歴史 第1回 時代を区別する

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時代区分

 次の表は日本の時代区分と各時代の最重要事項・人物をまとめたものです。①~⑰は時代区分を〔 1 〕~〔 52 〕は語句・人物を,[ a ]~[ w ]は必ずおぼえておくべき年代を,A~Iは中国の王朝・国を示しています。

日本の時代区分 重 要 事 項 中国
原始 旧石器時代 狩り・採集の生活[約1万年前まで]
縄文時代 狩り・採集の生活[約1万年前から]
弥生時代 〔1.稲作〕の始まり[紀元前4世紀ごろから]→小国の成立
秦・漢・魏

古代
古墳時代 〔2.大和〕朝廷の誕生[a.4世紀ごろ] 南北朝時代
飛鳥時代 〔3.聖徳太子〕の政治
〔4.大化〕の改新[b.645]…中大兄皇子→〔5.天智〕天皇
奈良時代 〔6.平城〕京に都を移す[c.710]
〔7.聖武〕天皇の政治
平安時代 〔8.桓武〕天皇が〔9.平安〕京に都を移す[d.794]
〔10.藤原〕氏の〔11.摂関〕政治
上皇による〔12.院政
〔13.平清盛〕の政治
D

中世
鎌倉時代 〔14.源頼朝〕が鎌倉幕府を開く[e.1192]
〔15.北条〕氏の〔16.執権〕政治
〔17.元寇〕…二度にわたる元の襲来
鎌倉幕府の滅亡[f.1333]
室町時代 前期 
 〔18.後醍醐〕天皇による建武の新政→〔19.南北朝〕時代
 〔20.足利尊氏〕が(室町)幕府を開く
 〔21.足利義満〕…南北朝時代の終結
後期
 〔22.応仁〕の乱[g.1467]→〔23.戦国〕時代  大航海時代・宗教改革
 〔24.鉄砲〕・〔25.キリスト教〕の伝来

近世
安土桃山時代 〔26.織田信長
〔27.豊臣秀吉〕…戦国時代の終結
江戸時代 前期
 〔28.関ヶ原〕の戦い[h.1600]→〔29.徳川家康〕が江戸幕府を開く
 〔30.徳川家光〕の政治→鎖国[i.1639]
中期
 〔31.徳川綱吉〕の政治
 新井白石の政治
 〔32.徳川吉宗〕の政治(享保の改革)
 〔33.田沼意次
 〔34.松平定信〕の政治(寛政の改革)     フランス革命[j.1789]
 〔35.水野忠邦〕の政治(天保の改革)
後期
 〔36.日米和親〕条約[k.1854]→開国(鎖国の終結)
 尊王攘夷運動
 〔37.大政奉還〕[l.1867]…政権を朝廷に返上
近代 明治時代 明治維新
〔38.自由民権〕運動
〔39.日清〕戦争[m.1894]
〔40.日露〕戦争[n.1904]
大正時代 大正デモクラシー
〔41.第一次世界大戦〕[o.1914]
中華民国
昭和時代 戦前:日本
〔42.満州事変〕[p.1931]
〔43.日中〕戦争
〔44.太平洋〕戦争[q.1941]
戦前:世界
〔45.世界恐慌〕[r.1929]
〔46.第二次世界大戦
         [s.1939]
現代 戦後:日本
〔47.GHQ〕による占領[t.1945]
〔48.サンフランシスコ平和〕条約[u.1951]
〔49.高度経済成長〕[v.1960代]
〔50.石油危機〕[w.1973]
戦後:世界 
〔51.冷戦
 I中華人民
共和国
平成時代 〔52.バブル〕経済[~1990代初]

1.日本の時代区分
 まずは日本の時代区分を順に完璧におぼえましょう。これをおぼえずして次に進むことなかれ。歴史の最大の基礎です。
 時代区分の中でも,表左端の区分は,日本の時代をもっと大きい単位でわけたものです。

2.各時代の基本事項
 表中の基本事項は,その時代を特徴づけるキーワードとなる出来事や人物です。時代によっては「前期」・「後期」などを区別しておく必要もあります。上の表だけで〔  〕は52個。最初の52個ぐらいで悲鳴をあげている場合ではありません。これが基礎です。人間の体でいうと骨格の部分。逆に骨格がしっかりしておれば,たくさんの肉付けは必要ありません。みんな肉になる部分からたくさん栄養補給しようとするから,大変だし,身につかないんだね。

3.年代
 ある出来事が何年におこったか?それらをいちいち細かくおぼえる必要はありません。実際に問題で「何年ですか。」と問われることは非常に少ないのです。しかし表中にある年代は必ずおぼえるようにしましょう。時代の基準となる年,問題を解くために必要となる年です。
a.4世紀ごろ
 古墳時代,つまり大和朝廷が成立したとされる世紀です。大和朝廷は日本が最初に国家としてまとまりをみせたものです。日本という国が成立した世紀として重要です【歴史的意義】
 するとおよそ3世紀までは弥生時代と考えることができます。それ以前の旧石器時代・縄文時代・弥生時代のはじまりがいつごろのことなのかをおぼえる必要はまったくありませんが,弥生時代がいつごろまでかは重要です。みなさんがよくまちがえる問題の1つに「邪馬台国」は何時代のことがらかという問題があります。「邪馬台国」と「大和朝廷」は語感はよく似ていますがまったく別物で,「邪馬台国」は弥生時代後期(3世紀)の小国の1つです。弥生時代と古墳時代の区別をつけるため,大和政権の4世紀をしっかりおぼえておく必要があるのです。
b.645年
 645年は日本で年号が使用された最初の年です。その名も「大化」です。【歴史的意義】大化の改新(中大兄皇子=天智天皇)自体も入試での出題率が非常に高い。そしてこの出来事がおこる前の聖徳太子の政治は7世紀前半だということも,これを基準に理解できます。
c.710年,d.794年
 奈良時代,平安時代の最初の年です。それぞれ平城京(奈良),平安京(京都)に都が置かれた年です。有名なゴロあわせがありますね。「なんと(710)みごとな平城京」「鳴くよ(794)ウグイス平安京」。わたしは「泣くよ(794)坊さん平安京」といってます。(奈良の都のお坊さんが置き去りにされたから)したがって8世紀=奈良時代と理解しておくこと。
e.1192年
 最近は1185年を鎌倉時代のはじまりとしていますが,源頼朝が征夷大将軍となったのは1192年なので,無理に1185年としなくても,鎌倉時代は「1192年」からと考えてもかまいません。これぞ年代のゴロあわせといわれる「いい国(1192)つくろう,鎌倉幕府」ですね。これでおぼえればよろしい。
f.1333年
 なぜ次の時代のはじまりの年代ではなく,鎌倉時代の終わり(鎌倉幕府滅亡)の年をおぼえるのがよいかというと,「1333」の方がおぼえやすいからです。「3」が「3つ」。おぼえやすいでしょ。「サンザン(3・3)な結果,鎌倉幕府」とでもおぼましょう。
 すると翌年から室町時代だということも理解できます。正確には次の幕府が開かれるまで微妙なズレがあり,その間はやや混乱した時期になるので,時代の区切りとしては「1333年」の方が好ましい。
g.1467年
 室町時代は,その時代の特徴から前半と後半にわかれます。前半は京都と奈良に天皇(朝廷)が並び立った南北朝時代とこれをまとめた足利義満の政治,そして後半が下剋上の世となった戦国時代です。これを区別する明確な年代と事件が1467年の応仁の乱です。この数字は非常におぼえにくいですが,「人(1)世(4),む(6)な(7)しい応仁の乱」とでもおぼえれば簡単です。
h.1600年
 江戸幕府の成立は1603年ですが,中途半端ですので「1600」をおぼえておいた方が楽チンです。関ヶ原の戦いは,徳川家康が政権をにぎるきっかけとなった戦いですし,その前に登場した織田信長・豊臣秀吉が16世紀後半の人物であることも理解できます。
i.1639年,k.1854年
 鎖国は江戸幕府260年を支えた制度です。鎖国の始まりと終わり(開国)の年をしっかりとおぼえておきましょう。鎖国は「さ(3)こく(9)」とおぼえておくとよいでしょう。開国の「(1)854」は「85」・「4」で「85=ハコ(ダテ)」・「4=シ(モダ)」の開港地(函館・下田)を連想させておぼえます。
j.1789年
 フランス革命の年です。世界の歴史の中でも最・最・最重要事項の1つです。このころには世界でも重要な出来事がいくつかおこっていますが,年代をおぼえておくのはこれだけでよい。これだけでよいから逆に絶対に忘れてはいけません。実はおぼえやすいんです,これ。「7・8・9」とつづき番号になっているでしょ。この「1789年」を使って,いろいろな年代や時期を導くことができるのです。(詳細はのちほど)
 例えば応用編ではフランス革命と松平定信の寛政の改革がほぼ同時期の出来事であることが重要となってきます。よく出る「日本が~のころ,世界では?(または逆)」というパターンの問題ですね。これは寛政の改革の年代をおぼえるのではなく,フランス革命の年代をおぼえておく方がずっと楽です。
 また江戸時代中期では年代はいっさい必要ありません。ここはどの人物がどの順で登場するかをしっかりとおぼえておく。たいてい時期や順序を問われますからそれで充分なんです。(何をやったかという内容については応用編)徳川綱吉・新井白石・徳川吉宗・田沼意次・松平定信・水野忠邦の順で6名。大変ですが名前を正確におぼえて,順番は頭文字をとって「つ・(あ)らい・よ・た・ま・み」→「辛いよ!タマミ」とおぼえましょう。
l.1867年
 江戸時代最後(大政奉還)の年ですね。それと同時に鎌倉時代以降続いた武家政権最後の年でもあります。「イ(1)・バ(8)・ル(6)・ナ(7)将軍=威張るな将軍」とでもおぼえましょう。
 時代の区切れとなる年です。【歴史的意義】しかしこれは次の明治時代の最初の年(明治元年)の「1868」をおぼえてもかまいません。どちらにしろ,時代が大きく変わった年です。
m~u
 ここから歴史は複雑になってきます。日本と世界と両方意識しなければなりません。その歴史は主として戦争を軸に進んでいきます。20世紀は戦争の世紀ともいわれるのです。しかし年代として最重要となるのは「1894年」,日清戦争の年です。こいつは命がけでおぼえて下さい。こいつをおぼえてしまうと随分この先楽になりますよ。簡単に図にしておぼえるべき重要事項をまとめますが,頭に入れておいてほしいのが「10年の法則」というものです。歴史は戦争を中心に10年の周期で動いている。あとはこれから学ぶ出来事がどの戦争に関連深いかをおさえればよい。


v.1960年代,w.1973年
 戦後の歴史でおさえておかなければならない最重要事項の1つ高度経済成長に関する年代。1960年代といえば高度経済成長,高度経済成長といえば1960年代とすぐに出てくるようにしておきましょう。この高度経済成長が終結したのが,1973年の石油危機。1つの区切り,転換点となった年です。

4.中国の王朝
 中国の王朝名(国名)は基本的に漢字一字で表され,それ自体が国名であるとともに,日本の時代と同様にあつかわれます。(前漢・後漢のように同じ王朝でも特に時期で区別したり,同名の国名がある場合に混同をさけるため,魏や北魏などの表現法もあります。)かつて中国は東アジア文明の中心であったことから,周辺国は中国に敬意を表して,国名を漢字一字を使用せず,漢字二字で表しました。日本とか朝鮮とかが代表例です。
 その中国の王朝は,それ単独よりも日本との関わりについて出題されます。日本のどの人物またはどの出来事と中国のどの王朝が,どのように関わっているか?詳しくはこれから学びますが,まずはここで日本の時代区分と同様に王朝を順におぼえていきましょう。これも必須事項です。