地理 第7回 鉱工業 基礎編2 鉱工業
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基本的な知識
1.工業の種類
①重工業と軽工業
実にざっくりとした分類の仕方です。まずは文字通りイメージして下さい。重いモノをつくるのか,軽いモノをつくるのか。鉄や機械などの重量の重いものをつくるのが重工業,衣類や繊維などの重量の軽いものをつくるのが軽工業です。また重工業は化学工業と合わせて重化学工業とまとめることもあります。
②重化学工業
・金属工業
鉄などの金属を製造する工業です。一般に「鉄」といいますが,社会科では「鉄鋼」といいます。字に注意して下さい。「鉄鉱石」とは違う字を書きます。鉄鋼をつくる工業を鉄鋼業または製鉄業といいます。
その他様々な金属をつくる工業がありますが,日本では金属工業といえば鉄鋼業をイメージすればよい。
・機械工業
機械やその部品をつくる工業です。代表例は自動車工業です。製品としては「自動車」と答えること。「車」は×です。「車」といったら車輪・タイヤのついているものすべてを指してしまいます。また統計によっては「輸送用機械」と表現されていることもあります。「輸送用機械」=「自動車」ではありませんが,まず自動車をイメージするといいでしょう。船舶・航空機・オートバイなども輸送用機械に入ります。
家庭用電気機器や工作用機械をつくる工業を電気機械工業といいます。一番身近な機械工業です。最近はこれらの電気機械に高性能な電子部品が使われています。携帯電話やゲーム機,パソコンなどの中身ですね。こういった製品の電子部品をつくる電気機械工業は特に電子工業といいます。半導体という物質が使われているため「半導体部品」といったり,半導体を使った回路を「集積回路」とよんだりします。「集積回路」は略称で「IC(Integral circuit)」ということもおぼえておきましょう。
同じ小さな部品を扱う電気機械工業でも時計などの測定器・カメラなどの機械工業は精密機械工業といって区別します。しかし現代社会ではあらゆる分野に電子部品が使用されているため,電子工業と精密機械工業の境目はあいまいです。また電子工業や精密機械工業は決して重量の重い製品をつくる工業ではありませんが,機械工業であるという点で重工業に含めます。(精密機械工業を重工業から外す見方もあります。)
・化学工業
化学工業とは物質の化学反応を利用しする工業です。石油を使う石油化学が代表例です。石炭化学などもありますが,高校入試では化学工業といえば,石油化学工業だと理解してもらって結構です。
石油からは様々なものがつくられます。自動車の燃料であるガソリン,飛行機のジェット燃料,軽油・灯油。燃料油としての性質を留めているものから,合成ゴム・ポリエステル・ナイロンなどの化学繊維,ビニル・プラスチック・洗剤・化粧品・医薬品まで生活の隅々にまで浸透しています。
ところで鉄鋼をつくる工場は製鉄所ですね。自動車をつくる工場は自動車工場です。では石油化学の工場は何と呼べばいいでしょう。石油化学工業は石油化学をつくる工業ではありませんね。石油から様々なものがつくられる。そのような特徴から石油化学の工場は石油化学コンビナートとよばれます。コンビナートとはもともとロシア語ですが,英語では「コンビネーション(結びつけること)」です。石油化学工場では,石油を使って様々な工場が計画的に結びついているという意味でこの言葉が使われるのです。単一の何かをつくるのではないからです。
③軽工業
・繊維工業
綿糸・毛糸・生糸などの天然繊維や化学繊維などをつくったり,それらで衣類(服など)をつくったりする工業です。綿なら綿織物工業,綿花が原料です。ジーパン・Tシャツ・下着などもっとも身近な繊維です。羊毛を毛糸にしてセーターなどの冬物衣料にするのが毛織物工業です。生糸は絹織物になります。絹織物には日本伝統の着物や浴衣などがあります。
・食料品工業
農水産物を加工食料品にする工業です。お菓子やジュース,缶詰,コンビニのお弁当やお惣菜をつくるのも食料品工業です。
・製紙パルプ工業
木材から紙をつくる工業です。木材からいきなり紙ができるわけではありません。まずは木材からパルプというものをつくってから,パルプが紙になります。
・窯業(よう業)
窯業の「窯」とは焼物を焼く「カマ」のことです。つまり陶磁器をつくる工業。セラミックスといういい方もあります。陶磁器だけではありません。ガラス,瓦,レンガ,タイルにトイレの便器,これらはすべて窯業です。さらにセメント工業も窯業の1つで,重工業でなく軽工業に分類します。
・印刷業
新聞・雑誌・本などを印刷する工業です。よく「出版・印刷業」と「出版業」と一緒にされることがありますが,出版業は現在では情報通信業として工業でなくサービス業に分類します。
④伝統工業
伝統工芸ともいわれます。製品を伝統(的)工芸品といいます。伝統工業には次の特徴があります。
・長い歴史があること。(当然)
・手作りであること。
・熟練した技術
・日常生活で使われるもの。
さらに経済産業大臣の認可が必要です。趣味が高じて手作りでつくったものは伝統工芸品とはいいません。
種類には焼き物である陶磁器(お茶碗とかお皿),木に漆(うるし)を塗った漆器(お碗や箱),織物(着物など),木・竹・金細工,仏壇・仏具,和紙や和紙を使ったもの(うちわ・扇子など),文具(筆・墨など),人形,遊具(将棋の駒など),その他もろもろがあります。
2.世界の工業
世界の工業について,よく問われるのはヨーロッパ(特にドイツ)とアメリカです。この2ヶ国については完璧におぼえておくようにしましょう。
①ヨーロッパ
ライン川の中流域,ドイツのルール地方は「ヨーロッパ最大の工業地帯」として知られます。ルール工業地帯(地域)です。もともと鉄鋼業を中心に発達しましたが,現在ドイツといえば自動車を思い出すようにしましょう。「ベンツ」,「BMW」,「ポルシェ」なんかが有名ですね。日本では高級外車の代名詞。
②アメリカ
アメリカについては工業都市以外も含めて重要な都市をいくつかおぼえておく必要があります。下の地図をみましょう。
ポイントは2つあります。1つ目は西部・中部・東部にわけて2つずつセットでおぼえていくことです。理由は位置をまちがえないようにするためです。ロサンゼルスとサンフランシスコの位置関係,シカゴとデトロイトの位置関係,ニューヨークとワシントンの位置関係。隣接する2都市の位置関係を意識しながらおぼえないとダメです。意識せずにおぼえている人は肝心な時にひっくり返して答えを書いてしまう。
2つ目はサンベルトとシリコンバレーという用語です。「サンベルト」はアメリカ南部の暖かい地域。「南部」→「暖かい」→「太陽」→「SUN(サン)」です。広い土地,豊富な資源と労働力があるため発展している地域です。「シリコンバレー」はサンフランシスコ郊外,サンノゼという地名が使われることがありますがおぼえる必要はありません。ここで発達している電子工業地帯をこうよびます。「シリコン」とは半導体に使われるケイ素という物質を,「バレー」は「谷(渓谷)」を意味する言葉です。
「サンベルト」と「シリコンバレー」はひっくり返しておぼえてしまう人が多い。「サンフランシスコ」や「サンノゼ」の「サン」と「サンベルト」の「サン」が頭の中で重なってしまうのでしょうか?ここもしっかりと「注意しなければならない」と意識しておぼえることが必要です。もし迷ったら「サン」ではなく「シ」を重ねましょう。シリコンバレーの「シ」とサンフランシスコの「シ」,「シ」がある方が「シ」。
アメリカの都市6つとサンベルト・シリコンバレーで計8つ。2つずつセットで4セット。これがおぼえるポイント。この8つが出題された場合,完璧に合わせるだけで随分,得点力がアップします。
3.日本の工業
①工業地帯と工業地域
日本では「工業地帯」と「工業地域」はちゃんと区別しています。「どちらでもいいじゃん」といい加減にせず,この点からしっかりおぼえるようにして下さい。
「工業地帯」は4つあります。逆に4つしかありません。西から順に北九州工業地帯・阪神工業地帯・中京工業地帯・京浜(けいひん)工業地帯です。いわゆる四大工業地帯です。北九州工業地帯は近年,その地位を下げていることから工業地帯から外して「工業地域」とし,三大工業地帯と呼ぶ動きもあるようですが,わたしの授業ではそれを許しません。北九州を「四大」からはずして「三大」工業地帯とよぶのはいいとしても,「地帯」を「地域」にしてしまうことに同意できません。
本来「地帯」と「地域」に意味の差はありません。わけているのは「歴史的」な差です。ここが重要な点で「工業地帯」は日本で早くから工業が発展した一帯で,戦前からあるところです。「工業地域」は戦後になって新しく発展した一帯です。この歴史的背景を無視すると日本の工業は理解できないのです。北九州は確かにかつての勢いはありませんが,日本の工業を理解するための四本柱の1つであるという点で,他の三つの工業地帯と同様に工業地域とは区別した呼び名が必要なのです。
とはいっても私の主張とは裏腹にテストでは「三大工業地帯」という形で出題されることが多いのも事実です。そこで「三大工業地帯」とは「四大工業地帯」を基本として「四大工業地帯から北九州工業地帯を除いたもの」として理解をしておいて下さい。
②工業地帯
それでは四大工業地帯を西から順に並べてみます。この4つは必ずおぼえて下さい。北九州は九州の北部。阪神は大阪と神戸で「阪神」。中京は愛知県を中心として,京都と東京の間だから「中京」です。京浜は東京と横浜で「京浜」。
次に輪を3つ描いて2つずつのグループをつくります。これだけで各工業地帯の特徴がわかるのです。西の2つ(北九州と阪神)は金属が得意な工業地帯。東の2つ(中京と京浜)は機械が得意な工業地帯です。そして真ん中の2つ(阪神と中京)は繊維の得意な工業地帯です。輪と輪が重なっているところは得意分野が2つあるというわけです。
次にこれらの工業地帯の順位を考えますが,現在最大(1位)の工業地帯だけで結構です。工業でいう最大とは,「出荷額」の大きさを比べてのことです。どれだけ市場に製造品を出荷したかを額(お金)で計算したものです。
では「機械」と「金属」ではどちらがもうかるか?つまり自動車と鉄鋼ではどちらがお金になるか?です。「機械」ですね。では東側のグループの京浜と中京を図で比べると,中京は繊維の輪と二重に囲まれている。つまり得意分野が多いのです。したがって中京が日本最大の工業地帯と理解しておいて下さい。(本当はもっと複雑ですが,簡単に考えましょう。)
中京が1位であることはさまざまな問題で重要になってきますから,このことだけは図に書いておきましょう。(あとの順位はたいして重要ではない。)
③工業地域
工業地域は工業地帯の形成後,その周辺に広げられたものです。ですから工業地帯を基準に考えていくことが大切なのです。とはいっても工業地域にはいろいろある。無理やり名前をつけたような工業地域もある。しっかりとおぼえておかなければならないのはどれか?
基礎編を学ぶ人には最低次の工業地域をおぼえておけばよい。瀬戸内工業地域と東海工業地域です。その位置を先ほど学んだ図に書き込んでみましょう。
すると瀬戸内工業地域は北九州と阪神の間に,東海工業地域は中京と京浜の間にすっぽりと入りました。つまり瀬戸内工業地域は金属が,東海工業地域は機械が得意な工業地域であることがわかります。
ここで1点だけつけ加えることがあります。瀬戸内は確かに原則通り金属が得意な工業地域ではあるけれども,化学も得意なんです。むしろ化学が一番得意といってもよい。そこで図の瀬戸内工業地域に化学の印をつけておきましょう。
これで完成です。この図が日本の工業の問題を解くときに必要な考え方がつまった図です。これが基本。この図をスラスラ描けるように練習しましょう。また日本の工業の問題を解くとき,どこかにこの図を描いて考えればよい。
④グラフを読み取る。
ここまでのところでグラフの基本的な読み取りをできるようになりましょう。まずは工業地帯の順位です。
[グラフ:基礎編7-7 日本国勢図会2024/25より 2021年]
工業地帯(地域)の順位としては,日本最大の工業地帯が中京工業地帯であることだけしっかりとおさえておきましょう。
次に製造品出荷額の割合のグラフ。この形式のグラフがもっとも基本的,一般的,そして出題率が高いグラフです。グラフの数値から工業地帯をみわけられるようになりましょう。
[グラフ:基礎編7-8 日本国勢図会2024/25より 2021年]
ではこういったグラフが出てきたとき,どのように数値をみていけばよいのでしょうか?これまで「この工業地帯はこの工業が得意(さかん)」などと,各工業地帯の特徴をまとめていきましたが,それは「その工業地帯の中で一番割合(または額)が大きい」という意味ではなく,「他の工業地帯と比べて,その工業地帯ではこの工業の割合(または額)が大きい」という意味であるということです。したがって割合(額)は同じ工業の種類同士を比べて大きいか小さいかを判断すること。
では工業地帯をみわけるために必要な項目は何か?それはもうすでに学んでいます。「金属」・「機械」・「繊維」の3つです。工業地帯(地域)を考えるための図で考えてみましょう。
金属の割合が大きい工業地帯→北九州・阪神
機械の割合が大きい工業地帯→中京・京浜
繊維の割合が大きい工業地帯→阪神・中京
2つの工業地帯がグループになっていましたから,グラフをみて「金属」・「機械」・「繊維」の割合が大きいものを2つずつ印をつけて選び出しましょう。
グラフに印をつけた結果,図の通りになりましたね。グラフと図を照らし合わせてみましょう。グラフの上から,京浜は機械,中京は機械と繊維,阪神は金属と繊維,北九州は金属。工業地帯のグラフは図の基本的な考え方で解けるのです。また上のグラフのように出荷額まで書いてあるものでは,中京に限って出荷額が最も多いものを選んでしまうという手もあります。(出荷額が書かれていないものもある)図の原則に従って考えれば,多少の工業地域が追加されても,多少出題形式が変わってもたいていの問題は解けます。
いくつか【例題】をやってみましょう。
【例題1】次のグラフは京浜・中京・阪神・北九州工業地帯の製造品出荷額の割合を示している。阪神工業地帯にあてはまるものを選び,記号で答えなさい。
[グラフ:基礎編7-9 日本国勢図会2024/25より 2021年]
問題は京浜・中京・阪神・北九州工業地帯ですから,先ほどの解説どおり考えればよい。金属・機械・繊維の割合を比べます。
機械の割合が大きいもの2つはアとエ。金属の割合の大きい2つはイとウ。繊維の割合が大きいものはアとイ。工業地帯の図で確認します。
アは機械と繊維の割合が大きいので中京工業地帯。イは金属と繊維の割合が大きいので阪神工業地帯。ウは金属のみなので北九州工業地帯。エは機械のみなので京浜工業地帯。
答え:イ
【例題2】次のグラフは三大工業地帯と東海工業地域の製造品出荷額と工業の種類別割合を示している。中京工業地帯にあてはまるものを選び,記号で答えなさい。
[グラフ:基礎編7-10 日本国勢図会2024/25より 2021年]
今度は三大工業地帯に東海工業地域が入っています。三大工業地帯とは四大工業地帯から北九州工業地帯を除いたものでした。図をみると,この4つの工業地帯・地域のうち機械の割合が高い工業地帯・地域が3つ(中京・東海・京浜)あります。逆に金属は1つです。
したがってもっとも金属の割合が大きいウは阪神工業地帯です。残りのア・イ・エは機械の割合が大きい工業地帯・地域。このうち「中京」を選ぶ問題になっていますので,繊維の割合を比べましょう。3つのうちもっとも大きいイが中京工業地帯です。京浜と東海の区別は,この場合必要ありません。
別解法として,このグラフでは製造品出荷額が示されていますから,それを比べても結構です。イは出荷額が最大なので,これが中京。
答え:イ
【例題3】次のグラフは京浜・中京・阪神・瀬戸内の各工業地帯・地域の工業製品出荷額の割合を示している。瀬戸内工業地域にあてはまるものを選び,記号で答えなさい。
[グラフ:基礎編7-11 日本国勢図会2024/25より 2021年]
問題は京浜・中京・阪神・瀬戸内ですから,金属と機械のグループにまずは分けましょう。やはり図で考えます。
金属グループはイとエ,機械グループはアとウ。阪神は金属と繊維の割合が大きいもの。どちらかが阪神・瀬戸内ということになりますが,ここで注意点。瀬戸内工業地域の特徴が化学工業であるということです。瀬戸内は要注意ですよ。「瀬戸内は化学で解け!」です。したがってグラフの「化学」の割合を比べて,「23.1(%)」あるエが瀬戸内工業地域です。(イは阪神。アとウは繊維を比べて,繊維の割合が小さいアが京浜,大きいウが中京)
答え:エ
【例題4】次のグラフは,全国と瀬戸内工業地域の工業出荷額と工業の種類別割合を示している。グラフ中Bにあてはまるものをあとから選び,記号で答えなさい。
[グラフ:基礎編7-12 日本国勢図会2024/25より 2021年]
ア.機械 イ.化学 ウ.食料品 エ.繊維 オ.印刷
グラフからBにあてはまる工業は,全国と比べて瀬戸内工業地域の割合が大きいことがわかります。これまで利用した図から,瀬戸内は金属と化学の割合が高い工業地域でした。特に化学が重要であることも前問で学びました。
答え:イ
④他にどんなことをおぼえておけばよいのか?
日本の工業を大きくとらえ,考えて解く方法は先の図の通りです。あとどのようなことを理解し,知っておく必要があるのでしょうか?みていきましょう。
・愛知県
製造品出荷額の順位を都道府県でみると愛知県が1位になっています。おぼえるのは1位の愛知県だけで結構です。しかしよく考えてみると工業地帯・地域でみても中京工業地帯が1位でした。中京は愛知県を中心とした工業地帯ですので,都道府県でみても愛知県が1位になるのは想像できるでしょ。難しく考える必要はありません。
愛知県の出荷額が1位なのはもちろん機械工業,特に自動車工業が日本一だからです。豊田市は日本最大の自動車工業の都市で,企業名トヨタがそのまま都市の名前になっていますね。それだけではありません。鉄鋼・陶磁器・毛織物・綿織物も日本一です。したがって製造業にたずさわる人の数も多く,第二次産業の割合が他県と比べて大きいのも愛知県の特徴です。
下のグラフでも愛知県は輸送用機械の割合が大きいことがわかります。輸送用機械というのは自動車のことだと考えればよい。
[グラフ:基礎編7-13 県勢2024より 2021年]
・東京都
東京都は首都です。日本最大の人口をもち,政治・経済の中心です。そこには日本の様々な情報が集中します。そこで東京では印刷業や出版業がさかんになる。東京の工業の特徴は印刷業にあります。
[グラフ:基礎編7-14 県勢2024より 2021年]
・北海道
北海道は農水産業がさかんなところです。その特徴を利用した食料品工業がさかんになる。
[グラフ:基礎編7-15 県勢2024より 2021年]
【例題5】次のグラフは東京都・神奈川県・愛知県の製造品出荷額と工業の種類別割合(%)である。愛知県にあてはまるものを選び,記号で答えなさい。
[グラフ:基礎編7-16 県勢2024より 2021年]
いずれのグラフも輸送用機械(自動車など)の割合がもっとも大きい。そのためはっきりと区別することができません。決め手になるのは,出荷額です。愛知県は工業日本一ですから,その額がもっとも多いものが答えとなる。
答え:ウ
【例題6】次のグラフは北海道・東京都・愛知県の工業の種類別出荷額の割合(%)を示している。グラフ中A~Cにあてはまる工業を選び,記号で答えなさい。
[グラフ:基礎編7-17 県勢2024より 2021年]
ア.輸送用機械 イ.繊維 ウ.印刷 エ.食料品 オ.化学
Aは北海道で,Bは愛知県で,Cは東京都でそれぞれ特徴的な工業です。
答え:A エ B ア C ウ
・官営工場
明治時代に政府によって開設された国営の工場で,日本の工業の発展に大きな貢献をした工場です。おぼえておかなければならない官営工場は2つ。八幡製鉄所と富岡製糸場です。八幡製鉄所(福岡県北九州市)は北九州工業地帯の形成に欠かせませんでした。富岡製糸場は群馬県にあり,その歴史的価値から世界遺産に登録されています。
・石油化学コンビナート
石油化学工業をおこなう工場をコンビナートといいました。石油化学コンビナートがある有名な都市を2つおぼえておきましょう。岡山県倉敷市と三重県四日市市です。三重県四日市市では工場の排気ガスが原因で四大公害病である四日市ぜんそくが発生したことでも大切です。
・有名な伝統工芸品
よく出る伝統工芸品は次の通り。必ず都道府県もおぼえておくように。
京都府…清水焼(きよみずやき),西陣織
石川県…金沢の九谷焼(くたにやき),輪島塗(漆器)
岩手県…盛岡の南部鉄器
【例題7】次の表は製造品出荷額の上位5位と下位5位に東京都を加えた都府県についてのものである。表中A~Fの都府県の位置を地図中から選び,記号で答えなさい。またそれぞれの都府県名も答えなさい。[表:基礎編7-18 県勢2019より 2016年]
順位 |
都道府県 |
製造品出荷額(億円) |
県庁所在地の降水量(mm) |
総計 |
輸送用機械 |
電気機械 |
金属 |
印刷・同関連業 |
年間 |
4~9月 |
10~3月 |
1 |
A |
451718 |
252239 |
21096 |
15392 |
3424 |
1535.3 |
1046.6 |
488.7 |
2 |
神奈川 |
164236 |
38984 |
6040 |
6117 |
1758 |
1688.6 |
1054.4 |
634.2 |
3 |
B |
162569 |
40314 |
20844 |
5297 |
1564 |
2324.9 |
1536.2 |
788.7 |
4 |
C |
161784 |
11880 |
10148 |
14970 |
5035 |
1279 |
842.4 |
436.6 |
5 |
兵庫 |
152350 |
14996 |
14514 |
8387 |
1456 |
1216.2 |
820.5 |
395.7 |
… |
D |
80843 |
17983 |
8175 |
3130 |
8192 |
1528.8 |
961.6 |
567.2 |
43 |
秋田 |
12497 |
623 |
304 |
664 |
133 |
1686.2 |
878.7 |
807.5 |
44 |
島根 |
11083 |
857 |
340 |
393 |
84 |
1787.2 |
997.8 |
789.4 |
45 |
E |
7412 |
228 |
867 |
409 |
108 |
1914 |
912.8 |
1001.2 |
46 |
F |
5789 |
417 |
90 |
195 |
115 |
2547.5 |
1843.5 |
704 |
47 |
沖縄 |
4620 |
24 |
43 |
440 |
208 |
2040.8 |
1286.8 |
754 |
表中の注目すべき数字に印をしましょう。こういうときはまず各項目のもっとも多い数字から取り上げていきます。ただし工業下位の県は製造品出荷額では判断できないので,降水量に注目することになります。
順位 |
都道府県 |
製造品出荷額(億円) |
県庁所在地の降水量(mm) |
総計 |
輸送用機械 |
電気機械 |
金属 |
印刷・同関連業 |
年間 |
4~9月 |
10~3月 |
1 |
A |
451718 |
252239 |
21096 |
15392 |
3424 |
1535.3 |
1046.6 |
488.7 |
2 |
神奈川 |
164236 |
38984 |
6040 |
6117 |
1758 |
1688.6 |
1054.4 |
634.2 |
3 |
B |
162569 |
40314 |
20844 |
5297 |
1564 |
2324.9 |
1536.2 |
788.7 |
4 |
C |
161784 |
11880 |
10148 |
14970 |
5035 |
1279 |
842.4 |
436.6 |
5 |
兵庫 |
152350 |
14996 |
14514 |
8387 |
1456 |
1216.2 |
820.5 |
395.7 |
… |
D |
80843 |
17983 |
8175 |
3130 |
8192 |
1528.8 |
961.6 |
567.2 |
43 |
秋田 |
12497 |
623 |
304 |
664 |
133 |
1686.2 |
878.7 |
807.5 |
44 |
島根 |
11083 |
857 |
340 |
393 |
84 |
1787.2 |
997.8 |
789.4 |
45 |
E |
7412 |
228 |
867 |
409 |
108 |
1914 |
912.8 |
1001.2 |
46 |
F |
5789 |
417 |
90 |
195 |
115 |
2547.5 |
1843.5 |
704 |
47 |
沖縄 |
4620 |
24 |
43 |
440 |
208 |
2040.8 |
1286.8 |
754 |
地図から選択肢となる都府県はア.東京都,イ.静岡県,ウ.愛知県,エ.大阪府,オ.高知県,カ.鳥取県です。
まずAは出荷額1位で,輸送用機械も多いので愛知県。Dは印刷が多いので東京都。この二つはすぐに判断できます。
ところでア~エは太平洋ベルトを形成する都府県ですので工業がさかんなはずです。つまりB・Cが大阪府か静岡県のいずれかということです。BとCを比べたときBの機械(輸送用・電気)の額が大きいこと,逆にCの金属の額が大きいことから考えてBが静岡,Cが大阪と判断できます(⇒既出の工業地帯・地域の考え方の図を利用する)。
あるいは年間降水量から判断してもいいでしょう。静岡は太平洋側の気候であり,年間降水量が多い(1500㎜以上)。大阪は瀬戸内の気候だから年間降水量が少ない(1500㎜以下)。
残ったE・Fが太平洋ベルトから外れる下位の県です。ともに年間降水量が1500mmを超えていますので,降水量が多い気候です。そしてEは冬の降水量が多いので日本海側の県であることが,逆にFは夏の降水量が多いので太平洋側であると判断できます。したがってEは鳥取県,Fは高知県となる。
答え:A ウ,愛知県 B イ,静岡県 C エ,大阪府 D ア,東京都 E カ,鳥取県 F オ,高知県
応用編へ
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