそれを話し合う会議。
主従関係 しゅじゅうかんけい 主と家来の関係。
植民地 しょくみんち ある国によって外交・内政権を奪われた国。
専制 せんせい 支配者が独断で,自らの利益のために政治をおこなうこと。「専制政治」
宣戦 せんせん 戦争の開始を表明すること。
遷都 せんと  都を移すこと。 
即位 そくい 君主(天皇)の位につくこと。
退陣 たいじん 地位を奪われること。
大成 たいせい ある分野で優れた業績をあげること。その分野を確立させること。
調印 ちょういん 条約などに代表者が署名すること。
朝廷 ちょうてい 君主(日本では天皇)を中心とする政府。天皇とほぼ同意義でとらえればよい。
天下 てんか 国全体。「天下統一」
統一 とういつ 周辺諸国(地域)を征服(制覇)して,同一の法のもとに国をまとめあげること。
統制 とうせい 政治の力で言論・経済活動を制限すること。
年号 ねんごう 元号ともいう。日本独自の年・時代の呼び名。「大化」・「承久」・「応仁」・「明治」・「大正」など。
幕府 ばくふ 将軍(征夷大将軍)=武家政権の政府。
服属 ふくぞく 支配されること。
民主化 みんしゅか 政治の決定権(主権)や制度を国民にあたえること。
来日 らいにち 海外の人物が日本を訪れること。
律令 りつりょう 古代の日本(中国にならう)の法制。天皇を中心とした法。律は刑法令は行政法を指す。
流刑・流罪 るけい・るざい 罪人を中央から遠い地(島など)に送る刑罰。「流される」と表現されることもある。

※表のうち,「律令」だけは答えとして問われる可能性がある語句です。

※次の事項・語句はこのサイトで統一して使用している事項・語句です。教科書・参考書など,または問題によっては表記(内容)が異なっている場合がありますので注意して下さい。(歴史的に異論がある場合もあります。)

当サイトでの表記  他の表記 
 聖徳太子 厩戸皇子(うまやどのみこ) 
大和朝廷 大和国家・大和王権・大和政権(または大和をヤマトと表記) 
加羅  加羅地方・伽耶・任那 
1192年 鎌倉幕府 実質的には1185年(第3回発展編で説明)
 エルサレム イェルサレム 
 プロシア プロイセン 
 ベネチア ヴェネチア・ベニス 
 ベルサイユ ヴェルサイユ 
 ワイマール ヴァイマール 
 イスラム イスラーム 
 スンニ派 スンナ派 
 アレキサンダー アレクサンダー・アレクサンドロスなど 
 大阪 大坂 
 渡来人 帰化人