地理 第1回 地図   応用編1 地図

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六大陸・三大洋の語源

 ユーラシア大陸はヨーロッパとアジアを足してできた言葉です。「ヨーロッパ+アジア」→「ヨーロッパアジア」→「ユーロアシア」→「ユーラシア」。ヨーロッパの語源はギリシャ神話に登場する女神「エウロパ」。木星の衛星にも同じ名前が使われていますね。アジアの語源は「エーゲ海の東」を意味する言葉。そこでヨーロッパとアジアを区別する境は南はエーゲ海より東,北はウラル山脈より東がアジアだと思って下さい。トルコは地理的にはアジアと考える。
 ※トルコはボスポラス海峡という海峡を隔てて,アジア側にもヨーロッパ側にも領土があり,文字もアルファベットを使用,EU加盟にも申請しています。政治的にはヨーロッパに近い国としてとらえることもありますが,地域区分ではアジアです。
 アフリカの語源は様々な説がありますが,古代ローマのころには北アフリカ一帯をアフリカ(アフリカ属州)とよんでいました。
 南北アメリカの「アメリカ」は人名です。15世紀末から16世紀初頭のイタリアの冒険家アメリゴ=ベスプッチがコロンブスの発見した地がヨーロッパ人にとって未知の大陸であることを証明しました。彼の名にちなんで。
 オーストラリアは「南の地」を意味するラテン語から,太平洋を意味する英語「パシフィック」もラテン語から「穏やかな=太平(泰平)」からきています。世界一周で有名なマゼランが大西洋に比べて穏やかな海であった太平洋を「平和な海」と呼んだことに由来します。西洋の言葉を訳した言葉です。
 一方,大西洋は漢語,つまり中国で使っていた言葉をそのまま日本で使用しています。中国からみて西にあるヨーロッパを中国では「大西洋」といっていたようです。「西洋・東洋」の「西洋」ですね。そこでさらにその西にある大洋も「大西洋」とよばれるようになりました。

緯度と経度

1.緯度と経度とは
①緯度
 下の図は地球を真横からみたものです。円の中心Oは地球の中心,円周は地球の表面です。今地球の表面にA点をとり,中心Oと直線で結びます。このとき赤道と直線OAによってできた角度X,これが緯度です。地球は実際は球体なので角度Xは無限に作ることができます。角度Xとなるように無限に中心Oから地表に向かって線を引くと,ぐっると一周,赤道に平行の線ができあがります。これが緯線となるのです。

②経度
 次の図は地球を真上からみたものです。中心Oは北極点,北極点Oから真直ぐ真下に線を引きます。これを本初子午線(経度0度線)とします。そうすると逆に真上に引いた線が180度線となります。そうすると円の左半分が東経となる領域,右半分が西経となる領域といえます。そこで図のように点AをとりOとAを結びます。こうして本初子午線と線OAとの間に角度Yが作られます。この角度が経度です。

2.反対側の地点を求める(対蹠点)
 「対蹠点」(「たいせきてん」と読む)とは,ある地点の地球上の反対側の地点を意味する言葉です。「対蹠点」という語句自体が問われることはないですが,反対側の地点を求める問題だと思って下さい。

【例題】東京は北緯35度・東経140度に位置する。東京の対蹠点(地球上の反対側の地点)を緯度と経度を用いて答えなさい。
・緯度の考え方(中心O,東京T,対蹠点X)
図から対頂角は等しいので緯度は35度。反対側は南緯なので→南緯35度

・経度の考え方(中心O,東京T,対蹠点Y)
図から対蹠点の角度は180°-140°=40°反対側は西経なので→西経40度
☆結論 対蹠点の求め方
    ・緯度…南緯と北緯(北緯と南緯)を入れかえる(角度はそのまま)。
    ・経度…180°-問題の経度 → 東経と西経(西経と東経)を入れかえる。


答え:南緯35度 西経40度

3.おぼえておくと便利な緯度・経度
①北緯40度
 基礎編でおさえた北緯40度をもう少し詳しく,都市を基準にみていきましょう。

 中国では首都ペキンを通過します。ヨーロッパではイタリアの首都ローマの少し南,スペインの首都マドリード。アメリカでは東海岸のニューヨークが北緯40度,西海岸ではサンフランシスコがもっとも近い。アメリカの都市をおぼえるとき,このアメリカ中央部を走る北緯40度線上のニューヨーク・サンフランシスコを基準にしておさえ,それぞれ南側にワシントン(ニューヨークの南側)とロサンゼルス(サンフランシスコの南側)をおぼえるとよい。

②日本の位置
 日本の位置を緯度・経度のワクにあてはめてみましょう。面白いことがわかります。緯度は北緯30度~45度の間,経度は東経130度~145度の間にすっぽり収まります。「30・45」という数字が共通していますね。これはおぼえておくと使える数字です。


 「30・45」のワクを5度間隔でみていくと。東経135度日本の標準時子午線兵庫県明石市を通過する経線です。東経140度はおよそ東京を通過し,東北地方で北緯40度と交差します。この交点は秋田県のイボのように日本海に突き出た半島(男鹿半島)のちょうど付け根にあたります。干拓地として有名な八郎潟です。北緯35度は日本の大都東京・名古屋・大阪をつなぐラインとしてみておくとよい。

③回帰線
 北緯・南緯それぞれ約23度の緯線です。北回帰線は北半球が夏至(6月)のとき(正午)に太陽が真上にくる地点。南回帰線は南半球が夏至のとき(正午)に太陽が真上にくる地点。回帰線が通る位置は気候のところで重要になってきます。数字は特に気にしなくて結構ですが,だいたいどのあたりを通るのかを地図で確認しておきましょう。

④極点を中心とした地図の見方
 北極点・南極点を中心にした地図が出題されることがあります。これらの地図が出題されるや否や混乱に陥る人がいます。その原因の1つが大陸の形と位置。2つ目が,東経と西経です。
 まず大陸の位置ですが,北極点を中心にした場合,大きな混乱はありませんが,問題は南極点(南極大陸)の場合です。大陸の位置が上下逆さになっている上,その一部しか描かれていないことがあります。目印にするのは,下図の○枠で囲った南極大陸の尻尾のような半島(南極半島)。この半島は海峡を挟んで南アメリカ大陸と向き合っており,南極と他の大陸との距離が最も近い場所となっています。この半島を目印にして,向かい側に南アメリカ大陸があり,その反対側がオーストラリアになることをおぼえておきましょう。そうすると,もし南極大陸のみが描かれた地図が出題されても迷うことはありません。
 問題はどちらの半球が東経・西経であるかです。これは非常に間違い安い。見た目だけで判断すると大けがをすることがある。まず下図を見てみましょう。両地図とも真上に0度(本初子午線)をとっています。この地図はわかりやすいようにある程度周辺の大陸が入るようにしてあります。実際はこのような地図が出るときもあれば,もっと極点だけを拡大した地図も出されますし,経線のみ示してある略図も出題されます。
 まず左の北極点中心の地図をみてみます。真上に0度をとるとイギリスが普段見慣れている地図とは上下逆さまになっています。そのため,東経と西経も左右逆になるのです。地図では大陸が描かれていますから,ユーラシア大陸と日本の位置から考えて左手が東経・右手が西経になるとわかりますが,そのことを無視して,感覚的に左手を東経・右手を西経としてしまうと,答えがすべて逆になってしまいますから要注意です。
 同様に右の南極点(南極大陸)を中心にした地図でも上に0度をとると,大陸の位置関係から考えて,今度は左手が西経・右手が東経となります。
 次に方位です。地球上のあらゆる地点からみた北極点の方位は北,反対に南極点は南になる。これは変えようのない真理なので,たとえどのような地図が出題されようが同じです。逆に北極点からみたあらゆる地点の方位は南,南極点からみたあらゆる地点の方位は北となります。
 このように両極に関する問題が出題された場合は,普段見慣れないという受験生の弱点をついたひっかけ問題が出題されます。「ひっかからない」という意識をもって考えるようにしましょう。

地図の問題

1.方位について
①四方位
 東西南北のことです。南北は北極点と南極点を結んだライン上に立ち,北極点に向かう方角です。逆が南。北極点と南極点は動きません(現時点では)から南北という方位は絶対的なものです。北(南)がどちからか,つまり北極点(南極点)がどこにあるかを調べる道具が方位磁石です。
 この方位磁石をゆれる不安定な海の上でも使えるようにしたものを羅針盤といいます。中国の宋の時代に発明されたものが,イスラム世界,ヨーロッパ世界に伝わって実用化されます。ルネサンスの三大発明に数えられ,大航海時代を支えました。

左:コンパス(方位磁石)…羅針盤はこれを船に固定した装置。
右:六分儀…天体を観測する(天測)ことで現在地を計測した。

 一方,東西は絶対的な方位ではなく相対的な方位です。東西の定義は,南北の線に対して直角に交わる線を作ります。交点に立って右を東,左を西とします。下の図をみてみましょう。

 地球上のA・B・Cの各点において,経線と垂直に交わる線が東西を示す方位となります。A点・C点において経線と緯線は垂直に交わっていません。したがって緯線=東西ではないので,地球上の位置によって東西の方位は異なるのです。ただし赤道上においては経線と緯線(赤道)とは直交しますので,赤道上のみ東西南北の方位はどの地点においても同じになります。

②八方位
 四方位のちょうど真ん中の斜めの方位ですね。「北西・北東・南西・南東」に「東西南北」の四方位を合わせて八方位。注意することは方位を問われたたら,「北・南」を先に書くことです。よく「北東」を「東北」,「南東」を「東南」と答える人がいます。方位を問う問題ではこれは×になる。気持ちはわからないでもない。「東北地方」とか「東南アジア」ってあるもんね。「西南戦争」だってある。
 なぜこのよう混乱が生じるのでしょう。「北・南」を先にする表現は,西洋の言語の特徴です。英語では「北東」を'north-east',「南西」を'south-west'といいます。
 一方,中国をはじめとする漢語圏では「東西南北」という方位を表す四文字熟語があります。ここからさまざまな方位を表すとき「東→西→南→北」という順を守ってで表現するのです。「東西」・「南北」・「東南」・「西南」・「西北」・「東北」など。西洋文化も漢字文化も日本独自のものではありません。そこで日本ではこれらの表現が統一されずに混在することになった。
 普段の生活では「南東」でも「東南」でも別にどうってことはない些細なことだと個人的には思いますが,テストでは方位は「北・南」先にいうとおぼえておいて下さい。

③十六方位
 八方位をさらに分割した表現です。基本は八方位の「北東・北西・南東・南西」。北寄りの北東は「北北東」。東寄りの北東は「東北東」となります。十六方位は公立高校の入試問題でも出題されます。

2.正積図法
 面積が正しい地図には,サンソン図法・モルワイデ図法・グード図法などが有名ですが,あまり直接,地図の名称が出題されたりすることはありません。あぁこんな図法なんだなとみておくぐらいでよいでしょう。
面積が正しいのだから,面積と関わることがらを知るために用いられます。「面積の割りに~だ。」とか,広さに対して比較する何かを見てわかるようにする。つまり「密度」図や「分布」図といった用法です。

※長方形の地図に形・面積をほぼ正確に表した地図にオーサグラフという地図があります。2009年に日本人が製作したことで知られます。

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