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基本的人権は,〔 ① 〕の権利であり,政治上〔 ② 〕を必要とする。また国民はこれを〔 ③ 〕してはならず,常に〔 ④ 〕のために利用しなければならない。 |
答 |
①侵すことのできない永久 ②最大の尊重 ③濫用 ④公共の福祉 |
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「侵すことのできない永久の権利」【第11条】とは原則として法律で制限できないということです。ここが大日本帝国憲法の保障する基本的人権と大きく違うところ。【比較】そして「原則として」ということは,例外もある。「公共の福祉」に反する場合です。
「公共の福祉」とは,簡単にいうと「社会全体の幸福」。憲法ではすべて国民は「個人として尊重される」【12条】とあります。たくさんの個人の集まりが社会ですから当然個人の自由や権利が衝突することがある。そんなときは「公共の福祉」が優先され,「個人の自由や権利が制限されることもありますよ」ってこと。「公共の福祉に反しない限り」,基本的人権は保障される。【第11条~13条】 |
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憲法が保障する基本的人権は,〔 ① 〕権・〔 ② 〕権・〔 ③ 〕権・〔 ④ 〕権・〔 ⑤ 〕権である。 |
答 |
①平等 ②自由 ③社会 ④参政 ⑤請求(順不同) |
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憲法に書かれている基本的人権を分類するとこの5つ。5つまとめて一気におぼえましょう。参政権と請求権は「基本的人権を守るための権利」とまとめて書かれていることもありますが,5つに分けておぼえておいた方がよい。 |
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すべて国民は〔 〕に平等であると定められた権利が平等権である。 |
答 |
法の下 |
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【第14条】で定められている平等権は基本的人権の中でももっとも重要な権利で,すべての人権を包括する権利です。ただしここに書かれている「法の下の平等」は,宗教や道徳でいうところの「人間みな平等」とは少し異なる。あくまでも「法の下」,つまり法律の中で差別されないということです。
また「平等」の意味も 個人の能力・性別・年齢などを無視して,国民一律平等というわけでもありません。そんなことをしたら,選挙権は0歳の赤ちゃんからもつことになりますね。あくまでも社会の現実・個人の差異を認めた上で,合理的に区別して,個人を法的に均等に扱うということです。
【第14条】には「人種・信条・性別・社会的身分・又は門地により差別されない」とあり,「門地」とは「家がら・生まれ」のことです。 |
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1985年に職場における男女差別をなくすために制定された法律が〔 ① 〕であり,1999年に女性が男性と対等に参加し活動できる社会をめざすために制定された法律は〔 ② 〕である。 |
答 |
①男女雇用機会均等法 ②男女共同参画社会基本法 |
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しっかりと区別したい法律です。【第24条】では「個人の尊厳」と「両性の本質的平等」というのが書かれています。男女平等の法的整備はまずは職場から,そして社会全体へと広がっていった。
だから「職場」と問題に書かれている方が,古い法律で「男女雇用機会均等法」,「社会」と書かれている方が新しく「男女共同参画社会基本法」。【比較】 |
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障害のある人や高齢者が一般社会の中で安全・快適に暮らせるように身体的・精神的・社会的な障壁を取り除こうとする考え方を〔 〕という。 |
答 |
バリアフリー |
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「バリア」とは「障壁」のこと。「フリー」とは自由の意味ですが,「~free」というように「free」が言葉のあとにつくと「~がない」という意味になります。「taxfree」というと「税がない」の意味で「免税」,「smokefree」というと,喫煙自由の意味ではなく,逆の「煙がない」の意味で「禁煙」です。日本人がよく英語でまちがえる意味です。ここではバリアフリーで「バリアがない」,つまり「障壁がない」という意味。 |
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自由権のうち,住居の不可侵,不当な逮捕の禁止,奴隷的拘束などからの自由を定めたものを〔 ① 〕の自由,思想・良心・集会・結社・学問などの自由を定めたものを〔 ② 〕の自由,居住・移転・職業選択の自由,財産権の不可侵を定めたものを〔 ③ 〕の自由という。 |
答 |
①身体 ②精神 ③経済(経済活動) |
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自由権は大きく3つに分けることができます。まず基礎編ではあまり難しく考えず簡単に身体に関する身体の自由,心・頭の中に関することは精神の自由,お金や財産に関することは経済(活動)の自由とおおざっぱに区別します。
次に頭に入れておくべきことは,国民がこれらの自由を要求する相手は国などの公権力であるということ。権力者が国民の身体・精神・経済を束縛しようとする行為を禁止することです。
①身体の自由
全体として国民の「体(身体)」そのものを守ることですが,1つだけよくまちがえる点があります。「住居の不可侵」というやつです。人の家に勝手に入らないという意味ですが,「住居」は身体に直接関係ありません。しかしこれを身体の自由に入れることだけ注意しておきましょう。詳しくは《応用編》で。
「住居の不可侵」は何とよくまちがえるかというと経済の自由の中の「居住の自由」です。言葉がよく似ていますね。「居住の自由」は経済の自由,「住居の不可侵」は身体の自由。まずはおぼえてしまって下さい。【比較・落とし穴】
②精神の自由
基本的には「心(精神)」に関する自由だと考えるとよいんだ。「思想・良心・信教の自由」というのは心の問題だから精神の自由だとすぐわかる。するとそれを形した「言論・出版・表現の自由」も精神の自由に入れてしまえる。ただし「出版」はお金を稼ぐということに重点を置かないで下さい。
問題は「集会・結社の自由」というやつ。こうなるとわからなくなってしまう人が多い。集会は同じ考え方の人の集まりと考えて精神の自由に入れる。結社はもっとよくまちがえる。これは会社と考えて経済の自由に入れてしまう人が多いんだ。集会の自由とよく似ていて,結社とは同じ考えの人が集まった組織という意味。だから集会・結社が【セット】になっていて精神の自由です。
③経済の自由
居住,移転の自由は,どこに住んでも,どこに行ってもかまわないということ。これらにはお金がかかわってくるので経済の自由。これを応用して,外国に移住・渡航するのも同じです。
職業選択の自由はお金の稼ぎ方ですね。そして財産権の不可侵はいうまでもありませんかな。 |
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自由権は無制限に保障される権利ではなく,〔 〕ときには制限を受ける。 |
答 |
公共の福祉に反する |
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さて上でみた自由権には「ただし」が付く。ただし「公共の福祉に反する」ことがあるようなら,制限しますよ。 個人の自由権の行使によって,他人の人権を侵害してはならないからです。【説明(理由)】逆にいえば「公共の福祉に反しない限り」最大の尊重を受けます。 |
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人間らしい生活を営む権利が〔 ① 〕権であり,このうち憲法第25条に定められた権利を〔 ② 〕,すべての子どもが学校で学習することができる権利を〔 ② 〕権利,労働者のために認められた権利を〔 ③ 〕という。 |
答 |
①社会 ②生存権 ②教育を受ける ③勤労の権利 |
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国民が国家に「放っておいて!」というのが自由権です。逆に国民が国家に「何とかして!」と要求するのが社会権だと考えて下さい。「何とかして」の部分は「人間らしい生活をさせて」と変えてもよい。
主な内容は3つ。生れてから死ぬまで人間らしい生活をする権利(生存権),学校に行って教育を受ける権利,そして働く場での権利(勤労の権利・労働三権)と考える。 |
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労働基本権(労働三権)のうち,労働組合をつくる権利を〔 ① 〕,労働条件などを交渉する権利を〔 ② 〕,ストライキなどをおこなう権利を〔 ③ 〕という。 |
答 |
①団結権 ②団体交渉権 ③団体行動権 |
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労働三権も一気におぼえる。【セット】何度か念仏のように唱えればだれでもすぐにおぼえられます。労働者と使用者の関係では労働者は弱者で不利な立場にあるという考えで保障された権利です。
例えば,使用者(雇い主)が労働者をまったく自由な契約で雇ったとします。すると労働者一人ひとりは使用者に比べて弱い立場にありますから,安い賃金で働かされます。「お給料上げてよ~ 休みが欲しいなぁ」と不満を述べたら,「君はクビ! 代わりはいくらでもいるんだ!」となってしまう。
しかし労働者が団結して,使用者に不満をいったらどうなるでしょう。使用者は全員解雇なんてできないでしょ。全員クビにしてしまったら,だれが働くんですか?
だから労働者と使用者は対等な立場であると保障してあげる。使用者はお金(資本)や土地や店や設備をもっている。それに対して労働者には団結権・団体交渉権・団体行動権を与えてあげるのです。 |
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労働基本権を保障した法律が〔 ① 〕,労働条件の最低基準について定めた法律は〔 ② 〕である。 |
答 |
①労働組合法 ②労働基準法 |
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労働者の勤労の権利を具体化したのが労働基準法,労働基本権(三権)を保障したのが労働組合法です。詳しくは《公民:第7回基礎編》で。 |
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参政権には,国会議員などを投票によって選ぶ〔 ① 〕や国会議員などに立候補することができる〔 ② 〕などがある。 |
答 |
①選挙権 ②被選挙権 |
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これは一番簡単。国民が政治参加する権利です。 |
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12 |
憲法改正の賛否を国民に問うことを〔 ① 〕,最高裁判所の裁判官をやめさせるかどうかを国民に問うことを〔 ② 〕という。 |
答 |
①国民投票 ②国民審査 |
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請求権は,国民が国家に対して権利侵害の救済を求める権利で,〔 〕を受ける権利などがある。 |
答 |
裁判 |
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人権を守るために国に何らかの行為を要求する権利です。例としてもっともよく出されるのが裁判を受ける権利。自分の人権が侵されるおそれがあるとき,公平な裁判を受けさせてくれというのは当然の権利です。「~を受ける権利」では,「教育を受ける権利」は社会権。「裁判を受ける権利」は請求権。しっかりと区別しましょう。【比較】 |
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14 |
新しい人権には,良好な生活環境を求める〔 ① 〕,国民や住民が行政機関から情報を受け取ることができる〔 ② 〕,個人の私的な生活を他人の干渉から守る〔 ③ 〕,個人が自分の生き方について自由に決定することができる〔 ④ 〕などがある。 |
答 |
①環境権 ②知る権利 ③プライバシーの権利 ④自己決定権 |
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☆新しい人権についての注意事項は,以下の通り。
・憲法に明記されていない。
・憲法に明記されていないが,【第13条】の「幸福追求」の権利から考えて認められている。 |