地理 第3回 気候   発展編2 日本の気候

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その他の地域的特徴

1.日本海側の気候
①日本海の幅と冬の降水量(積雪量)
 大陸と日本列島の間にある日本海の幅(距離)をよくみてみましょう。九州と北海道でもっとも狭く,北陸でもっとも広くなっています。このことは同じ日本海側の気候でも多少の違いを生じさせます。冬のシベリア気団の高気圧は北西の季節風を生じさせますが,この風は二通りの風路を通ります。1つはロシアの沿海州からそのまま北海道・東北へと北西に進む進路ともう1つは朝鮮半島側に迂回してやや西よりに日本海を通過する進路です。そのため北海道・九州・山陰の積雪量は,季節風が十分水蒸気を補給できないため,北陸に比べて少ない。
 対馬海流上空を時間をかけて北陸にたどりつく季節風にはたっぷりと水蒸気を含まれています。そのため北陸の冬の降水量は他と比較して極端に多くなり,日本屈指の豪雪地帯となっているのです。


 上の雨温図は上段に北陸以外の地域,下段に北陸地方のものです。降水量200mmのラインに注目してみましょう。
 福岡は本来,冬に降水量の多い日本海側の気候にならなければならない。しかし先の理由により,北西季節風は暖かい海面に触れる距離が短いため,冬の降水量は少なくなり,特徴は太平洋側の気候を示しています。松江・秋田・札幌のグラフには日本海側の気候の特徴はあらわれていますが,下段の北陸に比べると冬の降水量は少ない。
 北陸地方はいずれも冬の降水量は非常に多く,北西季節風が十分に日本海の水蒸気を蓄えている証拠です。新潟がやや少なくなっているのは,北西季節風を佐渡島が遮っているためです。

雁木(がんぎ),雁木造
 新潟では積雪しても人が通れるように商店などが軒を延長して歩道を確保しています。これを雁木または雁木造といいます。上越市の雁木は総延長16kmにもおよぶ。

※日本海側の気候は地中海性気候?
 日本は北海道を除けば,温帯に属し,全体的には温暖湿潤気候になります。温暖湿潤気候は,これまで世界の気候で何度も説明してきた気候です。しかしここまできて,あることが気になった人はいませんか?日本海側の気候は夏よりも冬の降水量が多い。形的にも地中海性気候に近いグラフを描く。日本海側の気候は,地中海性気候じゃないの?その疑問は的を射ています。
 ここで遅くなりましたが,温暖湿潤気候の降水量の条件を挙げておきます。
・最多雨月が夏にある場合
  最多雨月降水量≦10×最少雨月降水量
・最多雨月が冬にある場合
  最多雨月降水量≦3×最少雨月降水量 または最少雨月降水量が30㎜以上
 一方,地中海性気候は
・最多雨月が冬にあり,最多雨月降水量>3×最少雨月降水量 かつ最少雨月降水量が30㎜未満

ともに最後の部分が肝で,「最少月降水量が30㎜以上(未満)」がなかったら,日本にも地中海性気候が存在することになってしまいます。(実際,最初はそうなってしまったので,あとからこの部分が付け加えられた)上に挙げた上越(高田)の例がそうです。降水量(㎜)を数値にすると,下のようになります。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
419.1 262 194.2 96.1 95.7 145.3 210.6 150.4 206.2 210.8 342 423.1

最多雨月降水量は12月(冬)の423.1㎜。最少雨月降水量は5月の95.7㎜。これを3倍してやると287.1となり,423.1>287.1になってしまう。最後の定義がなかったらあわや日本にも地中海性気候です。
 この降水量の基準にあてはめると,世界のニューヨークやシカゴなどや日本海側の気候のように,必ずしもはっきりと夏の方が降水量が多いと断言できる数値やグラフでなくても温暖湿潤気候といえるわけです。

 しかしここまでして確認するより,こればっかりはおぼえた方が早いと思います。

2.フェーン現象
 風が山地を昇るときに運ぶ空気の温度の減少率より,山地を越えて吹き降ろされる空気の温度の上昇率の方が高いため,山地を境に風下側の気温が風上側の気温より高くなる現象です。
 このため夏は太平洋側の山地を越えた盆地や日本海側で気温が太平洋沿岸地域より高くなり,冬は日本海側の山地を越えた盆地や太平洋側で気温が高くなるときがあります。
 例えばしばらくの間,日本最高気温の記録ホルダーだった山形市では,1933年7月に40.8℃を記録しました。これはフェーン現象が原因でした。(だから高い気温は比べてももあてにならない)近年では2007年に埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市がこの記録を抜き,8月に40.9度を記録したのもフェーン現象です。
 冬でも2009年2月には静岡県と神奈川県で25℃以上の夏日を観測したのは冬の北西季節風が山地を越えて太平洋側に吹き降ろしたのが原因です。
 このフェーン現象のうち,越後山地を越えて関東平野に吹き降ろす北西季節風を「からっ風」といいます。名前から乾いた風であることがわかります。関東地方で古くは家屋の北西方向に防風林を植えてからっ風を防ぎました。敷地に植えられたこのような樹木を「屋敷森」といいます。

埼玉県(関東平野) 民家の屋敷森
北西の季節風を防ぐための防風林

3.屋久島
 九州最高峰は屋久島にあります。この小さな島に標高2000m弱の山(宮之浦岳)があります。近くを流れる黒潮の影響と夏の季節風の影響で年間降水量は奈良県の大台ケ原・三重県の尾鷲市などとともに日本最多雨地域の1つです。
 また標高が高いため,北緯30度付近に位置するにもかかわらず山頂付近は冷帯気候となっています。そこで屋久島は一島で亜熱帯から冷帯までのさまざまな種類の樹木が見れる樹木の博物館といえるでしょう。ちなみに屋久島といえば「屋久杉」とよばれる縄文杉ですが,だいたい1000mぐらい登らなければならない。

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