公民 第7回 経済③ 基礎編

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労働

1 労働者には労働基本権(労働三権)が認められており,労働者が労働組合をつくる権利を〔 ① 〕,労働者が使用者と対等に労働条件について話し合いができる権利を〔 ② 〕,労働者が使用者に対して争議をおこなうことができる権利を〔 ③ 〕という。
①団結権  ②団体交渉権  ③団体行動権
   労働者使用者では本来,使用者の力が勝っているのです。使用者とは資本家といってもよい。生産手段=資本=お金・土地・機械・設備などをもっている人です。彼らが労働者を賃金で雇って,生産活動をおこなう。労働者は労働力を使用者に提供し,使用者は賃金を労働者に提供する関係。これが資本主義です。
 では本来,労働者が使用者より弱い立場にあるとは,どういゆうことでしょう?図で書くとこんな感じ。

 まず労働者が使用者に与える労働力が,使用者が労働者に対する賃金を大きく上回っているということです。言い換えれば低賃金・長時間労働ということなります。これに対し「それが嫌なら辞めればいい。」使用者の考えはこうなります。労働者は働かなければ生活できませんが,使用者は辞めた代わりになる労働者をいくらでも見つけることができるからです。こういった問題を労働問題といいます。
 では使用者と労働者を対等な関係にするためにはどうしたらよいでしょう?さきほどの理屈で考えれば,使用者は労働者に賃金を多く渡して,労働時間を短縮し,休日も増やせばよいということになりますが,果たして使用者はそれを受け入れるでしょうか?
 そこで巧く考えたものです。労働者1人対使用者では,使用者が勝ってしまいますが,労働者全員対使用者ならどうでしょう?労働者全員が要求を聞いてもらえないなら辞めるとなると,働き手がいなくなり,生産活動はできません。使用者は利益を得られなくなってしまいます。これでは使用者は労働者に大きい顔ができませんね。労働者の要求を聞くしかない。そのための労働者の権利が労働三権です。

 団結権はまさに労働者が団結する権利。具体的には使用者と労働条件の改善を求めて交渉するため【説明】労働組合をつくる権利です。団体交渉権は,その労働組合と使用者との交渉をおこなう権利。そして交渉が決裂すると,労働者はストライキなどを実行できる団体行動権をもつ。ストライキとは故意に集団で労働を放棄することで,このような団体行動は労働争議ともよばれます。こうなっては使用者は労働者の要求をのまざるを得ません。
   
2 労働三法のうち,労働三権を具体的に保障している法律を〔 ① 〕,労働条件の最低基準を定めた法律を〔 ② 〕,労働者と使用者の争議の解決を定めた法律を〔 ③ 〕という。
①労働組合法  ②労働基準法  ③労働関係調整法
   労働三法をおぼえるときのポイントは,この問題の順におぼえるということです。【セット】労働三法の中でもっとも重要な法律は何か?労働基準法ではありません労働組合法です。これがもっとも重要。なぜかって?労働組合法は労働三権を具体的に保障している法律なんだよ。だから労働三法のうち,一番最初に制定された法律もこれなんだ。
 労働基準法は,労働条件の基準を定めているにすぎない。たとえば週に労働時間は何時間までとか。
 労働関係調整法はストライキなどの労働争議がおこらないような予防策,またはおこったときの解決策を定めているんだ。
   
3 1985年,職場の男女差別をなくすため〔   〕が制定された。
男女雇用機会均等法
   男女雇用機会均等法は労働法の1つですが,必ず男女共同参画社会基本法と【セット】でおぼえること。⇒《公民:第1回基礎編》
   
4 仕事と仕事以外の生活との調和をはかり,その両方を充実させる働き方・生き方を〔   〕という。
ワーク=ライフ=バランス
   近年,よく出題されるようになってきた語句。問われたら正解したいところ。

社会保障

1 社会保障とは,貧困や病気などの生活不安を社会の責任として解決しようというもの。わが国の制度は,〔 ① 〕・〔 ② 〕・〔 ③ 〕・〔 ④ 〕で成り立っている。
①社会保険  ②公的扶助  ③社会福祉  ④公衆衛生
   社会保障について,まずおさえておく点は次の通り。
【第25条】の生存権に基づいた国の制度である。
一般会計の歳出でもっとも額が大きい。(歳出に占める割合が大きい。)
・社会保障の仕事は大きく4つある。⇒《2~5》
 社会保障の4つの仕事は,四字熟語で一気におぼえてしまいましょう。社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生の4つです。【セット】
   
2 〔   〕とは,加入者が保険料を納め,病気・老後・失業など必要なときに給付を受ける制度である。
社会保険
   他の3つと大きく異なるのは,加入者が保険料を納めるという点です。必要なときに備え,もしものときは国から給付を受ける。「必要なとき」とは,病気(医療保険)老後(年金保険)失業(雇用保険)要介護(介護保険)労働災害(労災保険)に対して。保険料を納めるということが加入を意味し,逆に保険料を納めないと,給付を受けることができません。
☆社会保険のポイント
・国民が保険料を納める。
・将来の生活のリスクを軽減させるための予防。
(未来に対しての制度)
   
3 〔   〕とは,生活が困難な人に対して,生活費を支給する制度である。
公的扶助
   社会保険が未来に対しての予防であるのに対し,公的扶助は結果に対する支援です。【比較】この社会で実際に困窮に陥った場合,最低限の生活費を保障する制度です。「扶助」の「扶」も「助」も「たすける」という意味。
 ここでもポイントは「お金」です。次の社会福祉とともに公的扶助は社会的弱者の支援を目的としますが,大きな違いは「公的扶助」が「お金の援助」であるのに対し,「社会福祉」が「お金以外の援助」にあるという点。【比較】
 したがって公的扶助の問題では「~費」といったお金についての言葉が出てくることに注意しましょう。
☆公的扶助のポイント
・社会保険との違い…社会保険は将来の予防,公的扶助は結果についての支援。
・社会福祉との違い…社会福祉はお金以外の支援,公的扶助はお金の支援。
   
4 〔   〕とは,身体障害者・児童・高齢者など社会的弱者を支援する制度である。
社会福祉
   社会的に弱い立場にある人,支援が必要な人,例えば未成年・児童,高齢者,障がい者,経済的困窮者などなど,こういった人々に対する行政サービスや施設などを整備していくことをいいます。
 公的扶助がお金自体の援助であるのに対し,社会福祉は設備・施設・制度・サービス内容・資格・支援団体などお金以外の援助が目的です。
   
5 〔   〕とは,伝染病予防や上下水道の整備などをおこなう制度である。
公衆衛生
   「衛生」とは「生を衛(まも)る」こと。つまり健康,病気の予防を意味します。これを公的におこなうとは,公害対策上下水道の整備感染症予防,生活習慣病予防,食品安全などが主な仕事になります。
6 全人口に占める高齢者の割合が高い社会を〔   〕という。
高齢社会
   少子高齢化は社会保障制度にとって大問題です。
☆少子高齢化と社会保障
・少子化→人口減少→税収・保険料収入の減少→保険料・税金の増額
・高齢化→医療費・社会保障費の増大→給付金の減額
   

日本経済

1 1950年代後半からはじまる経済の大幅な成長を〔   〕という。
高度経済成長
  ☆戦後日本の経済の流れ
1950年    朝鮮戦争→経済の回復
1960年代   高度経済成長→経済の急成長
1973年    石油危機→経済の停滞
1990年前後 バブル経済→好景気
1990年代初 バブル崩壊→不景気とデフレ


 これまで何度もお話しましたが,高度経済成長期が1960年代であること。(1960年代といえば高度経済成長を思い出す)そしてその成長がストップしたきっかけが石油危機であり,その年が1973年であることは受験では必須事項。
   
2 1973年,高度経済成長が止まるきっかけとなったのは〔   〕である。
石油危機
 
3 1980年代後半から90年代初頭にかけての日本の好景気を〔   〕経済という。
バブル
 
4 1990年代中ごろから,パソコン・インターネットを利用した〔   〕産業が急速に発展した。
IT
   最近では,IT(情報技術)に携帯電話などの「通信=コミュニケーション」をあわせて「ICT(情報通信技術)」とよぶようになっています。

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