地理 第2回 地形 基礎編
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地形の基礎
※この単元に出てくる個々の地形の位置とその説明はすべて<要点整理>にまとめてあります。必要な方は<要点整理>の入手をお願いします。
地形の単元です。「~山脈(山地)」とか「~平野」とか「~川」などのことですね。といっても教科書や参考書に掲載されている地形はピンからキリまで様々。どれをどれだけおぼえてえておけばいいのか悩むところです。
基本的な地形名はおぼえるしかないのですが,単なる丸暗記は意味がない。「なぜその地形が問われるのか」,「なぜその地形をおぼえてえておかないといけないのか」,「出題の形式の特徴は何なのか」をしっかり理解しましょう。そうすればおぼえなければならない地形の量はずいぶんしぼられます。
※学校の定期テストなどで出題される地形は,教科書・資料集・ノートなどで先生方に指示された地形を優先しましょう。
1.山地形
陸地は当然まっ平らではありませんので,あちこち凸凹しています。それをざっくり区別すると山地と平地です。まぁ陸地のうちこんもり盛り上がった一帯を山地というのですが,どうしてこんもり盛り上がったか,簡単にいうと地球の内部の活動によってです。これを地球の造山活動というのですが,その活動が活発なところが大きく影響を受けて地表が盛り上がります。
活動が活発なときは山地・山脈はどんどん成長していきます。標高は高くなり,表情は険しく,成長期の若者って感じですね。しかし行くところまで行くと山も歳をとります。老化現象があらわれるのです。老化をもたらすものは,雨や風など今度は地表の外側の力(侵食)によるものです。どんどん山肌が削りとられ,背が低くなり,なだらかになる。さらに時間が経つと山の存在すらなくなって地面は平坦な土地になってゆく。
われわれが住んでいる地表も人間と同じように成長期→老年期→死という一生を経る。山地として死を迎えた平地はまた内部の活動によって盛り上げられ新たな一生を繰り返す。輪廻転生ですね。
そこで大切なポイント。現時点からみて高く険しい山地・山脈は,若い=新しい山地・山脈ということ。これを新期造山帯といいます。一方低くなだらかな山地・山脈は,年老いた=古い山地・山脈。これを古期造山帯といいます。ここではあまり用語にこだわる必要はありません。山地には新しい山地と古い山地があり,テストでは新しい山地には「高く険しい」,古い山地には「低くなだらか」という説明が必ずついてくるということ。また新しい山地には現在の地球上2つの流れしかないので,この2つをしっかりおぼえておくこと。以上の点をまずまとめるとこうなります。
☆山地の種類
新しい山地(新期造山帯)=高く険しい…アルプス・ヒマラヤ造山帯 環太平洋造山帯
古い山地(古期造山帯)=低くなだらか…上記以外の山地・山脈
※造山帯は「山系」・「山地帯」という表記もあります。
①アルプス・ヒマラヤ造山帯
西から順に,インドネシアからはじまって,ヒマラヤ山脈とヨーロッパのアルプス山脈へとつながります。注意することはインドネシアは特に「~山脈」という山脈は必要ありませんが,たくさんの島から成り立っていますね。この多くの島々も地球内部の造山活動による地震や噴火によって形成されたので,造山帯の一部に入ります。新期造山帯の説明には「火山活動」とか「地震が多い」とか「温泉」などの語句が使われることが多い。
②環太平洋造山帯
太平洋を囲む造山帯ですが,太平洋を挟んで東側に大山脈,西側に島々というのが特徴です。反時計回りにアンデス山脈,ロッキー山脈,日本列島,台湾,フィリピン,ニュージーランド,そして南極大陸で一周します。特にニュージーランドの説明には「火山・地震」という語句をよく使ってくる。
ここで重要な点は2つの造山帯は,オーストラリア大陸を避けているという点です。この点をしっかりおさえておいて下さい。後で重要な意味をもってきます。
③古期造山帯
アルプス・ヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯に含まれない山地・山脈は基本的に古期造山帯,つまり「低くなだらかな」とおぼえてもらって結構です。「古期造山帯」の語句はともかく「古い山」とだけでもおぼえておいて下さい。代表的な山脈にはアパラチア山脈(アメリカ),オーストラリア東部の山脈があります。さらにはロシアのウラル山脈ぐらいをおぼえておけば十分です。
④造山帯をしっかり覚えておく理由
新期造山帯は地理の授業で,ただその特徴だけの説明を聞いておぼえさせられた。という人がほとんどでしょう。しかしこれをただおぼえるだけではもったいない。実はこれをおぼえることで,すばらしいオマケがついてくる。ほんとにお得ですよ。
それはね,資源の分布です。高校入試でもっともよく問われる鉱産資源は「石油」・「石炭」・「鉄鉱石」の3つ,資源御三家です。社会の点数を確実に上げるために落とせないところです。その分布が造山帯をおぼえることで,そのままわかるのです。
例外があることを前提にして,およそ次のようなことがいえます。⇒《第7回 鉱工業》
☆主な資源の分布
新期造山帯=石油
古期造山帯=石炭
造山帯なし=鉄鉱石
2.日本の山地・山脈
①日本アルプス
日本の屋根ともいわれ,日本で標高がもっとも高い地域です。北アルプス・中央アルプス・南アルプスと南北にたてに並んでいて,それぞれ飛驒山脈・木曽山脈・赤石山脈を指します。この3つの山脈は日本地理でもっともよく出題される山脈なので是非おぼえておきたい。ただし3つの山脈は必ず北から順にセットでおぼえて下さい。(南からでもよい)バラバラにおぼえたのでは,点に結びつきません。並びの順を問われるなど,3つがセットで意味をもつ問いが多い。
②中国山地と四国山地
この2つの山地の名称はそれほど難しくありませんね。それぞれの地方の名称と同じです。よく瀬戸内海の気候を説明するためなど断面図を用いることがありますが,大切なことは中国山地の方が低くなだらかで四国山地は高く険しいと,2つを比較しておぼえておきましょう。
③奥羽山脈
読み方は「おうう」と「う」が2つです。奥羽山脈は東北地方を背骨のように走り,太平洋側と日本海側にわける山脈です。東北地方は太平洋側と日本海側で大きく気候が異なり,産業にも大きな影響を与えます。のちのちそれを理解するため,この山脈は重要となります。
3.河川
①「最も~」河川
入試ではおなじみの問題です。世界最長の河川はナイル川,日本最長の河川は信濃川。流域面積が世界最大の河川はアマゾン川,日本最大の河川は利根川。迷ったら「ながい川」には,「な」がつくとおぼえましょう。「ナイル川」・「しなの川」は「ながい川」。
②日本の河川の特徴
よく問われる問題です。使われる資料が縦軸に標高,横軸に河川の長さをとって世界と日本の河川を比較している。日本の河川は短く,標高が高いところから流れているので「世界の河川に比べて流れが急である。」というのが,日本の河川の特徴を説明する答えです。
③河川がつくる地形
河川が上流の土砂を運び,その土砂が下流に堆積して形成される地形です。河川の河口部(主に平野)にみられる三角州や盆地にみられる扇状地などがあります。
基本的に世界では平野・盆地名はほとんど出題されません。一方,日本ではいくつか重要な平野・盆地はおさえなければなりません。そのときに大切なことは,必ず河川と平野・盆地をセットでおぼえるということです。これをばらばらにしてしまうと点数には結びつかないし,労力も増える。
4.海岸地形
①リアス式海岸(リアス海岸)
複雑な海岸線の代表例です。海に面した山地の谷が沈んだり,海面が上昇したことで谷に海水が入り込んで深い入り江が形成されました。
リアスとはスペイン語です。もともと「湾」を意味しますが,スペイン北西部では入り組んだ海岸線がみられ,多くの入り江があり,この一帯をリアスといったところからきています。しかしリアス海岸が世界の問題で問われることはまずありません。必ず日本の問題です。
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スペイン西部コスタ・デ・リアス 港町ヴィーゴ
入り江の中は波がおだやかなので日本同様養殖の筏が浮かぶ。
山地が海にまでせまっている。 |
(1)日本のリアス海岸の代表例
長崎県,大分県,愛媛県,志摩半島,若狭湾,三陸海岸ぐらいをおぼえておけば十分です。
(2)リアス海岸の長所
深い入り江の中は波が穏やかなので,天然の良港となります。特に漁港や養殖に向いています。
(3)リアス海岸の短所
山地が海にまでせまっているので,陸上交通を整えるのが難しく,不便です。都市や町もつくりづらく,生活が可能なのは湾に面した谷間だけです。また地震による津波は湾の奥にいくほど高くなるため,集落は大きな被害を受けやすい。われわれ日本人は東日本大震災で経験しています。
※「リアス式海岸」は近年,式がとれて「リアス海岸」と表記されるようになりました。これは研究者の間では「リアス海岸」と使用されているという大人の理由です。みなさんは「式」をつけてもつけなくてもテストでは○をもらえるので,どちらで答えても結構です。「帝国書院」さんのお墨付きもあります。
②フィヨルド
リアス海岸と同様,複雑な海岸線です。しかし形成する入り江の深さはリアス海岸の比ではありません。内陸に200km入り込んだところもあります。
フィヨルドももともとは深い谷でした。その谷を形成したのは氷河です。氷河を氷の塊だとおもっている人,違うんですよ。「河」と書くぐらいですから,流れているんです。水と違って非常にゆっくりですけど。そのときに地面も削ってしまう。深く深く。さらにそこに海水が浸入して(海面が上昇するなど),フィヨルドができあがります。そこでテストでは必ず「氷河の侵食によってできた」という意味のことが書かれています。「氷」という文字をよくみて下さい。「フ」という文字が中に隠れていますね。思い出せなかったら字をよくみる。
代表的なフィヨルドはノルウェーの海岸線です。だいたいの問題はノルウェーを例に出しているので,これだけおぼえておけばよい。
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ノルウェーのソグネフィヨルド
川や湖ではありません。海です。 |
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