公民 第1回 日本国憲法 基礎編

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人権思想の発達と日本国憲法

1 17世紀,イギリスの思想家:〔   〕は名誉革命を正当化し,『市民政府二論』を著して民主政治を主張した。
ロック(ジョン=ロック)
   
2 フランスの思想家:〔 ① 〕は『法の精神』を著して,〔 ② 〕を説いた。
①モンテスキュー  ②三権分立
   「三権」とは,立法権・行政権・司法権の3つです。 立法権とは法律(ルール)づくり。行政権はルールを実行に移すこと。司法とは裁判です。政治権力をこの3つに分散させることで独裁を防ぐのが目的です。この目的を問われたときの模範的な解答は「三権が抑制し合い均衡を保つことで,権力の濫用を防ぎ,国民の権利を守るため。【説明(目的)】
   
3 フランスの思想家:〔 ① 〕は『社会契約論』を著して,〔 ② 〕を説いた。
①ルソー  ②国民主権(主権在民)
   ロック,モンテスキュー,ルソーの三人は,ヨーロッパの市民革命を支えた啓蒙思想家として知られます。⇒《歴史:第9回応用編》まずは三人の名前と国籍を確実におぼえましょう。それぞれが主張した内容は,よく出るモンテスキューとルソーの2人を確実におさえておけばよい。3つを区別するためには2つがしっかりしておれば,3つ目は自ずと答えが出るからです。
   
4 1689年,イギリスで名誉革命後に〔   〕が発表され,国王の権限が制限された。
権利の章典
5 1776年,アメリカ独立戦争中に〔   〕が出され,すべての人間が平等に造られ,生命・自由・幸福の追求が不可侵の権利であると掲げられた。
独立宣言 
6 1789年フランス革命がはじまると,国民主権・財産権の不可侵などを唱えた〔   〕が発表された。
人権宣言
   17世紀から18世紀にかけて,最初に獲得した人権は自由・平等といったものです。それまで国民は統治者(王など)の支配下にありました。この統治者が国民のことを十分に考えて,善い政治をおこなえば大きな問題はありませんが,権力者というものは絶大な力をもつとそれを存分に行使したくなるものです。重税や労役・対外戦争が代表的な方法です。これらによって幸せになるのは,王とその周囲の人たちばかり,国民一人一人は不幸になるばかり。人の生き方はその生まれ(身分)によって運命づけられていたのです。
 このような政治を専制政治といい,当時は特に絶対王政とよんでいました。ここに違う方向から光をあてて,古い習慣や偏見,無知から解き放とうとしたのが啓蒙思想です。「人はだれしも生まれながらに平等で自由である権利をもっている。この権利を行使して,個々の幸福を追求してもいいんだ。そのためには人を縛りつけている王をやっつけよう。」そしておこったのが市民革命です。こうしてまず自由・平等といった権利を手に入れた。
 特にアメリカ独立宣言フランス人権宣言【史料】⇒《歴史:第10回基礎編》は重要です。アメリカ独立宣言の「人間が平等に造られ」・「生命・自由・幸福の追求」という言葉。フランス人権宣言の「財産権の保障」・「国民主権(主権在民」)といった内容はしっかりとおさえておきたい。
 歴史で出題されるイギリス,アメリカ,フランスの市民革命によって出された人権文書は,革命の名称とともに【セット】でないと意味がありません。
 また市民革命の順も重要です。【時期】ただしフランス革命の年代は歴史でも非常に重要だということをお話しました。イギリスの名誉革命後の権利の章典はフランス革命(人権宣言)のちょうど100年前です。また日本で最初に人権について保障した大日本帝国憲法が成立したのは1889年で,人権宣言のちょうど100年後。このようにして歴史的感覚を身につけましょう。 
   
7 社会権はドイツの〔   〕の中で,世界で初めて取り入れられた20世紀の権利である。 
ワイマール憲法 
   17・18世紀が市民革命の時代なら,19世紀は産業革命・資本主義が発達した時代です。まず市民革命で自由・平等の権利を獲得した人類ですが,自由・平等だからといってすべての人が自由な生き方をしても,それがすべての人の幸福につながることはありません。特に資本主義の世の中ではすべての人が経済的に豊かになることはありえないのです。お金持ち(資本家)はそれこそ自由な経済活動でさらにお金もちになる。その利益は財産をもたない労働者の労働力によって得たものです。労働者はさらに貧しくなっていく。貧富の差・経済の格差はひどくなるばかりです。
 そこで一度は国からの自由を得た人間は,今度は逆に国にこの格差に対して積極的に介入してもらうことを望みます。これが社会権です。社会的・経済的弱者が人間らしい生活ができるように国の積極的な介入を求めることができる権利です。
 ようやくこの社会権を国として認めたのが第一次世界大戦敗戦後(1919)のドイツです。したがってワイマール憲法はよく「当時,世界でもっとも民主的な憲法」と説明されます。社会権は比較的新しい人権であることをおさえておきましょう。「社会権は大日本帝国憲法で認められていた」とあるのは誤文です。 
   
8 明治時代に,国会開設や憲法制定を目標として〔   〕運動が展開された。 
自由民権 
   
9 1889年,天皇の権限が強い〔   〕が公布された。 
大日本帝国憲法 
   「日本」は「にっぽん」・「にほん」,公式に決まっていませんので,どちらでもよいですが,「大日本帝国憲法」となると「だいにっぽんていこくけんぽう」と読むようにしましょう。 
   
10 大日本帝国憲法では国民は〔 ① 〕とよばれ,その権利は〔 ② 〕で制限されていた。 
①臣民  ②法律(法律の範囲内) 
   「臣民」とは「天皇の民」という意味です。そして人権は天皇から恩恵として与えられた権利とされました。その権利は「法律の範囲内」で制限されていた。【説明】つまり法律が人権を制限したということです。「法律の範囲内で」という文句はおぼえておきたい。
 例として歴史上有名なのが治安維持法(1925)です。社会主義思想をはじめ,思想・表現の自由を制限した法律です。
   
11 1948年,国連で〔 ① 〕が採択され,1966年に〔 ② 〕として条約化された。 
①世界人権宣言  ②国際人権規約 
   この2つも【セット】です。まず世界人権宣言は「宣言」です。「こうするぞ」というもの。「みんなで人権を守ろうよ」といっただけでは,努力しない国も出てくる。だから条約化して,締結した国にはちゃんと国内での法整備を進める努力をさせる。世界人権宣言を「条約化」したものが「国際人権規約」です。 
   
12 日本国憲法は〔 ① 〕(年月日)に公布され,〔 ② 〕(年月日)に施行された。 
①1946年11月3日  ②1947年5月3日 
   日本国憲法の公布・施行年月日は必須です。両方とも現在は国民の祝日となっています。公布日は文化の日,施行日が憲法記念日です。「ゴールデンウィーク」なんて祝日はありませんから。 
   
13 憲法は最も重要なきまりであり,憲法に違反する法律や命令は無効とされることから〔   〕とよばれる。 
最高法規 
   さて憲法とは「何ぞや」ということですが,【第98条】では,「最高法規」とよんでいます。その国の法(ルール)の中でもっとも上位のものであり,根本法規ということです。憲法に反する法律は効力をもたない。【説明】
 よくテレビなんかでみる「憲法を守れ!」という集会やデモがありますね。また普段の生活でも「法律を守りましょう!」といわれたりします。「憲法守れ」と「法律守れ」はどう違うのでしょうか?
 「法律を守れ」という場合,「守れ」という相手は国民一人一人です。私たち自身が法律を守らなければならない。しかし「憲法守れ!」の相手は私たちではありません。では憲法はだれを相手にしているのか?それは国家権力(公権力)です。例えば政府・総理大臣・政治家・国会議員・天皇・裁判所などです。
 彼らは憲法に基づいて,私たちの生活を幸せにする努力をする義務があり,これを政治といいます。そしてこの憲法はそもそも主権者である国民が定めたということになっていますので,憲法をおろそかにすることは国民をおろそかにすることになります。だからこそ,憲法は最高法規であり,憲法を守るべきは権力者なのです。 
   
14 日本国憲法は〔   〕と103条の条文からなる
前文 
   
15 日本国憲法の三大原則とは〔 ① 〕・〔 ② 〕・〔 ③ 〕である。 
①国民主権  ②平和主義(戦争放棄)  ③基本的人権の尊重(順不同) 
   「主権」という言葉をしっかりと理解しておきましょう。主権とは「決定権」だと考えて下さい。「国の政治について最終的に決定する権利【説明】。これが国民にあるというのが国民主権です。 
   
16 日本国憲法に定められた国民の義務は〔 ① 〕・〔 ② 〕・〔 ③ 〕である。 
①勤労の義務  ②納税の義務  ③(普通)教育を受けさせる義務(順不同) 
   「勤労」は「労働」と書かないこと。「教育を受けさせる義務」は「教育を受ける義務」ではありません。君たちのための義務ではなく,また国が義務として教育を君たちに受けさせるのでもありません。親の義務として子どもに教育を受けさせる義務です。義務教育とは国民の義務です。 
   

国民主権・平和主義

1 日本国憲法では天皇は〔 ① 〕とされ,内閣の〔 ② 〕のもとに憲法の定める〔 ③ 〕をおこなう。
①象徴  ②助言と承認  ③国事行為
   正直いって恥ずかしながら未だに「象徴」という言葉をうまく説明できません。「形であらわせないものを形であらわすもの」というくらいしかありません。いろいろな学説や説明をみてもどうもしっくりこない。日本という国をどう表現するか,「天皇」をみて下さい。というわけです。これはもう理屈抜きでおぼえるしかないようです。【第1条】
 大日本帝国憲法では様々な権能をもっていた天皇ですが,今では国事行為という憲法に書かれた仕事のほか,いくつかの活動が許されているだけです。国事行為とは儀式的・形式的なもので実質にはほとんど意味はありません。
 その国事行為も天皇は自由にできず,内閣の助言と承認が必要。この「助言と承認」は,「承認と助言」となった瞬間に×です。したがって「と」を入れて一語としておぼえる必要がある。【第3条】
 このように公民では憲法・法律に書かれている言葉をどれだけ正確におぼえるかが重要になってきます。どれだけ真面目に取り組むかが大切。あまり面白いとはいえませんが,逆に得点が上がりやすい分野ともいえるのです。  
   
2 憲法改正は,国会において〔 ① 〕の賛成によって発議され,〔 ② 〕の〔 ③ 〕の賛成によって成立し,天皇が公布する。
①各議院の総議員の3分の2以上  ②国民投票  ③過半数 
   「憲法改正」とは憲法に書かれている内容を変更する,あるいは追加・削除するということです。そして「発議(はつぎ・ほつぎ)」とは意見を出すことです。これを頭に入れた上で。
 例えば,国の政治について話し合う国会では,政治家(国会議員や政府)がその内容を国会に提案,つまり発議します。「○○××について話合い,決めていきましょう」と。そして話合って,多数決で決定するのが通常の手続きです。
 しかしここでは憲法改正を発議するのは国会そのものになっています。では国会はだれに対して,改正の意見を求めているのか?それが「国民」なのです。ややこしいですけどこれは実は当然の手続きなのです。法律などの国のルールは国会がつくりますから,国会で国会議員が決めればいいのです。国会議員は国民(選挙)によってその権利を与えられているから,それでいいのです。
 ところが憲法はどうでしょう?憲法は国民が定めて権力者に与えたものということになっていますから,憲法についての決定権は国民にあるのです。だから政治家が勝手に決めてはいけないのです。もし政治家が勝手に変更できる憲法なら,憲法に権力者を縛る力はなくなってしまいますね。
 【第96条】に書かれた憲法改正の手続きは,「国会(多数決)→国民(多数決)→成立」という内容をもう少し詳しく説明したものなのです。国会での多数決は各議院の総議員の3分の2以上【説明】,つまり衆議院・参議院それぞれの全員の3分の2以上の賛成が必要となり,これは国会での議決の中でもっともハードルが高い賛成数です。そしてさらに国民の多数決が必要。国民がこれに参加することを国民投票といい,過半数の賛成が必要となります。これでやっと改正が成立する。そうやすやすとは改正にたどり着かない仕組みになっていることを頭に入れておきましょう。実際,日本国憲法が改正されたことはただの一度もありません
   
3 最高裁判所裁判官を罷免するかどうかを国民が判断することを〔   〕という。
国民審査
   国民が直接,国の政治に関わるチャンスがいくつかあります。国会議員の選挙,憲法改正の国民投票,最高裁判所裁判官の国民審査です。国民審査は最高裁判所だけですので注意。
   
4 平和主義は憲法の〔 ① 〕と第〔 ② 〕条に規定されている。
①前文  ②9
 憲法条文の数字をおぼえておきたいのは,平和主義の【第9条】,法の下の平等の【第14条】,生存権の【第25条】の3つ。
   
5 日本は核兵器に対して「持たず,つくらず,持ちこませず」の〔   〕の立場をとっている。
非核三原則
 非核三原則は憲法には書かれていませんので注意。「憲法で・・・」と書かれている文は誤文です。その内容をそのまま【説明】させますので,「持たず,つくらず,持ちこませず」は丸暗記です。「持ちこませず」の部分は「持ちこまず」とするまちがいが非常に多い。「せ」を入れ忘れないように確認しましょう。
   
6 1950年,朝鮮戦争がはじまるとGHQの指示で現在の〔   〕が設置された。
自衛隊
   自衛隊についても憲法では明文化されていません。自衛隊設置のきっかけが朝鮮戦争であったことも歴史的に重要。
   
7 1951年,日本の独立を認めた〔 ① 〕条約が結ばれ,同時に日本の防衛のためにアメリカ軍を日本に駐留させる〔 ② 〕条約が結ばれた。
①サンフランシスコ平和  ②日米安全保障
 
8 現在,法律上,自衛隊の海外派遣が認められている国連の活動は〔   〕である。
PKO(国連平和維持活動)
   

基本的人権の尊重

1 基本的人権は,〔 ① 〕の権利であり,政治上〔 ② 〕を必要とする。また国民はこれを〔 ③ 〕してはならず,常に〔 ④ 〕のために利用しなければならない。 
①侵すことのできない永久  ②最大の尊重  ③濫用  ④公共の福祉 
   「侵すことのできない永久の権利【第11条】とは原則として法律で制限できないということです。ここが大日本帝国憲法の保障する基本的人権と大きく違うところ。【比較】そして「原則として」ということは,例外もある。「公共の福祉」に反する場合です。
 「公共の福祉」とは,簡単にいうと「社会全体の幸福」。憲法ではすべて国民は「個人として尊重される」【12条】とあります。たくさんの個人の集まりが社会ですから当然個人の自由や権利が衝突することがある。そんなときは「公共の福祉」が優先され,「個人の自由や権利が制限されることもありますよ」ってこと。「公共の福祉に反しない限り」,基本的人権は保障される。【第11条~13条】
   
2 憲法が保障する基本的人権は,〔 ① 〕権・〔 ② 〕権・〔 ③ 〕権・〔 ④ 〕権・〔 ⑤ 〕権である。
①平等  ②自由  ③社会  ④参政  ⑤請求(順不同) 
   憲法に書かれている基本的人権を分類するとこの5つ。5つまとめて一気におぼえましょう。参政権と請求権は「基本的人権を守るための権利」とまとめて書かれていることもありますが,5つに分けておぼえておいた方がよい。 
   
3 すべて国民は〔   〕に平等であると定められた権利が平等権である。
法の下 
   【第14条】で定められている平等権は基本的人権の中でももっとも重要な権利で,すべての人権を包括する権利です。ただしここに書かれている「法の下の平等」は,宗教や道徳でいうところの「人間みな平等」とは少し異なる。あくまでも「法の下」,つまり法律の中で差別されないということです。
 また「平等」の意味も 個人の能力・性別・年齢などを無視して,国民一律平等というわけでもありません。そんなことをしたら,選挙権は0歳の赤ちゃんからもつことになりますね。あくまでも社会の現実・個人の差異を認めた上で,合理的に区別して,個人を法的に均等に扱うということです。
 【第14条】には「人種・信条・性別・社会的身分・又は門地により差別されない」とあり,「門地」とは「家がら・生まれ」のことです。
   
4 1985年に職場における男女差別をなくすために制定された法律が〔 ① 〕であり,1999年に女性が男性と対等に参加し活動できる社会をめざすために制定された法律は〔 ② 〕である。
①男女雇用機会均等法  ②男女共同参画社会基本法 
   しっかりと区別したい法律です。【第24条】では「個人の尊厳」と「両性の本質的平等」というのが書かれています。男女平等の法的整備はまずは職場から,そして社会全体へと広がっていった。
 だから「職場」と問題に書かれている方が,古い法律で「男女雇用機会均等法」,「社会」と書かれている方が新しく「男女共同参画社会基本法」。【比較】 
   
5 障害のある人や高齢者が一般社会の中で安全・快適に暮らせるように身体的・精神的・社会的な障壁を取り除こうとする考え方を〔   〕という。 
バリアフリー 
   「バリア」とは「障壁」のこと。「フリー」とは自由の意味ですが,「~free」というように「free」が言葉のあとにつくと「~がない」という意味になります。「taxfree」というと「税がない」の意味で「免税」,「smokefree」というと,喫煙自由の意味ではなく,逆の「煙がない」の意味で「禁煙」です。日本人がよく英語でまちがえる意味です。ここではバリアフリーで「バリアがない」,つまり「障壁がない」という意味。 
   
6 自由権のうち,住居の不可侵,不当な逮捕の禁止,奴隷的拘束などからの自由を定めたものを〔 ① 〕の自由,思想・良心・集会・結社・学問などの自由を定めたものを〔 ② 〕の自由,居住・移転・職業選択の自由,財産権の不可侵を定めたものを〔 ③ 〕の自由という。
①身体  ②精神  ③経済(経済活動) 
   自由権は大きく3つに分けることができます。まず基礎編ではあまり難しく考えず簡単に身体に関する身体の自由,心・頭の中に関することは精神の自由,お金や財産に関することは経済(活動)の自由とおおざっぱに区別します。
 次に頭に入れておくべきことは,国民がこれらの自由を要求する相手は国などの公権力であるということ。権力者が国民の身体・精神・経済を束縛しようとする行為を禁止することです。

①身体の自由
 全体として国民の「体(身体)」そのものを守ることですが,1つだけよくまちがえる点があります。「住居の不可侵」というやつです。人の家に勝手に入らないという意味ですが,「住居」は身体に直接関係ありません。しかしこれを身体の自由に入れることだけ注意しておきましょう。詳しくは《応用編》で。
 「住居の不可侵」は何とよくまちがえるかというと経済の自由の中の「居住の自由」です。言葉がよく似ていますね。「居住の自由」は経済の自由,「住居の不可侵」は身体の自由。まずはおぼえてしまって下さい。【比較・落とし穴】

②精神の自由
 基本的には「心(精神)」に関する自由だと考えるとよいんだ。「思想・良心・信教の自由」というのは心の問題だから精神の自由だとすぐわかる。するとそれを形した言論・出版・表現の自由」も精神の自由に入れてしまえる。ただし「出版」はお金を稼ぐということに重点を置かないで下さい。
 問題は「集会・結社の自由」というやつ。こうなるとわからなくなってしまう人が多い。集会は同じ考え方の人の集まりと考えて精神の自由に入れる。結社はもっとよくまちがえる。これは会社と考えて経済の自由に入れてしまう人が多いんだ。集会の自由とよく似ていて,結社とは同じ考えの人が集まった組織という意味。だから集会・結社が【セット】になっていて精神の自由です。

③経済の自由
 居住,移転の自由は,どこに住んでも,どこに行ってもかまわないということ。これらにはお金がかかわってくるので経済の自由。これを応用して,外国に移住・渡航するのも同じです。
 職業選択の自由はお金の稼ぎ方ですね。そして財産権の不可侵はいうまでもありませんかな。
   
7 自由権は無制限に保障される権利ではなく,〔   〕ときには制限を受ける。 
公共の福祉に反する 
   さて上でみた自由権には「ただし」が付く。ただし「公共の福祉に反する」ことがあるようなら,制限しますよ。 個人の自由権の行使によって,他人の人権を侵害してはならないからです。【説明(理由)】逆にいえば「公共の福祉に反しない限り」最大の尊重を受けます。
   
8 人間らしい生活を営む権利が〔 ① 〕権であり,このうち憲法第25条に定められた権利を〔 ② 〕,すべての子どもが学校で学習することができる権利を〔 ② 〕権利,労働者のために認められた権利を〔 ③ 〕という。
①社会  ②生存権  ②教育を受ける  ③勤労の権利 
   国民が国家に「放っておいて!」というのが自由権です。逆に国民が国家に「何とかして!」と要求するのが社会権だと考えて下さい。「何とかして」の部分は「人間らしい生活をさせて」と変えてもよい。
 主な内容は3つ。生れてから死ぬまで人間らしい生活をする権利(生存権),学校に行って教育を受ける権利,そして働く場での権利(勤労の権利・労働三権)と考える。
   
9 労働基本権(労働三権)のうち,労働組合をつくる権利を〔 ① 〕,労働条件などを交渉する権利を〔 ② 〕,ストライキなどをおこなう権利を〔 ③ 〕という。
①団結権  ②団体交渉権  ③団体行動権 
   労働三権も一気におぼえる。【セット】何度か念仏のように唱えればだれでもすぐにおぼえられます。労働者と使用者の関係では労働者は弱者で不利な立場にあるという考えで保障された権利です。 
 例えば,使用者(雇い主)が労働者をまったく自由な契約で雇ったとします。すると労働者一人ひとりは使用者に比べて弱い立場にありますから,安い賃金で働かされます。「お給料上げてよ~ 休みが欲しいなぁ」と不満を述べたら,「君はクビ! 代わりはいくらでもいるんだ!」となってしまう。
 しかし労働者が団結して,使用者に不満をいったらどうなるでしょう。使用者は全員解雇なんてできないでしょ。全員クビにしてしまったら,だれが働くんですか?
 だから労働者と使用者は対等な立場であると保障してあげる。使用者はお金(資本)や土地や店や設備をもっている。それに対して労働者には団結権・団体交渉権・団体行動権を与えてあげるのです。
   
10  労働基本権を保障した法律が〔 ① 〕,労働条件の最低基準について定めた法律は〔 ② 〕である。
①労働組合法  ②労働基準法 
   労働者の勤労の権利を具体化したのが労働基準法,労働基本権(三権)を保障したのが労働組合法です。詳しくは《公民:第7回基礎編》で。
   
11 参政権には,国会議員などを投票によって選ぶ〔 ① 〕や国会議員などに立候補することができる〔 ② 〕などがある。
①選挙権  ②被選挙権 
   これは一番簡単。国民が政治参加する権利です。 
   
12 憲法改正の賛否を国民に問うことを〔 ① 〕,最高裁判所の裁判官をやめさせるかどうかを国民に問うことを〔 ② 〕という。
①国民投票  ②国民審査 
   
13 請求権は,国民が国家に対して権利侵害の救済を求める権利で,〔   〕を受ける権利などがある。
裁判 
   人権を守るために国に何らかの行為を要求する権利です。例としてもっともよく出されるのが裁判を受ける権利。自分の人権が侵されるおそれがあるとき,公平な裁判を受けさせてくれというのは当然の権利です。「~を受ける権利」では,「教育を受ける権利」は社会権。「裁判を受ける権利」は請求権。しっかりと区別しましょう。【比較】 
   
14 新しい人権には,良好な生活環境を求める〔 ① 〕,国民や住民が行政機関から情報を受け取ることができる〔 ② 〕,個人の私的な生活を他人の干渉から守る〔 ③ 〕,個人が自分の生き方について自由に決定することができる〔 ④ 〕などがある。
①環境権  ②知る権利  ③プライバシーの権利  ④自己決定権 
  ☆新しい人権についての注意事項は,以下の通り。
憲法に明記されていない。
・憲法に明記されていないが,【第13条】「幸福追求」の権利から考えて認められている。

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