地理 第1回 地図   応用編3 地形図

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さまざまな地形図の問題 PART1

1.知識編
国土地理院
 25000分の1,50000分の1のいわゆる地形図をつくっているところです。国土交通省のもとに置かれています。「帝国書院」と答える人も中にはいる。(笑)

ハザードマップ
 自然災害の被害を予測したもの。避難場所や避難経路を確認するためにも用います。今後出題が増加すると思われます。

2.計算編…面積を求める
【例題1】25000分の1の地形図上で1c㎡の面積は,実際の面積にすると何㎡ですか。
 今度は面積の問題。といっても面積は長さ(距離)から求めます。いきなり面積を求めようととても無理です。まずは1c㎡を1cm×1cmと考えましょう。〔6c㎡なら2cm×3cmでも1cm×6cmでもどちらでも〕そして1cmの実際の長さを求める。
 1cm×25000=25000cm
         =250m
面積は250m×250m=62500㎡(答え)
☆面積を求める問題も実際の距離を求めてから面積へ。(問題が正方形だけでなく,長方形・三角形となっている場合も当然同じ)

3.さまざまな地形図
※リンクした地形図は拡大・縮小したり,上下左右(東西南北)に自由にスクロールしてみて下さい。
①三角州
広島市
 広島市を説明する文章によく使われるのが,「太田川の三角州に形成された……」という文句です。リンクした地図は原爆ドームが中心となっており,河川がたくさん流れています。これはすべて太田川が枝分かれした河川で南へスクロールしていくと多くの三角州を形成していることがわかります。

濃尾平野西部
 濃尾平野を説明する文章によく使われるのが,「木曽川・長良(ながら)川・揖斐(いび)川下流域には周囲を堤防で囲んだ輪中とよばれる集落がある。」という文句です。リンクした地図をみて下さい。愛知県と三重県の県境になっている部分です。東から木曽川・長良川・揖斐(いび)川の三本の河川が流れています。河川と河川の間に大きな三角州が存在します。細長い島のようですので「長島町」と名づけられています。
 この長島町は河川が増水すると洪水の被害を受けてきた歴史があり,町はぐるっと堤防でおおわれています。この堤防で囲まれた集落を輪中というのです。輪中の中の標高は南の方で0m,中には「-」がついたものもみられます。「-」がついているということは,この輪中の標高は河川よりも低いところにあるのです。

長島町の家屋
 家屋は洪水に備えて石垣の上に建てられている。古い家屋には母屋とは別にさらに高いところに「水屋」とよばれる避難所が設けられている。

②台地
・台地の例…静岡県磐田市
 この地形図の場合,中央の等高線を境に東側の標高が高く,西側が低くなっています。東側が台地です。台地の西側には川が流れていて,水が得やすく水田が広がっていますが,台地側は水が得にくいため,茶畑に利用されています。一般に台地は水が得にくいため水田には不向きであることを理解しておきましょう。

③ため池
 讃岐平野など降水量が少なく(瀬戸内海の気候),大きな河川がないところでは,干害に備えて古くからため池を利用していました。ため池が多い理由を問われますので理解しておきましょう。
・ため池が多い地形図の例…香川県丸亀市

④等高線と傾斜
 等高線の間隔が広いと傾斜がゆるやか。等高線の間隔が狭いと傾斜が急。とよくいわれます。これを少し違ったまとめ方をしておきます。
☆同じ縮尺における傾斜は
 距離(地図上の長さ)が同じなら
   等高線の本数が多い→傾斜が急
   等高線の本数が少ない→傾斜がゆるやか
 等高線の本数が同じなら
   距離が長い→傾斜がゆるやか
   距離が短い→傾斜が急



⑤撮影方向を問われる問題のコツ
 写真が与えられその撮影方向を地形図上から選ぶ,または地形図上の方向からみた写真を選ぶといった問題が出題されることがあります。
 このような問題を解くコツとして,写真を大まかに三分割する。もちろんさまざまな写真がありますから,きっちり三等分にはしなくてもいいです。左手・正面・右手といった感じで。つまり左・中央・右の三つの地形や建物に注目するのです。
 普通のカメラの標準的なレンズで写真撮影しますと,だいたい写真に収まる角度(端から端まで)は50度ぐらいです。よって地形図上の撮影ポイントと方向を中心に測りやすい角度で45度(90度の半分)~60度の視界をつくり(だいたいでよろしい),それをおよそ三等分する。そして写真と照らし合わせて目印となる地形や建物を探る。


⑥道のりの問題を解くコツ
 A点からB点の道のりが問題文として書かれ,正しい道のりを地形図上から選ぶ,または地形図上の道のりとして正しい文を選ぶ問題が出題されることがあります。簡単な例題文をみてみましょう。(地形図は省略します)
【例題文】
 「日曜日にハイキングに行きました。電車を降りてから,登山口までの道を案内します。
 まず駅からまっすぐにのびる道路を歩きました。駅の近くには,銀行や郵便局や商店が集まっていました。しばらく行くと交差点があり,その角には役場の建物がありました。この交差点を北に曲がり,少し歩くとお寺が見えました。このお寺のところを曲がり,①学校を通過して,②橋をわたりました。このあたりには民家がみられず,水田が広がっていました。そのまま山の方に向かって歩いていますと,何を栽培しているのかわかりませんでしたが,③畑がありました。登山口に到着です。」


 この問題の設問は,下線部①で通過した学校を地形図中から選ぶ。下線部②の橋から駅を右手として見える山の形を選ぶ。下線部③の畑で栽培している作物を選ぶ。以上3問です。
 道順をまちがえると選ぶ学校の位置,橋からみえる山の形,栽培されている作物をまちがえます。正確に道のりをたどるコツは文を細かく区切ることです。途中「/(スラッシュ)」などを入れながら注意深く読みましょう。
〔区切り例〕
 「まず駅からまっすぐにのびる道路を歩きました。/駅の近くには,銀行や郵便局や商店が集まっていました。/しばらく行くと交差点があり,/その角には役場の建物がありました。/この交差点を北に曲がり,/少し歩くとお寺が見えました。/このお寺のところを曲がり,/①学校を通過して,/②橋をわたりました。/このあたりには民家がみられず,/水田が広がっていました。/そのまま山の方に向かって歩いていますと,/何を栽培しているのかわかりませんでしたが,/③畑がありました。/登山口に到着です。」

 この文は比較的やさしい文なので,ほとんどが句読点で区切ることができますが,区切るポイントは次の通りです。
☆文を区切るポイント
 ・句読点
 ・地図記号で示される建物
 ・道を曲がるところ

 もちろんこのような手間をかけずとも解ける問題はたくさんあります。このような手間をかけて問題を解く利点は,
 ・正解を導きやすい。(見落としが少なくなる)
 ・見直しがしやすい。(どこまでが確実でどこからが不確かかをたどりやすい)
ということになります。つまり問題を正解に結びつけようという姿勢に結びつくのです。私の経験上,この手の問題が解けない人ほど,文を正確に読むことを最初からあきらめている人や読んでいるうちにパニックになっている人が多いようです。1つ1つゆっくり落ち着いて解こうという姿勢や気持ちをもつための区切りなのです。

また社会の入試問題全体の中でも地形図の問題は比較的時間をとる単元です。まずは後回しにして最後にじっくりと解くのも1つの手です。

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