地理 第6回 農林水産業   基礎編2 日本の農業

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日本の農業

1.稲作
 稲作=米作りは日本の農業の中心です。まずは稲作からみていきましょう。

[グラフ:基礎編6-4 日本国勢図会2024/25より 2023年]
【例題1】次の表は,日本の農業総生産額の構成比の変化を示している。ア~エは米・野菜・果実・工芸農作物のいずれかである。米にあてはまるものを選び,記号で答えなさい。

種別 1970(%) 1985(%) 2000(%) 2022(%)
畜産物 25.9 28 26.9 38.5
8.5 8.1 8.9 10.3
15.9 18.1 23.2 24.8
4.4 4.4 3.7 1.7
37.9 32.9 25.4 15.7
その他 7.4 8.5 11.9 9.0
総額(億円) 46643 116295 91295 90015

[表:基礎編6-5 日本国勢図会2024/25より]
 この表にある米・野菜・果実・工芸農作物・畜産物がこれから日本の農業の基礎編でみていくことになるテーマです。そのうち上の円グラフ・自給率(後出)・生産額(【例題1】)いずれをみても日本の農業は米作りが中心であることがわかります。
 問題で与えられた選択肢は「米・野菜・果実・工芸農作物」ですが,このような問題の場合,「米」以外のものが問われる可能性は極めて低い。それは他のものを答えさせる意味がないからです。例えば「果実を答えなさい。」と問われて答えられる人はめったにいない。もしいるならそれはよほど勉強している人か,逆に問題自体が奇問としかいいようがない。
 一見,たくさんの数字が並んでいて,数字だけがながめればちょっと困りそうな問題ですが,「米を答えなさい。」と問われた段階で,この問題は「米だから割合の高いものを選べばいいんだ。」と判断すればよい。ただしあまりに素直に答えすぎるとまちがうおそれがある。例えば,現在(2022年)の割合だけをみて,と飛びついてはいけません。このあたりがクイズと社会科という教科の問題の違いです。クイズ感覚で問題を答えてはいけません。ちゃんとこの表は「変化」を示しているのです。きっちりと1970年~2022年までをみて判断しましょう。
 そうするとどの年においても一貫して割合の高いものがあります。畜産物とがそうです。あらかじめ畜産物を選択肢から外しているのもポイントです。(そうでないと問題が解きにくい)
答え:エ

今度は同じ表(項目は入れ替えて)で別の角度から問題を解いてみましょう。

【例題2】次の表は,日本の農業生産額の構成比の変化を示している。この表を正しく読み取っている文を選び,記号で答えなさい。[表:基礎編6-5に同じ]

種別 1970(%) 1985(%) 2000(%) 2020%)
37.9 32.9 25.4 18.4
野菜 15.9 18.1 23.2 25.2
果実 8.5 8.1 8.9 9.8
工芸農作物 4.4 4.4 3.7 1.7
畜産物 25.9 28 26.9 36.2
総額(億円) 46643 116295 91295 89370

ア.1970年と2020年を比較すると,すべての種別の農業生産額にしめる割合が増加している。
イ.1970年と2000年を比較すると,2000年の米の生産額は減少している。
ウ.1985年の果実の生産額は2020年の果実の生産額より少ない。
エ.1985年と2000年を比較すると,農業生産額に占める割合と生産額がともに増加しているのは野菜だけである。


 公立高校の入試問題でよく出る資料を正しく読み取る問題です。中でも注意しなければならない割合と額(量)の問題。
 は割合を比較するだけなので,1970年と2020年の表の数値だけを比較すればよい。米と工芸農作物の割合は減少しているので×。
 は生産額の比較です。米の生産額は〔総生産額×米の生産割合÷100〕で求めなければなりません。1970年の米の生産額は〔46643×37.9÷100≒17678(億円)〕,2000年の米の生産額は〔91295×25.4÷100≒23189(億円)〕なので生産額は増加しています。よって×
 ※計算は上二桁の概数を使うともっと簡単になります。1970年の米の生産量は約4700×380÷100としてもよい。以下の計算も同じ。⇒《地理第0回 応用編》
 も額を比較しなければなりません。1985年の果実の生産額は〔116295×8.1÷100≒9420(億円)〕,2020年の果実の生産額は〔89370×9.8÷100≒8758(億円)〕なので1985年の果実の生産額の方が多い。よって×。
 は割合・生産額とも比較しなければなりません。まず1985年と2000年の農業生産額に占める割合が増加しているのは野菜と果実の2つだけ。それぞれの生産額を計算すると,
 野菜:1985年〔116295×18.1÷100≒21049(億円)〕 2000年〔91295×23.2÷100≒21180(億円)〕→増加
 果実:1985年〔116295×8.1÷100≒9420(億円)〕 2000年〔91295×8.9÷100≒8125(億円)〕→減少
したがって,野菜だけが割合・生産額ともに増加しているので○
答え:エ

①稲作の歴史
 日本の稲作の歴史は弥生時代からです。このことは最重要事項の1つです。だいたい紀元前4世紀ぐらいから大陸(中国・朝鮮半島)から伝えられたようです。現在では品種改良によって寒い地方でもたくさん作られていますが,米はもともと暖かく雨の多い地方の作物なので,弥生時代には北海道までは稲作は浸透しなかった。東北地方までがせいぜい稲作がおこなわれた地域です。
 当時の稲作文化を物語る道具類として「石包丁(稲の穂首を刈る)」,「田げた(水田での作業を容易にする履物),「鉄器(武器とともに)」,「高床倉庫(貯蔵施設)」などがあります。必ず写真を資料集などで確認しておきましょう。また祭器として用いられた青銅器,中でも日本独自の形といわれる銅鐸には杵と臼を使った脱穀の様子が描かれているのもあります。よく資料問題で出題されます。
 日本の歴史はこの稲作のもとに歩んできた歴史でした。農作業のために人は集団化し,土地をめぐり争いも繰り返してきた。まずは小さなムラからはじまり,大きなムラへ。大きなムラから小さなクニへ。集団が集団を吸収してそのたびにリーダーも代わり,やがて大きな国へと発展する。これが大和王権(朝廷・国家)というもので,大王(おおきみ)とはいわば稲作社会を束ねるリーダーです。11月23日は現在では勤労感謝の日という祝日ですが,もともとは新嘗祭(にいなめさい)という収穫祭です。この時期,大王の子孫である天皇は五穀豊穣を神に感謝し,祈る儀式を今でも続けています。「天皇は日本国の象徴であり,日本国民統合の象徴である【憲法第1条】」とありますが,その「天皇」・「日本国民」の根底には稲作を中心とした農耕文化があるのです。
 以後「公地公民」・「荘園」・「大名」・「年貢」といったそののちの日本の歴史の各時代を特徴づける言葉がでてきますが,これらはすべて「土地=農業」を意味する言葉から成り,日本の江戸時代までの歴史は土地・収穫をめぐる歴史でした。「名」を「な」ではなく「みょう」と読むとき,それは土地を表しており,領主である「大名」とは「大きな土地の主」を意味していたのです。他の世界のように信仰や交易(商業)をめぐって歴史が展開していくことはめったにありませんでした。日本(人)という国(民族)にとって農業=稲作は切っても切り離せない関係にあるのです。

②水田って???
 ところで稲作(米作り)はどんなところでやります?「水田(たんぼ)」ですよね。水を入れた畑で栽培しますね。そんなところで作る作物は他にはちょっとみあたらないぐらい,冷静になって考えれば変な作り方をしますね。もちろん水を入れずに作る米もある。「水稲(すいとう)」に対して「陸稲」といい「りくとう」または「おかぼ」と読みます。他の作物同様水を入れなくても育つはずなのに,わざわざ水を引いて,水を入れる。入れた水を外に逃がさないようにするためには囲いが必要です。これを「あぜ(畔・畦)」といいますが,そんなものも整備してやらなければならない。手間がかかりますね。しかし栽培しているほとんどの米は「水稲」です。なぜか考えたことはありますか?
 理由には大きく2つあります。というか一石二鳥です。まず第一に,水を入れたり抜いたりすることで土地の栄養分を補給することができるという点。同じ土地で同じ作物を作り続ける(連作)と土地がやせて収穫量が落ちてきます。だから普通は何度か同じ作物を作ったらその土地は一度休ませてやらなければならない。ところが稲作は弥生時代から2000年以上作りつづけられています。毎年水を入れることで耕地の栄養補給(窒素・リン・カリウムなど)をし,土地がやせるのを防いでいるからです。日本は土地が狭く山がちで有効活用できる耕地が少ない。狭い耕地を最大限に活用するにはもってこいの方法です。
 理由の第二は,稲が育つ気候にあります。これまで何度も出てきたように,稲作は高温多雨の気候でおこなわれます。よく考えてみて下さい。高温多雨は何も稲だけが喜ぶ気候ではありません。稲以外の植物にとっても絶好の気候です。つまり稲以外に雑草もたくましく育ってしまうのです。そこで雑草対策のために水入れをしてやるのです。稲は寒さに弱く,雑草に弱く,病害虫に弱い。そんな作物を丁寧に手間ヒマかけて大切に育てているんです。
 では稲作の過程を順に追ってみましょう。
(1)田おこし
 まずは準備段階,春になると田んぼの土を掘り起こしてやります。こうして暖かくなってきて芽を出した雑草を粉砕してやる。「うりゃー」って感じ。平安時代後期からこの作業は牛馬を使っておこないました。(牛馬耕)江戸時代には「備中ぐわ」という刃先が三又になっているくわです。この資料はめちゃくちゃよく出る。
 またそれと同時に土に空気を入れてやるという意味もあります。
(2)代かき
 いよいよ水入れです。田んぼに水を入れて土とまぜ,ドロドロの状態を作りだす。これも雑草イジメ。
(3)田植え
 ここんところも日本の稲作の特徴です。日本では田んぼに直接種をまくということはしない。ある程度大切に別のところで育てた「苗」を植えます。これはこれまでに生き残った雑草との成長格差をつけるためです。アメリカなんかでは水田に飛行機から無造作に種をまきます。
(4)水入れ
 今度は本格的に水を入れます。水浸しです。雑草を水攻めするのです。
(5)水抜き(水落とし)
 君たちは真夏の田んぼを見たことはありますか?よく観察してみましょう。このころの田んぼには水がない。雑草にもいろいろ,水好きな雑草もいます。今度は水好きな雑草をやっつける。

 水田をつくるためには水が豊富に得られるところ,川の流域がいいですね。川は高いところから低いところへ流れていきますから高地よりも低地が水を引きやすい。そうすると水もちがよい,三角州が形成される平野が最適です。山がちなところでも水さえうまく引ければ斜面に棚田をつくるという方法もあります。以下が日本の重要な稲作平野です。

 上の地図で名前が書かれている平野は特によく出題される平野ですから,平野名もおぼえておきましょう。そのとき大切なのは河川名をセットでおぼえること。これらの平野は河川によって形成された平野だからです。切り離しておぼえてはダメ。
 また稲作と対照的に畑作(米以外の作物)がさかんな場所もおさえておきましょう。当然のことながら重なることはありません。稲作と畑作では土地の特徴が正反対。畑作地の特徴は畑作のところで。

③米に関する統計
(1)食料自給率
 自給率に関する問題は農業だけでなく,日本の産業ではよく出題される問題です。「国内で消費される量に占める国内生産量の割合」です。「A(全体)に占めるB(一部)の割合」ですから「B(一部)÷A(全体)×100」で求まる。したがって「自給率(%)=国内生産量÷国内消費量×100」。だから
 A(国内消費量)=B(国内生産量)→自給率は100%(余りも不足もなし)
 A(国内消費量)>B(国内生産量)→自給率は100%未満(一部輸入しなければ足りない)
 A(国内消費量)<B(国内生産量)→自給率は100%以上(余るので貯蔵するか輸出が可能)

つまり
 自給率が低いと輸入に頼る量が増える。
 自給率が高いと輸入に頼る量が減る。

といえる。これが基本的な自給率の見方です。自給率からその国の農業の特徴が見えてくる。日本の食料自給率に入る前に世界の主な国の食料自給率(%)をみてみましょう。

主な国の食料自給率

国名 穀類 食用穀物 いも類 豆類 野菜類 果実類 肉類 卵類 牛乳・乳製品 魚介類
フランス 187 183 138 79 68 64 102 98 104 29
ドイツ 101 114 124 13 41 31 120 70 106 27
イタリア 61 72 55 39 151 104 91 99 86 17
イギリス 97 94 89 53 42 12 75 94 89 54
アメリカ 116 167 102 172 84 61 114 104 101 89
カナダ 185 327 138 314 59 24 139 91 95 297
オーストラリア 181 191 92 198 93 103 166 98 106 82

[表:基礎編6-6 データブックオブ・ザ・ワールド2024より 2019年]
 フランスは農業国の代表例でした。「EU最大の農業国」がフランスの代名詞。全体的に高い自給率であることがわかります。同様にアメリカ(その下のカナダ・オーストラリアも同様)も「世界の食料庫」とよばれ,自給率が非常に高い。両国とも農産物を輸出して利益を得ています。
 一方,イタリアは地中海式農業がさかんな国です。穀物栽培もおこなっていますが,どちらかというと暖かい気候を利用した果樹栽培がさかん。果樹や野菜はたくさんとれる。逆にイギリスはヨーロッパの北方にある国ですから,果樹栽培・野菜栽培にはあまり向いていません。
 このように世界各国の農業の特徴が自給率から読み取れます。では日本はどうでしょうか?次は日本の食料自給率(%)です。

日本の自給率の推移

年度 供給熱量 小麦 大豆 野菜 果実 肉類 鶏卵
1960 79 102 39 28 100 100 91 101
1980 53 100 10 4 97 81 81 98
2000 40 95 11 5 81 44 52 95
2010 39 97 9 6 81 38 56 96
2022 38 99 15 6 79 39 53 97

[表:基礎編6-7 日本国勢図会2024/25より]
 基礎編では自給率の高いグループと低いグループにわけておさえておくことが大事です。自給率が高いものとして米・野菜・卵低いものとして小麦・豆(特に大豆)とおぼえておきましょう。
 さすがに日本は稲作が中心ですから米は非常に高い。野菜や卵は新鮮さが大事ですから,作物の性質上国内でがんばって作るのが望ましい。
 日本の気候は小麦栽培にあまり適していませんから,輸入に頼らざるを得ない。それよりも低いのが大豆です。小麦・大豆の自給率の低さは特によく出題されますから要注意です。自給率が非常に低いということは,その多くは輸入に頼っているわけで,両方とも輸入先1位はアメリカです。小麦の輸入先の統計はよく出る統計の1つです。上位3ヶ国でほぼ輸入量の100%を占めますから,これは必ず順に3つおぼえる必要があります。アメリカを含めてどこを抜かれてもおかしくありません。アメリカ・カナダ・オーストラリアの順で,最初の「アメリカ」・「カナダ」はしりとりになっています。

[グラフ:基礎編6-8 日本国勢図会2024/25より 2023年]

(2)米の産地

米の収穫[表:基礎編6-9 日本国勢図会2024/25より 2023年]

都道府県別   地方別   品種別
新潟 8.3 東北 27.7 コシヒカリ 33.4
北海道 7.5 関東・東山 18.2 ひとめぼれ 8.5
秋田 6.4 北陸 14.2 ヒノヒカリ 8.1
山形 5.0 九州 10.1 あきたこまち 6.7
宮城 4.8 北海道 7.5 ななつぼし 3.2
福島 4.6 中国 6.7 はえぬき 2.9
茨城 4.4 近畿 6.6 まっしぐら 2.4
栃木 4.0 東海 6.0 キヌヒカリ 1.9
 四国 2.9 【令和4年産水稲うるち米】  
       全国 7165千t        

[※品種別は米穀安定供給確保支援機構による]
 都道府県別にみると新潟と北海道
が多い。これは割合が微妙なので1位・2位の順位は気にせず,この2県・道をセットでおぼえておいた方がよいでしょう。しかし私ならどちらを問う問題を出すと思います?「新潟」です。理由はこの年度の収穫量がトップだからでなく,「新潟」という漢字が書けない人が多いからです。「新潟」を書けずに点を落とすことは非常に痛い。
 地方別にみるとどうでしょう。新潟が属する「北陸」でも,北海道でもありません。東北地方が一番多い。これは都道府県別の新潟・北海道をおぼえるより大切だと思って下さい。しかも全国の約4分の1(約25%)という数字もおぼえておきましょう。
 品種別でみるとコシヒカリがダントツ。中でも魚沼産コシヒカリがおいしくて大人気。

 米の統計では以上の基礎的知識を身につけておきましょう。このあたりの理由については応用編で詳しくお話します。

2.畑作
①北海道が1位の作物

小麦の生産

都道府県(2023年)
北海道 65.5
福岡 6.4
佐賀 4.7
愛知 3.1
三重 2.4

豆類の生産

大豆(2022) 小豆(2022) いんげん(2022)
北海道 44.9 北海道 99.3 北海道 94.8
その他 55.1 その他 0.7 その他 5.2

根菜の生産地

にんじん(2022) たまねぎ(2022) ばれしいしょ(2022) かんしょ(2022)
北海道 28.9 北海道 67.7 北海道 79.7 鹿児島 29.5
千葉 19.0 兵庫 7.1 鹿児島 4.3 茨城 27.3
徳島 8.3 佐賀 6.9 千葉 12.5

[表:基礎編6-10 日本国勢図会2024/25より]
 北海道が生産量(収穫量)1位の作物をまとめておきましょう。
 まずは小麦。北海道は日本でもっとも小麦に適した気候です。北緯40度線より北側にあり,降水量が少ない。ただし小麦の自給率は非常に低いことはすでに学びました。北海道だけでは日本全体の消費量をまかなえるほど生産することはできません。
 その他の作物としては豆類・根菜のほとんどは北海道が1位または上位と理解しておきましょう。根菜とは作物の根っこを主に食べる野菜です。北海道は東京や大阪などの大都市から離れたところに位置します。遠距離輸送を考えると腐りやすい作物よりも保存のきく作物を作る方がよい。例えばこれらの野菜は冷蔵庫の外に出しておいてもしばらくは大丈夫ですね。また価格面でも有利になるように全国的に品薄な時期にも出荷できるように保存しておくことができる作物。たまねぎやじゃがいもなんかは何ヶ月ももちます。これが北海道の作物の特徴だと思って下さい。他ににんじんなどもそうです。
 ※カレーライスを思い出して下さい。カレーライスの具材は北海道とイメージしてもよいです。牛肉・たまねぎ・にんじん・じゃがいも・ルー(スパイス以外の小麦),そして米(新潟に次いで二位)。
 もちろん北海道が1位でない豆類・根菜はありますが,基礎編でもっとも重要なのが「かんしょ」です。ところで「ばれいしょ」・「かんしょ」とは何かわかりますか?これはしっかりと頭の中で変換できるようにしておきましょう。「ばれいしょ」は「じゃがいも」,「かんしょ」は「さつまいも」のことです。いつもテストで「じゃがいも」・「さつまいも」という普段生活の中でよく使う言葉で出てくるとは限りません。統計では「ばしれいしょ」・「かんしょ」という表現される。「かんしょ」の1位は鹿児島県。鹿児島はかつて薩摩(さつま)とよばれていましたね。「薩摩のイモ」で「サツマイモ」。

 北海道が正式に日本の領土となり,開発が進んだのは明治時代になってからのことです。蝦夷地とよばれていたこの土地を北海道と名称を変え,開拓使という行政機関を設置し,北方の警備(対ロシア)と開拓のため屯田兵が置かれました。本格的な農業もこれと同時に始まります。
 気候は全体的に冷帯ですが,暖流の対馬海流の影響を受ける日本海側が稲作に向いており,太平洋側は寒流の千島海流が流れるため夏の気温が十分に上がらないので稲作に向きません。また太平洋側の平地は火山灰を多く含むため,水はけがよい(水もちが悪いため)のも稲作に向かない理由です。したがって太平洋側では主に畑作・酪農がさかんにおこなわれています。中でも十勝平野は北海道の面積の約10%の広さがあり,日本三大畑作地の1つになっています。
☆日本三大畑作地…共通点は火山灰地(水はけがよく,水もちが悪い=稲作に不向き)
 ・十勝平野
 ・関東平野(火山灰土は関東ロームとよばれる)
 ・シラス台地(九州南部)
 ※本来は地名ではなく,この地域に積もった火山灰のこと

②野菜

主な野菜の生産地

なす ピーマン キャベツ レタス ねぎ ほうれんそう
高知 13.8 茨城 22.2 群馬 19.5 長野 33.0 茨城 12.3 群馬 10.8
熊本 11.3 宮崎 18.7 愛知 18.4 茨城 15.7 千葉 12.2 埼玉 10.2
群馬 9.7 鹿児島 8.9 千葉 7.5 群馬 10.3 埼玉 11.6 千葉 8.8
茨城 6.1 高知 9.2 茨城 7.3 長崎 6.7 北海道 4.4 茨城 8.5

[表:基礎編6-11 日本国勢図会2024/25より 2022年]
 野菜の統計もよく出される統計ですが,順位についてはほとんど気にする必要はありません。野菜作りはその作り方や立地に注目した問題がよく出題されます。上の統計の色のついた県・野菜が典型ですので,これらに注目しましょう。
(1)近郊農業
 大都市の近くで大都市向けの野菜・草花・果実などを生産する農業です。大都市から近いので輸送費が安くて済みます。野菜の特徴としては傷みやすい野菜,つまり葉っぱものの野菜が多いこと。
 統計をみてみましょう。緑色の県には東京・大阪・名古屋の周辺の県が多いですね。野菜には葉物野菜がよく取り上げられる。
【例題3】次の資料は地図中のA~Cで示した県の2018年における米・野菜・果実・畜産物の生産額(億円)を示している。[表:基礎編6-12 データブックオブ・ザ・ワールド2024より 2022年]


野菜 果実 畜産
455 1281 101 1093
309 754 1094 947
1252 309 91 504


1.資料のX・Y・Zにあてはまる県名を答えなさい。またその位置を地図中から選び,記号で答えなさい。
2.資料中Xの県は他の二県に比べて野菜の生産がさかんである。その理由を輸送面と立地面から簡単に説明しなさい。


 Xは2にも問題があるように野菜から判断して千葉県。Yは果実(後出)から青森。Zは米から新潟県。
 2は近郊農業の説明ですが,キーワードとして「大都市」・「新鮮」という語句が出てくるとよい。

答え:1.X:千葉県,C  Y:青森県,A  Z:新潟県,B   2.大都市に近い立地を生かし(大都市に近いため),新鮮なうちに輸送できるから。(消費者に届けることができるから。)

 近郊農業があれば,遠郊農業というのもある。次の2つは大都市から遠いところでおこなう農業です。共通点は地域の自然条件をいかした野菜づくりです。
 作物には「旬(しゅん)」というのがあって,その作物がさかんに実り,一年でもっともおいしい時期をいいます。たくさん収穫できますので市場によく出回り,そのため価格も安い。逆に旬の時期の前後ではその作物は品薄になり価格も高くなる。
 しかし暖かいあるいは涼しい地方では全国的な旬の時期の前後でも,その作物を収穫することができます。このように自然条件を利用して季節をずらして生産し,他の地域の出荷量が少ない時期に出荷することで,市場で有利に(高価に)取引することができる利点があります。

(2)促成栽培
 促成栽培の「促成」は「早く成長させること」です。野菜の早作りです。早作りに適した自然条件は暖かい気候です。日本では暖流の黒潮の影響を受ける太平洋側が向いている。そこで代表的な県として高知県と宮崎県がよく出題されます。代表的な野菜はなす・ピーマン。イメージとしては野菜の顔色が濃くはっきりしている。(他にきゅうり・トマトなど)例えば夏野菜を春先から出荷することができる。消費地から遠いので輸送コストがかかるけれど,品薄時期だから市場では高値で取引されるので利益が得られるのです。
(3)抑制栽培水色
 促成栽培の対義語にあたるのが抑制栽培です。「抑制」とは「抑える」の意味ですから遅作りです。遅作りに適した自然条件は涼しい気候。涼しい気候とはどこを指すのでしょう?東北地方でしょうか,北海道でしょうか?ここでいう涼しい気候とは具体的に長野県・群馬県をいいます。標高が高いため気候が冷涼。代表的な野菜はキャベツ・レタスなど,色の薄い野菜をイメージしておきましょう。(他に白菜など)これらの野菜は冬が旬です。しかしこの地域では夏でも涼しい気候を利用して夏に冬野菜を作ることができます
 このような抑制栽培を特に高冷地農業といい,長野県や群馬県で作られるキャベツやレタスを高原野菜といったりします。高原野菜は夏場他の地域と競合しない(他の地域の出荷量が少ない)ので,促成栽培と同様高値が期待できるというメリットがあります。

 ここで注意点をいくつか挙げておきます。まず「近郊農業」・「促成栽培」・「抑制栽培」はすべて漢字できっちりと書けるようにしておくこと!「郊」・「促」・「抑」・「制」いずれをとっても非常にまちがいやすい漢字です。「促成」の「成」と「抑制」の「制」は字が違うし,「郊」は「効」とよくまちがえる。(意味が異なることを考えて!)「栽培」の「栽」の字を「裁」とまちがう人までいます。
 ただし「抑制栽培」に関しては公立高校の入試問題で語句そのものを書かせる問題が出る確率は極めて低い。そのかわり「近郊農業」・「促成栽培」での字のミスは致命的です。
 次に促成栽培・抑制栽培はとても勘違いしやすい語句です。「何を・どのように・何と」勘違いしやすいのか?さらに深めたい人は応用編で学びましょう。もうややこしいのはイヤという人は無理に次の段階に進まなくてもよいです。なぜなら
 これら3つの野菜作りで問われる点は次の通り。「語句(抑制栽培は出題率低)」・「栽培地域の区別」,そして「それぞれの利点の説明」です。

【例題4】次のグラフは2019年の東京卸売市場における,高知県産とその他の都道府県産なすの入荷量の変化を月別に示したものである。このグラフから読み取れる高知県のなすの出荷の特徴を,「促成栽培」という語句を用いて説明しなさい。

[グラフ:基礎編6-13 東京卸売市場ホームページより作成 令和4年]
 なすは一般的に夏野菜です。旬は夏。そのため6~9月では高知県以外の都道府県でも多く生産され出荷されます。一方高知県は気候が温暖なため夏を待たずに春に出荷(市場からみれば入荷)のピークがきている。冬でも多いのはビニルハウスなどの施設を活用しているからです。これが高知県(宮崎県でも同じ)の促成栽培です。需要(なすを食べたいと思っている人の数)が変わらないとしたら,市場に出回る商品の数量が少ないとその商品の価値は上がります(需要と供給の関係)。そのような時期に出荷するから高知県の促成栽培は利益が得られるのです。
書き方
 問われている問題は「高知県のなすの出荷の特徴」です。したがって答えの書き出しは「高知県のなすは」あるいは「高知県は」から始めるのがよいでしょう。「高知県のなすは」ではじめた場合,結びは「~出荷されている。」,「高知県は」ではじめたら「~出荷している。」と結びましょう。【主語と述語の一致】
 次に出荷の特徴は「グラフから」読み取らなければなりません。この問題の場合,グラフから解るのは「月別の(高知県と他の都道府県)入荷量」です。逆にそれ以外は解りません。したがって「どのような方法・手段を使って」と書いても,それがいくら正しい(事実に基づいていても)正解にはなりません。よけいなことを書かずに,「どのような月=時期」に出荷されているかを書く。【問題意図をつかむ】
 また「促成栽培」という語句指定があります。だからといって「高知県のなすは促成栽培で作られている。」では○はもらえません。答え(グラフから読み取れる出荷の特徴)になっていないからです。

答え:高知県のなすは温暖な気候を利用した促成栽培によって生産されており,他の都道府県から市場への入荷量が少ない時期に出荷されている。(高知県では温暖な気候を利用した促成栽培によってなすを生産しており,他の都道府県から市場への入荷量が少ない時期になすを出荷している)

【例題5】次のグラフは東京卸売市場における,きゅうりの入荷量とそのうちの宮崎県からの入荷量,およびきゅうりの1kgあたりの平均価格を示している。宮崎県ではどのような時期にきゅうりを東京市場に出荷していますか。月別の入荷量と平均価格に着目して簡単に説明しなさい。

[グラフ:基礎編6-14 東京卸売市場ホームページより作成 令和4年]
 今度のグラフには価格も表示されています。もちろん「宮崎県」・「きゅうり」ときたらすぐに「促成栽培」を思いおこしますが,「宮崎県の出荷時期の特徴」を「月別の入荷量」・「平均価格」に着目して「簡単に」答えるのだから「促成栽培」について述べる必要はありまん。
 答えは「宮崎県は」ではじまり,「~時期に(きゅうり)を出荷している。」と作ればよい。

答え:宮崎県は,入荷量が少なく(平均)価格が高い時期に(きゅうりを)出荷している。

【例題6】次のグラフは2019年の東京卸売市場における,長野県産とその他の都道府県産レタスの入荷量の変化を月別に示したものである。このグラフから読み取れる長野県のレタスの生産の特徴を,「高原」という語句を用いて説明しなさい。

[グラフ:基礎編6-15 東京卸売市場ホームページより作成 令和4年]
 次は抑制栽培です。問題が変わった点は「生産の特徴」を説明することです。文の作り方としては「長野県では」で始まり,「高原の冷涼な(涼しい)気候を利用してレタスが生産されている。」と書けばよいのですが,それでは資料(グラフ)を無視していますので,グラフを用いなければなりません。グラフではその他の都道府県の出荷量が少ない夏の時期に長野県の出荷量が多い。このことを読み取って文を仕上げましょう。

答え:長野県は高原の冷涼な気候を利用して,他の都道府県の出荷量が少ない夏にレタスを生産している。

③工芸作物

 工芸作物とは物好きな人は除いて,そのままでは食することが困難な作物です。つまり加工して食する作物のこと。代表的な作物に茶・さとうきび,てんさいなどがあります。

主な工芸作物

さとうきび てんさい
静岡 37.0 沖縄 58.0 北海道 100
鹿児島 34.6 鹿児島 42.0  
三重 6.8  

[表:基礎編6-16 日本国勢図会2024/25より 2022年]
 茶はその葉がもちろん飲むお茶になりますが,テストで「お茶」と答えてはいけません。(笑)「なす」も「おなす」と答える人がいます。
 茶については世界の農業でもお話したように,夏に雨が多い気候が最適。土地としては水はけがよいところ。(これまでみてきたように稲作以外の畑作は基本的に水はけがよいところが向いている)茶の上位の県をみてみると,静岡・鹿児島・三重・宮崎はすべて太平洋に面しているので夏に雨が多い太平洋側の気候ですね。しかも静岡は水はけのよい台地が広がっている。鹿児島・宮崎県にもこれまた火山灰の台地(シラス台地)が広がっていました。茶の栽培は決して寒いところ,北寄りの地方ではおこなわない。このようにきっちりと理解しておれば,とんでもないまちがいはおかしません。その上で茶の統計は3位まで順におぼえておくこと。「静岡・鹿児島・三重」で「しず(静)・か(鹿)・さん(三)→しずかさん」とおぼえておきましょう。
 次のさとうきび・てんさいは共に砂糖の原料となる作物です。てんさいは別名「砂糖大根」または「ビート(ビーツ)」とよばれます。ヨーロッパの方では食材になったり,飼料となったりしますが日本ではあまりそのような習慣かない。2つの作物の決定的な違いは栽培される気候にあります。さとうきびの沖縄,てんさいの北海道が示すようにさとうきびは熱帯(亜熱帯)の作物,てんさいは冷帯の作物です。また「砂糖大根」の名が示すようにてんさいは根菜です。これも北海道が得意とする作物の特徴でした。それぞれ1位の道県をおぼえておけばよい。


④果実
 果実は基本的に生産量第1位をおぼえておくことが大切ですが,第2位こそ勝負をわけることになるものもある。よく出題される果物の統計は以下の通り。

主な果実の生産地

みかん りんご ぶどう もも おうとう
和歌山 22.4 青森 59.6 山梨 25.1 山梨 30.5 山形 77.0
愛媛 16.0 長野 18.0 長野 17.8 福島 23.7 北海道 9.5
静岡 15.1 岩手 6.5 岡山 9.0 長野 10.3   
熊本 11.0 山形 5.6 山形 8.6 山形 8.4
長崎 5.9 福島 3.2 福岡 4.4 和歌山 6.9

[表:基礎編6-17 日本国勢図会2024/25より 2022年]
 まず果実で出題率がダントツに高いのが「りんご」と「みかん」です。それは日本でもっとも生産量が多いからです。生産量が多いということはそれだけ国民が手に入れやすく,身近な作物だということです。ただしみかんの1位和歌山,りんごの1位青森というのはあまりにも常識すぎる。これを知っているか知らないかはもはや社会の問題ではないと思って下さい。厳しいいい方ですが,こんなところでまちがうのはあり得ない,あってはならないのです。
 すると勝負は上位にみられる紫色の県です。みかんの2位:愛媛,りんごの2位:長野。こっちの方が断然大事。そして「ぶどう」と「もも」の1位が両方とも「山梨」。見分ける方法として「ぶどう」の「岡山」をおさえておきたい。岡山の「ぶどう」の割合の方が,岡山の「もも」の割合よりも高い。岡山は「マスカット種(黄緑色のやつ)が有名で「岡山マスカット」→「おかやま・ますかっと」としりとりでおぼえられる。
 簡単なのが「おうとう」,山形県でほとんど作っています。「おうとう」は「桜桃(黄桃ではない)」。つまり「さくらんぼ」のこと。テストでは果実名を直に答えさせる問題はありませんが,選択肢や問題の中で出てきたとき,頭の中で変換だけはできるようにしておかなければなりません。

 果実の生産(果樹栽培)に適した土地は水はけのよいところでした。水が豊富に得られるところでは果実の味は水っぽくなるからです。水はけがよいところとしてはまず盆地の扇状地山梨県の甲府盆地は代表的な果樹栽培の盆地(扇状地)ですので最低限これはおぼえておきましょう。
 火山灰地も水はけがよい土地です。青森県はりんごの大産地ですが,中でも津軽平野の南部(弘前市)は火山灰地(岩木山)で青森のりんご栽培の中心地です。その他,岩盤質の山の斜面を切り開いた段々畑も水はけがよい。和歌山や愛媛のみかんはこのような段々畑で作られています。
 ただみかんは暖かい気候を好み,りんごは涼しい気候を好みます。したがってこの2つの生産地域ははっきりわかれているのです。


3.畜産業

乳用牛 肉用牛 肉用若鶏
北海道 62.1 北海道 21.0 鹿児島 12.9 鹿児島 22.1
栃木 4.0 鹿児島 13.3 宮崎 9.1 宮崎 20.0
熊本 3.2 宮崎 9.7 北海道 8.5 岩手 14.7
岩手 2.7 熊本 5.2 群馬 6.6 青森 4.9

[表:基礎編6-18 日本国勢図会2024/25より 2023年]
 最後に畜産です。簡単にいきましょう。まず牛は乳牛・肉牛とも北海道が1位ですね。豚と鶏は逆に鹿児島とおぼえておきましょう。北海道と鹿児島で大きくとらえればそれでよろしい。
 北海道で乳牛の飼育がさかんなのは,世界の農業でもみた通り,涼しいからです。乳牛は暑いとお乳の出が悪くなる。土地も広くストレスもかかりにくい。また北海道でも日本海側より夏に気温が上がりにくい太平洋側で飼育がさかんです。日本海側は稲作,太平洋側は稲作が不向きなため畑作・酪農と区別しておきましょう。
 さて乳牛。もちろん牛乳を採るために飼うのですが,勘違いしていませんか?すべての乳牛から牛乳が採れると。ここで衝撃的な事実を申し上げましょう。ミルクが採れるのは雌牛からだけです。「えーっ」の声が私に聞こえるようです(笑)が,ここは驚くところではありませんよ(笑)。雄牛からミルクが出たらそりゃえらいこってす。当然,生まれてくる牛がすべて雌牛だということもあり得ないことです。では雄牛はどうするって?ここでは大きな声でいえないけれど,いわないと次に進めませんからいいます。「お肉になるんです。」お肉になるのは雄牛だけではありません。乳がでなくなった雌牛もお肉になります。(残酷・・・)
 ここが北海道の畜産の肝。北海道が乳牛・肉牛ともに1位なのは,乳用として育てた牛を肉用にしているからです。(ここで驚くんだ)北海道で育てられる乳用牛はホルスタインといって,もともとオランダから取り寄せた,白と黒のわれわれがすぐにイメージする牛です。もともと乳用ですから,お肉用としては上級ではありません。よいいい方をすれば,脂肪分が少なくヘルシー。カレー・シチュー用なんかによく使われたり,お求め安いお値段の国産用牛肉が北海道産であることが多い。
 一方,よくいう黒毛和牛などの「和牛」。これはよくステーキや焼肉屋さんでみかけるやつです。こういうお肉は肉牛専門に飼育している鹿児島に多い。逆に鹿児島は気候が温暖すぎて,乳用牛には向かない。
 「牛と豚・鶏が北海道と鹿児島の区別」とともに「乳用牛と肉用家畜が北海道と鹿児島の区別」とも理解しておきましょう。

【例題6】次の表は北海道と下の地図に斜線で示した7県のものである。これらについてあとの問いに答えなさい。[表:基礎編6-19 日本国勢図会2024/25より 2023年]

都道府県 人口(万人) 特色ある農産物 地場産業
北海道 514 てんさい,だいず,じゃがいも,小麦,米,たまねぎ  〔 a 〕民族の伝統工芸品
山形県 104 おうとう,西洋なし,ぶどう,りんご 紅花染
627 らっかせい,かぶ,さといも,ねぎ しょうゆ,ピーナッツ
215 まいたけ,チューリップ,米 せんべい,あられ,洋食器,絹織物
202 水わさび,レタス,カーネーション,りんご かんてん,みそ,ぬい針
90 はっさく,うめ,かき,みかん うめぼし,高野豆腐,桐たんす
159 ゆり,さつまいも,らっきょう,豚肉 さつま焼,大島つむぎ,かつお節
81 もも,すもも,〔 b 〕 宝石加工,ワイン


1.表中A~Fにあてはまる県名を答えなさい。
2.表中〔 a 〕にあてはまる先住民名を答えなさい。
3.表中〔 b 〕にあてはまる,この県が全国一の生産額を挙げている果物を答えなさい。


 基礎編で学んだことを使って,特色ある農産物だけを取り出してA~Fの県を考えてみましょう。
A:ねぎ(「らっかせい」は応用編で)
B:米
C:レタス・りんご
D:みかん
E:さつまいも・豚肉
F:もも,〔 b 〕は地場産業の項目にあるワインから「ぶどう」と推測

答え:1.A千葉県  B新潟県  C長野県  D和歌山県  E鹿児島県  F山梨県
    2.アイヌ   3.ぶどう


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