公民 第6回 経済② 基礎編

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市場経済

1 商品が売り買いされる場を〔   〕といい,〔   〕が社会のすみずみにはりめぐらされている経済を〔   〕経済という。
市場
   
2 買い手が商品を買おうとする量を〔 ① 〕量,売り手が商品を売ろうとする量を〔 ② 〕量という。市場において,〔 ① 〕量と〔 ② 〕量が一致した価格を〔 ③ 〕といい,〔 ④ 〕ともよばれる。
①需要  ②供給  ③均衡価格  ④市場価格
   「需要」とは「買いたい気持ち」と考えてもよい。「供給」とは「売りたい気持ち」。とにかく需要と供給を逆におぼえてしまうと,えらいことになるのでしっかりとおぼえてしまいましょう。
 普段われわれがものを買うときの値段=価格は,生産者や売り手が一方的に決めているのではなく,売り手と買い手がお互い,この値段なら買っても・売ってもいいというところ,意見が一致したところで決まっているのです。
 まず「買い手」の気持ち(需要)になってみましょう。買う側は価格が安ければ安いほどよい。価格が高くなればなるほどあまり買いたくない。この「買い手(の買いたい気持ち)」=「需要」と価格の関係をグラフで描いてみましょう。次のようになるのがわかりますか?

 価格が上がれば上がるほど需要量は減少し,価格が下がれば下がるほど需要量は増加する。

 今度は逆に,「売り手」の気持ち(供給)になってみましょう。売る側は価格が高ければ高いほどよい。価格が安いものなんてあまり売ってももうからないと考えます。この「売り手(の売りたい気持ち)」=「供給」と価格の関係をグラフで描いてみると次のようになりますね。

 価格が上がれば上がるほど供給量は増加し,価格が下がれば下がるほど供給量は減少する。

 当然のことながら,売り手と買い手は全く正反対の考え方をするものです。でもね。安く買いたいという買い手だけたくさんいても,買い物はできません。同様に高く売りたいという売り手だけがいても商売になりません。売り手と買い手が出会わなければ,モノは売買されないのです。
 そして買い手と売り手が出会う場を「市場」といい,市場で2人が出会った瞬間,奇跡がおこるのです。その奇跡を目にするためには,先ほどの2つのグラフを1つに重ねてみる。買い手と売り手が同じ場所にいるんだからね。

 するとなんと絶対に意見が合わないと思っていた両者の意見がたった1点で一致しているではありませんか。そう2つのグラフの交点です。このとき買い手(需要)と売り手(供給)は,この価格(P円)ならこれだけ買ってもよいとお互いの意見が一致しているのです。2人の意見(価格と取引量)が一致しているこのときの価格を均衡価格といいます。グラフにおいては需要曲線と供給曲線が交わっているときの価格(P)です。

 このようにわたしたちが普段,モノを買うときの価格は需要と供給の関係で成り立つ均衡価格であり,市場(売買の現場)において取引される価格なので市場価格ともいいます。均衡価格と市場価格はほぼ同意義と思ってもらって結構です。このときは「均衡価格」,このときは「市場価格」と答えなさいというのは,中学生にとってはあまり意味のない議論です。
※均衡価格は,モノが過不足なく取引される理想的な価格です。それに対して,市場価格は実際に現場で売り買いされている現実的な価格を指します。現実的な市場価格と理想的な均衡価格の間ではズレがあるのはよくあることです。少し高く売られていたり(高く買ったり),安く売られていたり(安く買ったり)。しかし最終的には市場価格は理想的には均衡価格に近づいていくということです。

 ところで10年前の板チョコ1枚の値段と今の値段はきっと違うはずです。去年のサンマ1尾の値段と来年の値段はきっと違うでしょう。ガソリンの価格は毎日違っている。1ドルの価値は分単位・秒単位で変化する(円高・円安)。均衡価格はさまざまな要因によって変化していくものなのです。では均衡価格はどうして変化するのかというと,「需要」と「供給」が変化するからです。

①需要が増加すると
 「需要が増加する」とは,買い手がより多く買おうとすることです。例えば次のようなとき,みんなの買いたい気持ちが大きくなる。
・消費者の所得が向上
 お給料が上がれば,たくさん消費したくなりますね。
・減税
 減税されるとそれだけ消費者の手元にお金が残りますから,それを消費に変えられる。
・新製品の開発
 家電(ゲーム機・パソコン・スマホなど),自動車,化粧品などなど新しい技術が開発され,販売されるとみんなそれをほしいと思う。
・商品の流行
 服などのファッション,アイドルのコンサートチケット,多くの人が購入したがる流行は,需要の増加と考えられる。
・限定された期間
 ゴールデンウィークやお盆・お正月など多くの人が休暇を取ることができる時期,旅行に出かけようという人が増えますね。長期休暇だけでなく,土日のホテル代と考えてもよい。限られた時期の旅行にみんな殺到する。これも需要の増加です。

 こんなときグラフ上ではどのような変化がおこるでしょうか?今,均衡点(E)が設定されている下のグラフがあるとします。
※今後,需要・供給曲線は,曲線ではなく直線で描くことにします。書き易く,見やすいからです。ただし名称は需要曲線・供給曲線のままとします。
 そこへ需要が増加する。需要が増加するとは,あらゆる価格において,需要量が同じ割合で増加すると考えます。


 これをグラフにすると,ちょうど需要曲線(D)が右に移動した(D1)と考えられるのです。

 すると移動した需要曲線(D1)と供給曲線との間に新しい均衡点(E1)が生れました。この価格は最初の価格(P)より高い位置にある(P1)ので,需要が増加すると価格が上がるという結果になります。(取引量も増加する)

②需要が減少すると
 要因としては,主に需要が増加する要因の反対が考えられます。
景気の後退(不景気)
消費者の所得の減少
増税
流行の終わり
 グラフはというと,今度は需要曲線(D)が左(減少方向・原点側)に移動します。

 この結果,移動した需要曲線(D2)と供給曲線の間に新たな均衡点(E2)が生れます。この価格は最初の価格(P)より,低い位置にある(P2)。したがって需要が減少すると価格が下がるのです。(取引量も減少する)

 次に供給曲線を左右に移動させてみることにします。いいですか,ここが重要な点です。需要・供給の量は横軸です。したがって,需要量・供給量の増減は左右の移動で示すのです。増加するときには右に,減少するときには左に移動するんです。決して上下ではありません。上下は価格です。

③供給が増加すると
 では供給曲線(S)を右に移動(S1)させてみましょう。

 すると新しい均衡点(E3)は,元の価格(P)より下がり(P3)ました。したがって供給が増加すると価格が下がります(取引量は増加する)。主な要因は次の通り。
技術革新,設備投資の拡大
 新しい大量生産の技術が開発されたり,生産設備が拡大された。
原材料費の値下げ
 円高などにより,輸入品の価格が下がり,原材料のコストが下がった。
豊作,豊漁
 たくさん作物ができたり,魚が獲れたりするとその食品の価格が下がりますね。

④供給が減少すると
 今度は供給曲線(S)を左に移動(S2)させます。

 新しい均衡点(E4)は上がり(P4)ました。供給が減少すると価格は上がる(取引量は減少する)。要因としては,供給量増加の要因の逆になります。
・不景気による設備投資の縮小
・原材料費の値上がり(生産コストの上昇)
・凶作,不漁


 次のグラフは東京中央卸売市場のきゅうりの入荷量と月別平均価格の関係を示したものです。

[グラフ:基礎編6-1 東京卸売市場,市場統計情報より 令和4年]
 きゅうりの入荷量が多い月は比較的価格は低い水準にあります。つまりきゅうりの供給量が増加したため,きゅうりの価格が下がったわけです。
 逆に入荷量が減少する冬場は価格は上がっています。きゅうりの供給量が減少したため,価格が上がったのです。 
 
3
少数の大企業が生産や販売市場を支配している状態を〔 ① 〕といい,市場価格とは違って,競争のない価格が設定される。このような価格を〔 ② 〕という。
①寡占(独占)  ②独占価格
   市場に売り手が1社しかない場合を「独占」,少数しかいない場合を「寡占(かせん)」といいます。「独占」の「独」は「1人」,「寡占」の「寡」は「少ない」を意味します。
 このようなとき,売り手は他の多数の企業と競争をしなくてもよいのですから,利益が最大になるように価格を設定すればよい。需要と供給の関係で定められる市場価格(均衡価格)ではなく,その企業が設定した価格です。売り手(供給)は価格が高ければ高いほどいいのですから,当然高く設定されることになる。
   
4
寡占(独占)の弊害をなくし,企業間の公正な競争を確保するために,わが国では〔 ① 〕が制定され(1947),〔 ② 〕がその運用にあたっている。
①独占禁止法  ②公正取引委員会
   寡占(独占)は市場での競争を弱め,買い手(需要・消費者)に不利となる。【説明】価格面だけではありません。市場で企業間の競争がなくなると品質も低下するおそれがあります。このような弊害をなくすため,戦後独占禁止法が制定されました。名前は簡単ですね。「独占」を「禁止」する法律。
 ただし「独占禁止法」は法律の名前だけおぼえていても意味がありません。この法律を運用するための行政機関:公正取引委員会も重要。一方から一方が問われます。【セット】
   
5
生活に密接している交通運賃・電気代・ガス代・電話料金など国や地方公共団体が決定・認可する価格を〔   〕という。
公共料金
   企業本位の独占価格に対して,公共料金は消費者の立場にたった価格です。これも需要と供給の関係で定まるのではない点で独占価格と同じですが,安く設定されるのが特徴。生活に密接な水道・電気・ガス料金,電車・バスなどの交通など。公的機関がおこなう公共サービスに対して消費者が払う価格です。
   
6
価格に対して,さまざまな商品の価格を総合して平均したものを〔   〕という。
物価 
 価格は商品1つ1つの値段です。値段ですから「~円」とあらわし,「~(いくら)」の部分が重要になります。一方物価は「~円」という数字そのもの(「いくら」)の部分より,いついつよりどれだけ上がったか・下がったかが重要になります。ある時点やある場所の経済状況の比較に用いられるのが物価です。
 数字にするにはまず,消費生活に大事ないろんな財やサービスの価格を全部足します。だいたい600商品ぐらい。足した合計を600で割ります。つまり平均化する。そして出てきた数字がその年の物価です。
   
7
国の経済が活発に動いている状態を〔 ① 〕,国の経済が停滞している状態を〔 ② 〕という。 
①好景気(好況)  ②不景気(不況) 
   景気がよい(好景気),景気が悪い(不景気)とはいったいどういう状態なんだろうか?この単元は「お金」そのものがテーマだから,これを「お金」という点で解明していきましょう。
 ここでいう「お金」とは,現実にその国で流通している「通貨」のことです。そして景気とは「お金まわりの状態」という意味です。
 好景気とは,「通貨量が普段よりも多くなっている状態」をいいます。社会全体のことでなくても,君たちでも想像できる。財布の中にいつもよりたくさんお札が入っている状態。もっと極端な想像をすると財布の中の千円札が全部「諭吉」に変わっている。これが好景気です。「好況」という表現もします。
 好景気=通貨量増になると,通貨価値は下がります。財布の中が「諭吉」だらけになったら1万円札に魅力がなくなるね。では価値の低いお札は大事にもっている必要はない。ましてや銀行に預けても低い価値にはかわりありません。ではどうするか?使います。「使う」ということは「買う」ということです。 つまり需要が増える。需要が増えると1つ1つのモノの価格が上がります。そして最後にはその価格を総合して平均したものである物価が上がるという結果になる。これが好景気です。
 不景気ばその逆。不景気とは,財布の中にお金があまり入っていない状態。社会全体として通貨の量がいつもより少なくなっているのが不景気です。
 不景気=通貨量減。通貨量が減ると通貨価値は上がります。もっているお金がとても大事なものにみえてくる。大切なお金だから,使うのをためらう。買うのを控えてしまうのです。これは需要が減少したことになります。需要が減少すると商品の価格は下がる。全体として物価も下がる。これが不景気です。
   
8
物価が継続的に上がることを〔 ① 〕,物価が継続的に下がることを〔 ② 〕という。 
①インフレーション  ②デフレーション 
   好景気は物価高をもたらし,そのままの状態放っておくと物価が高くなり続けます。これをインフレーションといいます(略してインフレ)。インフレーションになると,商品が高くなりすぎて消費者が困ります。好景気は「好」という言葉を使いますが,実はそのままでおくととんでもないことになってしまうんですね。
 不景気はよくないのはいうまでもない。放っておくと物価が下がり続けてデフレーション(略してデフレ)になってしまう。こうなると企業の利益が減少するだけでなく,倒産・失業ということになってしまう。

☆景気
・好景気=通貨量増加→通貨価値下落→需要増大→物価高→インフレ
・不景気=通貨量減少→通貨価値上昇→需要減少→物価安→デフレ
 
   
9 個人や企業などから資金を集め,これを必要としている個人や企業などに融通することを〔   〕という。 
金融 
   お金そのものをあつかう産業です。銀行が一番わかりやすい例ですね。わたしたちが預けたお金を,企業や個人に貸し付けます。なぜ「貸す」+「付ける」のかというと「利子を付けて貸す」からです。返してもらうときは利息をつけて返してもらう。「利子」は借りた側が支払うもので,「利息」は貸した側が受け取るものです。利子率は「金利」といいます。
 このとき銀行は預金の金利より,企業や個人に貸し付けるときの金利の方を高く設定しておきます。そうするとその差額が銀行の利益となるわけです。 
   
10 日本銀行は,唯一の〔 ① 〕,〔 ② 〕,〔 ③ 〕である。 
①発券銀行  ②銀行の銀行  ③政府の銀行(②・③は順不同) 
   「発券銀行」の「券」とは「日本銀行券」のこと。これ,何のことか?お札(紙幣)のことです。わたしたちが使うお札は日本銀行が発行している券です。お札をよくみみましょう。「日本銀行券」とちゃんと書いてある。
 「銀行の銀行」・「政府の銀行」とは,日本銀行が取引する相手を示している。一般人や企業とは直接取引しません。日本銀行の取引相手は銀行と政府であるということ。 
   
11 日本銀行が景気を安定させるため,通貨量を調節することを〔 ① 〕といい,政府の景気に対する政策を〔 ② 〕という。 
①金融政策  ②財政政策  
    不景気はよくないに決まっていますが,好景気だからといって「好(良)い」わけでもない。放っておくとインフレがおこります。要はできるだけどちらも行き過ぎないように,安定させることが大切です。
 景気の正体は「通貨」にありました。では景気を安定させるとは,通貨の量を調節するということを意味します。では社会全体の通貨量を調節することができるのはどこか?それが日本銀行であり,政府です。日本銀行の場合は金融政策,政府の場合は財政政策とよんでいます。
 その方法はまずは簡単にこのように考えて下さい。好景気(→インフレ)=通貨量増でしたから,好景気やインフレのときは通貨量を減らすような政策をしてやる。
 逆に不景気(→デフレ)=通貨量減でしたので,不景気やデフレのときは通貨量を増やすような政策をうってやる。ここが景気対策のポイント,お金の量(通貨量)がどうなるかを考えましょう。

金融政策
方法①…日本銀行が金利(利子率)を調節する(金利政策)
・好景気(インフレ)のとき
 日本銀行が金利を上げる→一般銀行も金利を上げる→企業や個人はお金を借りにくくなる→社会全体の通貨量が減少する
・不景気(デフレ)のとき
 日本銀行が金利を下げる→一般銀行も金利を下げる→企業や個人はお金を借りやすくなる→社会全体の通貨量が増加する
※お金を借りて返却するとき,利子は多いほうがよいか,少ないほうがよいか考えてみましょう。

方法②…日本銀行が国債を売り買いする(公開市場操作)⇒《応用編》
・好景気(インフレ)のとき
 日本銀行が一般銀行に国債を売る→一般銀行の企業や個人への貸し出しが減る→社会全体の通貨量が減少する
・不景気(デフレ)のとき
 日本銀行が一般銀行から国債を買い取る→一般銀行の企業や個人への貸し出しが増える→社会全体の通貨量が増加する
※「国債」というのが解りにくければ,何でもいいから日本銀行がもっている「モノ」,銀行がもっている「モノ」に置きかえてもよい。とくにかく,「日本銀行が」,「売る」という行為をおこなうとお金がどうなるかを考えてみる。

財政政策
方法①租税
・好景気(インフレ)のとき
 増税する→国民の手元に残るお金(通貨量)が減る→消費が減る→生産が減る→景気が抑制される
・不景気(デフレ)のとき
 減税する→国民の手元に残るお金(通貨量)が増える→消費が増える→生産が増える→企業の収入が増える→所得が増える→景気が回復する
※増税(減税)によって,手元に残るお金が普段よりどうなるかを考えてみよう。

方法②公共事業
・好景気(インフレ)のとき
 公共事業を縮小する→財政支出を抑制する(通貨量が減る)→景気が抑制される
不景気(デフレ)のとき
 公共事業を拡大する→財政支出を増やす(通貨量が増える)→雇用や消費が増える→景気が回復する
※公共事業とは「財政支出」の1つであると考えましょう。わたしたちのために政府がお金を使ってくれることです。

☆金融政策・財政政策
  通貨量  対策  金融政策(日銀)  財政政策(政府)
 金利  国債  租税  公共事業
 好景気(インフレ)  増  通貨量を減らす  上げる  売る  増税  縮小
 不景気(デフレ)  減  通貨量を増やす  下げる  買う  減税  拡大
※表をおぼえるのが重要ではなく,すべて通貨量がどうなるかを考えて理解しましょう!

   
12 通貨と通貨との交換比率を〔 ① 〕といい,1ドル=100円が1ドル=90円になるような場合,これを〔 ② 〕といい,〔 ② 〕になると,〔 ③ 〕が有利になり,〔 ④ 〕が不利になる。 
①為替相場(外国為替相場)  ②円高  ③輸入  ④輸出 
   多くの人が混乱する原因は「円」の数字にあります。この問題は必ず「1ドル=~円」という形で出されるため,変化するのがいつも「円」の数字だからです。だから安易に100円と90円にだけを比べてしまう。
 「円高」・「円安」といった為替相場の問題は「100円」と「90円」を比べても意味がないのです。比べているのは「1ドルの価値」なんです。
 「1ドル=100円」と「1ドル=90円」とではどっちが「1ドル」の価値が高い・安いか?と考えるのです。すると当然「1ドル=100円」の方が「1ドル」の価値が高い。「1ドル=100円」が「1ドル=90円」になったというのは,1ドルの価値が下がったということです。だからこれを「ドル安」になったといいます。
 ところでこれは円とドルの価値を比べているだけですから,一方の価値が下がったから,一方の価値は上がっているわけで,ドルの価値が下がったら比べる円の価値は上がっているわけです。つまりドル安になったということは,同時に円高になったといえるわけです。
 逆に「1ドル=100円」が「1ドル=120円」になったとします。これは「1ドル」の価値が20円上がったという意味ですから,ドル高になったといえます。つまり比べる一方の円は安くなった(円安になった)。


 外国為替相場の問題で,常に頭に入れておかなければならないことは,円高のとき,比べるもう一方の通貨は安くなっているということ(円安の場合は逆)。だから問題に「円高」と書いてあれば,その下や横にでも「ドル安」(ユーロならユーロ安),「円安」と書いてあれば「ドル高」(ユーロならユーロ高)とメモっておけば問題を解きやすくなる。

 ではもう一歩考えを深めます。「円」とはもちろんお金の「円」ではあるけれども,直接お金だけを意味しているのではありません。「円」とは「円」で値段がついている「日本の商品」のことをも意味しているのです。そしてドルとは「外国(アメリカ)の商品」を意味しているんだ。
 そして次の問題を考える。円高になると日本の輸出入はどうなるか?日本の商品は高くなるから,外国は買いにくい。よって輸出は減る(不利になる)。逆に外国の商品は安くなるから,日本は買いやすい。よって輸入が増える(有利になる)。
 ここはおぼえるのではなく,しっかり理解して解きたい。 
☆円高=ドル安とは
 〔日本の商品〕高=〔外国の商品〕安→日本の輸出不利・輸入有利(円安は逆)

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