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家族に関する法律が〔 ① 〕である。戦後,日本国憲法第24条の「〔 ② 〕と〔 ③ 〕」を基本原則として改正された。 |
答 |
①民法 ②個人の尊厳 ③両性の本質的平等 |
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平等権に関して,【第24条】では家族関係についての平等にも言及しています。夫婦関係や子の相続についてです。このことについて詳しく定めた法律が民法です。
旧憲法下の民法では,家族の中で大きな権限をもっていたのは戸主とよばれる男性で,相続は長子が単独相続することになっていました。ここでいう長子とは事実上長男です。
戦後,この民法が改正され,家族の中心は夫婦であり,夫婦は同等の権利・義務をもち,氏(姓)は夫婦いずれの氏を名乗ってもよい(夫婦別姓はダメ)。子どもに対する親権も夫婦が共同して持つ。相続も子の均分相続が決められています。 |
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障がいのあるなしにかかわらず,すべての人が区別されず,なく普通の生活を送ることを〔 〕という。 |
答 |
ノーマライゼーション |
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バリアフリーとまちがわないように。【比較】「バリアフリー」は障がい者・高齢者の生活における障壁をなくすこと。車椅子用のスペース・スロープをつくることなんかです。ノーマライゼーションとは障がいのあるなしを問題にしない社会づくりです。例えば障がい者のための施設は,障がい者と健常者を区別するための施設ですね。そんなものは必要ない。みんな同じに生活できる社会をめざすんだ。優先座席なんかも必要ない。困っている人がいれば,どこに座っていようと席を譲ってあげる。優先座席をつくっている間はノーマライゼーションとはいえないのです。 |
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3 |
一人ひとりを大切にし,ともに助け合って生きていく社会を〔 〕という。 |
答 |
共生社会 |
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このような平等の社会を目指している中でも現在も根強く残る差別の例をしっておきましょう。アイヌ人(少数民族),被差別部落(同和問題),女性(性差別),HIV(エイズなど感染症),在日韓国人・朝鮮人(在日外国人),障がい者,その他。
よく似た言葉に「多文化社会」という言葉があります。多文化社会は,一つの国や地域にさまざまな民族・文化が混在するようになった現状を表しているだけで,理想的な社会,目標とする社会を指す言葉ではありません。したがって「多文化社会」では,その中で「必要になること」,「気をつけなければならないこと」,「大切にしなければならないこと」は何かが問われます。異なる民族どうしが,互いの文化を認め尊重すること,つまり異文化理解が必要になるわけです。【説明】
一方,「共生社会」は,さまざまな違いを乗り越えて,共に生活が営まれている理想的な社会を示しており,現状(現在)というよりは目標(未来)を表した言葉であることに注意しましょう。【比較】 |
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4 |
身体の自由に関して,刑事事件に際し,現行犯以外は〔 ① 〕が発する〔 ② 〕がなければ,逮捕されない。 |
答 |
①裁判官 ②令状 |
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憲法で述べられている自由(権)とは,平等権と同じく,道徳的に感情的に「自由だ!・平等だ!」という意味ではありません。基本的人権を保障する側が国であるとうことを前提に考えなければなりません。自由権なら,自由を奪う相手は国だと仮定して,国が国民の自由を奪わないようにするためのルールを決めているのです。
身体の自由は,「奴隷的拘束・苦役からの自由」を基本原則として,国からの好き勝手な扱いや刑罰から人間の身体を守る権利をいいます。そこから発展して,刑事事件に関する法律の手続きについて述べられていることを理解しておきましょう。
犯罪がおこるとします。警察が捜査します。するとやがて疑われているもの=被疑者が取り調べられます。そのとき,被疑者の逮捕には(逮捕)令状がなければなりません。また被疑者宅を調べるときは(捜査)令状がなければなりません。これが「住居の不可侵」です。すべて裁判官が発する令状が必要になるという令状主義。これが身体の自由です。
さらに逮捕されても自白を強要されたり,暴力行為を受けることも許されません。裁判所に起訴されても被告人には弁護人をつける権利があります。また自分の不利になるような供述をしなくてもいいです(黙秘権)。これらもまた身体の自由とされます。
このように直接「体」に関することでなくても,主に刑事事件,犯罪の処罰に関わる手続きについての権利が「身体の自由」にあてはまることだと考えましょう。 |
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精神の自由に関して,国家や公権力が表現物や言論を検査することを〔 ① 〕といい,〔 ② 〕の自由に反するとして憲法で禁止されている。 |
答 |
①検閲 ②表現 |
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精神の自由も,国家が国民の精神的自由を侵さないように国に対して禁じていることが述べられています。【第21条】では検閲の禁止と通信の秘密について定めています。検閲とは,政府が出版物,放送,新聞などの内容を公表前にチェックして,「これは政府を批判しているな」と判断したとき発表を禁止する行為です。
表現の自由は民主政治の重要な支えですから,他人の人権を侵さない限り(公共の福祉に反しない限り),国家が保障しなければならない自由です。 |
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生存権として「健康で文化的な最低限度の生活」を国民を保障するため,〔 〕が制定されている。 |
答 |
生活保護法 |
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生活保護法に基づいて,生活保護費が支給されるわけですが,生活保護基準と生存権の関係が争われたのが,朝日訴訟というもので,よく例に出されます。1967年,岡山で肺結核療養中の朝日茂さんが,月額600円の生活保護給付金では生活ができないとして,給付金の増額を求めました。厚生大臣(当時)の定めた生活保護基準は【第25条】に違反するとして訴えたのです。
結果,最高裁までいきましたが,裁判途中で朝日さんが亡くなったので,訴訟は途中で終了しましたが,生活保護基準の改善に大きな影響を与えました。⇒《公民:第1回発展編》 |
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〔 〕権は請求権の具体的な権利の1つで,国や地方の機関に対して希望・苦情・救済を要求する権利である。 |
答 |
請願 |
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基本的人権を守るために参政権や請求権があります。もし人権を守らない政治家や公務員がいたとしましょう。その人をやめさせる力が国民になければ,人権を守ることができません。請求権も同じです。国の人権無視・軽視によって国民が不利益を得た場合,改善や救済を求めるのも当然の権利というわけです。
請求権と請願権はよく似た言葉なので,よくまちがえる。【落とし穴】まずは大きな基本的人権の1つとして請求権があり,その中に請願権があると理解しておいて下さい。⇒《公民:第1回発展編》 |
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環境権の1つで,建築物のの日当たりを確保する権利を〔 〕という。 |
答 |
日照権 |
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例えば,近隣の高層マンション建設によって日当たりが悪くなることが予想されたら,建設の中止や損害賠償を請求できるという権利です。 |
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開発にあたって事前に環境への影響を調査することが事業者に義務付けられている。これを〔 〕という。 |
答 |
環境アセスメント |
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これも環境権の1つ。 |
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行政機関が保有する情報を広く開示する制度を〔 〕制度といい,多くの地方公共団体で条例化され,1999年には〔 〕法が制定された。 |
答 |
情報公開 |
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知る権利の1つ。知る権利は国や地方公共団体を監視し,その不正をなくすための権利です。【説明】情報公開制度は長く法律化できずにいました。そのため地方公共団体が定める条例が先行していたのですが,現在は情報公開法も制定されています。「まだ制定されていない。」という文は誤文です。 |
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国民の知る権利を保障する一方で,個人情報を慎重に守ることを目的として〔 〕が制定された。 |
答 |
個人情報保護法 |
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プライバシーの権利の例です。プライバシーの権利(保護)については,インターネットと関連して【説明】問題がよく出されます。「インターネットの普及により,情報発信の際に注意すべきことは何か?」といった問題。「プライバシーの侵害にならないようにする。」が模範解答。プライバシーは「保護」に対して「侵害」という語句を使えるようにすること。 |
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医療に関しては,治療を受ける患者のために十分な説明にもとづく同意が必要である。これを〔 〕という。 |
答 |
インフォームド=コンセント |
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新しい権利の自己決定権の1つです。「インフォームド」は「情報が与えられた」,「コンセント」は「同意」を意味します。病気の診断や治療について主治医以外の意見をきく「セカンドオピニオン」とまちがえないように。【比較】 |
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臓器移植に関する法律にのっとって,臓器提供の意思を記入した〔 〕が発行されている。 |
答 |
ドナーカード(臓器提供意志カード) |
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これも自己決定権の例。 |