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労働基準法には〔 〕の最低基準が定められている。 |
答 |
労働条件 |
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労働基準法の「基準」は「労働条件」の基準を定めていることに注意。労働基本権(労働三権)について定めているのではありません。労働基本権(労働三権)を具体的に保障している法律は,労働組合法です。【比較】おさえておきたい内容は次の通り
・男女同一賃金
・労働時間…週40時間以内,1日8時間以内(休憩時間を除く)
・15歳未満(15歳になって最初の3月31日になるまで)の児童の労働禁止
労働時間については,「休憩時間を除く」という点に注意。「含む」と書かれている文は×。また週40時間,1日8時間以内であって,週休2日が定められているわけではないので注意。 |
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2 |
国家公務員や地方公務員は,国家公務員法・地方公務員法で〔 〕権が全面禁止されている。 |
答 |
団体行動権(争議) |
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すべての公務員一律に制限されている権利が団体行動権(争議権)です。(【第15条】の「全体の奉仕者であり,一部の奉仕者でない」)
ただし仕事内容によってはすべての権利が制限されている公務員もあります。 |
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3 |
近年,雇用や賃金のあり方を見直す企業が増えたことから,パートタイマーや派遣労働者などが増えている。このような就業者は〔 〕とよばれている。 |
答 |
非正規労働者 |
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パートタイム労働者,派遣労働者,契約社員,アルバイトなどで働く人々を総称して,非正規労働者(非正規雇用)といいます。
・パートタイム労働者
正規労働者に比べて,労働時間が短い労働者。
・派遣労働者
労働者派遣事業者に雇われていて,そこから企業に派遣されて働く人。
いずれも長期雇用を前提としておらず,賃金も正規雇用に比べて安い。つまり収入が不安定であるということ。【説明】 |
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4 |
労働者一人あたりの労働時間を短縮することによって雇用人数を増やし,多くの人に労働と収入を与えようという考えを〔 〕という。 |
答 |
ワークシェアリング |
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近年よく取り上げられる労働問題の1つが労働時間の問題です。当然長時間労働が問題になるわけですが,ここには2つの側面がある。まずは数字(統計)にあらわれる労働時間と数字(統計)にあらわれない労働時間です。
まずは法定労働時間。これは労働基準法に定められている週40時間,1日8時間というやつ。そこへもってきて時間外労働がある。
これは違法かというと実はそうではありません。労働組合との間で協定が結ばれていて,その範囲内であり,その分の残業手当が支払われればOK。しかしOKとはいえ,まだまだ日本の年間総実働労働時間はヨーロッパ諸国に比べて長く,有給休暇の取得日数は短い。
そして時間外労働の申請をさせなかったり,残業手当を支払わなかったり,職場外での仕事を強制(仕事の持ち帰り)したり,こういったことをサービス残業といいます。日本の実労働時間(1607時間[応用編7-1 データブックオブザワールド2024より 2021年])の裏には,年間300時間を越えるサービス残業が隠れているといわれます。サービス残業は,突然死・過労自殺など過労死を招くことがあり,現在大きな社会問題となっています。(イギリス・ドイツ・フランスなどの総実労働時間は1300~1400時間)
一方,欧米にはサービス残業なんてありません。特にヨーロッパのドイツ・フランスなどで労働時間が短いのは,ワークシェアリングのためだと考えられます。ワークシェアリングは石油危機以降,ヨーロッパ特にオランダで成功した働き方で,「仕事の分かち合い」(「シェア」は「分けること・分担」の意)を意味します。従業員1人あたりの労働時間を減らして,その分の雇用を増やそうとする仕組み。労働時間が短縮された分,賃金も減少しますが,失業者も減少するので,失業対策としても有効です。
また労働者が自分で一定の労働時間帯内で,労働開始時間と終了時間を自由に決定できるフレックスタイム制を導入している企業も増加しています。ワークシェアリングやフレックスタイム制をうまく導入すると,ワーク=ライフ=バランスの実現や育児・介護に有効だとされています。 |
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5 |
日本的な労使関係の特徴は,〔 ① 〕制,〔 ② 〕制,企業別労働組合だったが,近年変化がみられる。 |
答 |
①終身雇用 ②年功序列賃金(順不同) |
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日本には戦後,大企業を中心に,同じ企業が定年まで雇用を保障する終身雇用制,勤続年数に応じて昇給していく年功序列賃金制,企業ごとに正社員のみで組織される企業別組合という三大慣行があり,日本の経済成長を支えてきました。
しかし1990年代,バブル崩壊後,経営難に陥った企業はリストラという形で,正社員を解雇したり,かわりに非正規社員を雇用(非正規雇用)し,能力給(成果に合わせた賃金)を導入する企業が増えてきたのです。
[グラフ:応用編7-2 労働力調査結果(総務省統計局) 長期時系列データ 表10(1)を加工して作成 2001年までは2月,2002年からは年平均 役員を除く雇用者の正規と非正規の職員・従業員数]
非正規雇用には,都合のよい時間に働くことができること,自分の資格や技能を活かすことができる(正規雇用では自分にあった部署に配属されるとは限らない)といった利点がありますが,年齢が上がっても賃金が上がりにくい点や正社員として働きたくても採用されないというマイナス面があります。【説明】 |
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6 |
1歳未満の子どもの育児や,介護を必要とする家族のために,休暇をとることを保障した法律を〔 〕という。 |
答 |
育児介護休業法 |
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女性の就業者数は年々増加していますが,女性の年齢階級別労働力率をみると,かつては「25歳~29歳」と「45歳~49歳」を左右のピークとして,30代~40代前半の割合が低い,いわゆる「М字カーブ」を描いています。
[グラフ:応用編7-3 労働力調査結果(総務省統計局) 長期時系列データ 表3-(2)を加工して作成]
これは結婚・出産・育児年齢にあたる年代に一旦低下(離職)し,育児が落ち着いた時期に再び上昇(再雇用・再就職)していることを示しています。【説明(理由)】
1981年・2001年と比べると2023年にはМ字の曲線がかなり改善されていることがわかります。これには雇用関係を継続したまま育児や介護のため一定期間の休業を認める育児・介護休業法をはじめ,さまざまな支援制度が整ってきたことが要因の1つでしょう。
その一方で女性の就業形態をみると,男性に比べて非正規雇用が多く,結婚・出産年齢時期かかる25歳以降から正規雇用が減少して,非正規雇用が増加する傾向がみられます。
特にパート(パートタイマー)とアルバイトを合わせたパートタイム労働者が女性労働者の40%以上,その他派遣社員などを含めた非正規雇用の割合が女性労働者の半数以上を占めています。
[グラフ:応用編7-4 日本国勢図会2024/25より 2023年] これからも女性が働き安い環境を整備するためには,保育所の充実,育児休暇の拡大,夫となる男性の育児休暇,産後の職場復帰での地位の保証などが必要になってきます。【説明】 |
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7 |
安定した雇用機会を確保するために厚生労働省が運営する公共職業安定所を〔 〕という。 |
答 |
ハローワーク |
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8 |
労働が原因でおこる災害を〔 〕という。 |
答 |
労働災害 |
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災害とはいいますが,業務中におこる怪我,病気,障害,死亡をいいます。通勤中も含みます。また過労死や自殺の要因が会社にあれば,これも労働災害と認定されます。 |
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9 |
労働力人口における失業者の割合を〔 〕といい,現在,日本の〔 〕は他の先進国より低くなっている。 |
答 |
失業率 |
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15歳以上の労働力人口(学校に通っている人や高齢者などを除く)のうち,従業者と休業者以外を完全失業者といいます。失業率とは,労働力人口に占める完全失業者の割合で,完全失業率ともいいますが,言葉の定義を詳しく知っておく必要はないでしょう。
ただやはり1990年代のバブル崩壊後,長期の不況で失業率が悪化,現在は次第に回復してきて,先進国の中でも低い方であることを理解しておきましょう。2.6%(2023年)
[グラフ:応用編7-5 労働力調査結果(総務省統計局) 長期時系列データ]
☆2020年の失業率が大きく上がっているのは,新型コロナウィルスの影響です。世界でみてもアメリカで特に顕著であることがわかります。(下図))
[グラフ:応用編7-6 ILO DATAより]
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