地理 第1回 地図   発展編2 時差

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時差 その他の知識

1.サマータイム
 たいていの問題はサマータイムを考慮に入れないことを前提としていますが,まれにサマータイムも含んだ問題が出題されます。
 夏時間ともいわれるこの制度は,欧米を中心に実施されている制度です。中緯度・高緯度の地域では,夏季の日照時間が長くなります。そこで夏季だけ,(時計の)時間を1時間進めます。こうすることで生活のリズムは時計の時間よりも1時間早くなります。通勤・通学が1時間早くなったということは,終わる時間も早くなったということで(時計は午後5時を示しているが,実際は午後4時),その分夕方の明るい時間を余暇として有効に利用することができます。
 余暇の充実という利点のほかには,明るい時間を有効に使えるので照明などエネルギーの節約になるという効果もあります。欠点としては,コンピューターシステムの切り替えにともなうコストや交通機関の混乱があります。30年近く前,私がアメリカにしばらく滞在していたとき,ちょうどサマータイムの切り替え日にアメリカ人と待ち合わせしたところ,なかなか来ない。すっぽかされたのかと思っていると,ちょうど1時間遅れでその人が車で迎えにきました。その人は時間の切り替えをすっかり忘れていたらしかったという経験があります。
 期間は3月下旬から10月にかけて,ヨーロッパのほとんどの国とアメリカ・カナダで実施されています。南半球ではオーストラリア・ニュージーランド・ブラジルなどでおこなわれており,当然北半球とは逆に9月~4月にかけての期間となります。実施期間が終われば時計は1時間戻すことになります。
 ちなみに日本でも一時戦後の占領下において,サマータイムが実施されたことがありました。

2.標準時子午線
GMT
 世界標準時を意味し,ロンドンの旧王立グリニッジ天文台を通る本初子午線を基準とする時刻。Gはグリニッジのこと。
※グリニッジ標準時はグリニッジ「天文台」が示すように天体観測をもとに時刻を決定している。そのため微妙なズレが生じます。そこで現在では原子時計を使ってこの誤差を常に調整したUTC,協定世界時というのを世界標準時として採用し,UTCからの時差を各国の標準時として使用しています。こちらの方が正確。

旧グリニッジ天文台 グリニッジ天文台跡地の本初子午線

②標準時が複数ある国
・ロシア
 現在は9つの標準時をもっています。
・アメリカ
 標準時は4つ。ただしこれは本土だけのことで,この4つの標準時はカナダにも適応されています。アメリカ合衆国だけでいうとアラスカとハワイはそれぞれ違う標準時を適応しています。
・面積の大きい国
 ロシア・アメリカ・カナダ・オーストラリア・ブラジルなど面積の大きい国には標準時が複数あることになります。あれっと思った人は次。

③中国
 中国には標準時は1つしかありません。ペキン時間のみです。こんなところにも共産党一党独裁の影響があるのでしょうか。

④インド
 インドの標準時も1つしかありませんが,これがユニーク。インドの標準時子午線は東経82.5度に設定されています。これが何を意味するかというと,15度で割ってみましょう。5.5ですね。つまりグリニッジ標準時とは5時間30分の時差があるっていうこと。日本からみると3時間半。インドに行くとこれが結構面倒くさかったりする。

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