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皇位継承や皇室に関する法律を〔 〕という。 |
答 |
皇室典範 |
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皇室典範(てんぱん)は,戦前は憲法と双璧をなす地位にありましたが,現在では法律の1つです。名称だけが,戦前のものを引きつぎました。皇位継承は男系男子と決まっています。男系とは,男性の血筋という意味です。過去には一時的な女性天皇はいましたが,男系女性天皇です。そのあとは必ず男系天皇の血筋から天皇は即位してきましたので,女系天皇はこれまで存在しませんでした。そして現在は男系の男子と定められています。 |
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2 |
憲法改正の国民投票の手順を定めた法律を〔 ① 〕といい,投票年齢は〔 ② 〕歳以上である。 |
答 |
①国民投票法 ②18 |
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憲法改正の手続きについては,【第96条】に定められていますが,国民投票については過半数の賛成とあるだけで,具体的な投票制度についてはつい最近まで規定されていませんでした。つい最近とは2007年(2010年施行)です。投票年齢は18歳以上と定められ,これにともなって選挙法が改正され,2015年に選挙権が18歳以上に引き下げられました。
有効投票総数(賛成票と反対票の合計)の過半数で成立するとされているのですが,最低投票率制度はないため,投票率が低くても憲法改正は成立してしまうという危うさがあります。 |
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3 |
自衛隊の最高指揮監督権は〔 〕にある。 |
答 |
内閣総理大臣 |
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【第9条】のもと日本は,戦前の反省,周辺諸国への配慮から,自衛隊の防衛力に対するさまざまな歯止めをかけてきました。文民統制,非核三原則,防衛費GNP(GDP)1%以内,集団的自衛権の否認などです。
自衛隊の暴走を防ぐため,自衛隊の行動や権限については,内閣及び国会が指揮・監督する文民統制(シビリアン=コントロール)をとっています。 |
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非核三原則は,1967年,〔 〕首相が国会で言及し,71年に衆議院で決議された。 |
答 |
佐藤栄作 |
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日本の防衛費が無制限に増加するのを防ぐだめ,防衛費は対GNPの〔 〕%と設定されていたが,1987年にこの歯止めは解除された。 |
答 |
1 |
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自衛隊が自衛のための必要最小限度のものならば,何をもって最小限度かを示さねばなりません。そこで1976年に,国民総生産(GNP)の1%を超えないことをめどとするという閣議(三木内閣)がなされ,中曽根内閣の1987年にこれを突破するまでの目安とされました。
しかしその後バブル崩壊後の財政難で,増額は続かず,逆に1%枠は概ね守られています。現在では国内総生産(GDP)の約1%で,およそ5兆円です。
日本のGDP(国内総生産)がおよそ500兆円であることは,知っておいた方がよいでしょう。その1%だから5兆円ということになる。世界ではアメリカの対GDP比5%が突出しているぐらいで,ヨーロッパ先進国でも2%ぐらいが普通です。自衛隊は軍隊とされていませんが,先進国では低い方です。(額は大きいことに注意)
また一般会計歳出における防衛費の割合も数字を問われる(選択肢)こともありますが,グラフからわかるように5%強です。この数字をおぼえておいてもかまいませんが,防衛費がGDPの1%で5兆円だから,一般会計の歳出総額がわかれば,計算で求めることもできます。仮に歳出総額が100兆円だとしたら5÷100×100=5(%)。これに一番近い数字を選べばよい。
昨今の国際情勢に鑑み,岸田内閣は2027年度には防衛費とそれに関連する経費を合わせてGDPの2%に達する予算措置を講じるよう指示しました。例えばNATO加盟国には国防費はGDPの2%という基準があります。日本はアメリカを除くNATO加盟国よりGDPが高いため,このまま進めばアメリカ,中国に次ぐ国防費となります。
[グラフ:発展編1-1 防衛庁ホームページおよびSIPRI Military Expenditure Databaseより作成]
[グラフ:発展編1-2 SIPRI Military Expenditure Databaseより]
世界の軍事費についても想像通り,1位はダントツ,アメリカ。2位が中国。アメリカは2001年,同時多発テロ以降,伸びていることに注意。そして中国の軍事費は年々増加していることにも注目しておく。 |
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安保条約に関連して,日本に駐留するアメリカ軍の施設やアメリカ軍との裁判管轄関係などを規定している協定を〔 〕という。 |
答 |
日米地位協定 |
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1951年,日米安全保障条約が結ばれます。1957年,米軍が使用する東京都砂川町の立川飛行場の拡張を巡って,基地反対派が飛行場内に侵入し,安保条約に基づく刑事特別法違反で起訴されました。これを砂川事件といいます。
1959年,砂川事件の第一審(東京地裁)では,駐留米軍が【第9条】の禁止する「戦力」にあたるとして,違憲判決を下しました。しかし最高裁は【第9条】の戦力は日本の戦力であって駐留米軍はこれに該当しないとします。そして次が大事です。高度に政治性を有する国家の行為については,司法審査の対象とならず,国会や内閣の判断にゆだねられるべきであるとして,憲法判断を回避したのです。このような考えを難しくは「統治行為論」といい,以後【第9条】を根拠とする憲法判断の先例となりました。
1960年,大規模な安保闘争を押し切って新安保条約が成立しました(岸信介内閣)。ポイントはこれまでどおり米軍が日本に駐留することを認めること以外に,日米の共同防衛義務,重要事項の事前協議制度といった日米関係がより対等なものになったということでした。そしてこの条約に基づいて結ばれたのが日米地位協定です。駐留軍には治外法権などが認められており,いわば米兵を守るたための協定です。
しかし沖縄などで米軍兵士による犯罪がおこると,米軍有利な地位協定の改定を求める声が大きくなってきます。しかし日米両政府は,協定の改定ではなく,運用の改善によって対応しようとしているのが現状です。
また日米地位協定と在日米軍駐留経費負担特別協定に基づいて,在日アメリカ軍駐留経費の日本側負担の一部を防衛省の予算として計上しています。この予算は通称:「思いやり予算」とよばれています。「思いやり」の理由は,当初1970年代のアメリカ経済の停滞をおもんばかってのことでしたが,その後,米兵のレジャー・娯楽施設にも範囲が広がり,その額も年間2000億円前後,駐留経費の70%以上に達しています。これは他国に比べてその割合がダントツに大きいため,その削減がさけばれています。 |
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7 |
外国からの武力攻撃に対し,自国を防衛するため必要な措置をとる権利を〔 〕という。 |
答 |
個別的自衛権 |
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他国からの武力攻撃に対して,自国を防衛するため実力を行使できる個別的自衛権は,独立国家がもつ当然の権利だと考えられています。
では【第9条】で戦争放棄を定める日本はどうでしょうか?当然もっていることになります。そこで自衛隊が存在するわけですが,政府見解では,「国家は自衛権を有しており,自衛隊は自衛力(自衛のための必要最小限度の実力)であって戦力ではない」としています。他国へ攻撃することなく,他国からの攻撃から自国を守るための行動を専守防衛といい,専守防衛に徹するのが,日本における個別的自衛権の行使ということです。
この自衛隊が合憲かどうかが争われた裁判で,1973年の長沼ナイキ訴訟では,札幌地方裁判所は自衛隊を憲法違反とする判決を出しました。これが唯一の自衛隊違憲判決です。その後,高裁(札幌)でも最高裁でも憲法判断は回避されました。
また1989年,茨城県の航空自衛隊の基地建設問題で,自衛隊が憲法違反かどうかをめぐって争われた百里基地訴訟においても最高裁での憲法判断はなされていません。
これらいずれの裁判も最高裁は統治行為論を使って,憲法判断を回避しているのです。したがって「最高裁で違憲判決(または合憲判決)がだされたことがある」という文は誤文となります。 |
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8 |
日本国憲法第9条により,アメリカが攻撃されても日本は共同防衛にあたることはできないという〔 〕の禁止が,1972年以来とってきた政府見解であった。しかし2014年,安倍内閣は憲法9条の解釈を変更して,〔 〕の行使の容認を閣議決定した。 |
答 |
集団的自衛権 |
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集団的自衛権とは,ある国が武力攻撃を受けた場合,攻撃を受けていない第三国が攻撃を受けた国を援助して共同で防衛にあたるというものです。日本の場合,日本が攻撃を受けた場合,アメリカが日本の防衛をおこないます。安保条約ですね。ところが逆に,アメリカが攻撃を受けた場合はどうでしょうか?
個別的自衛権がどの独立国にも認められているというのは,明らかなことでしたが,集団的自衛権が認められたのは,国連憲章で明記されてからのことです。そして「個別的自衛権とともに集団的自衛権は日本にも認められているが,【第9条】上,それを行使することは防衛のための自衛権の範囲を越えるため行使できない」というのが,日本政府の見解でした。
しかし現在の世界情勢ではそんなことはいってられないという機運が高まってきています。まず第一にテロの拡大です。きっかけは2001年のアメリカ同時多発テロ。本土をテロによって攻撃されたアメリカはタリバン政権下のアフガニスタンをNATO諸国と連携して攻撃をおこないました。NATOは集団的自衛権に基づく集団防衛体制の典型例です。
ここで自衛隊と個別的自衛権・集団的自衛権に対する日本政府の見解の変化をみてみましょう。
・制定時(1946)…吉田内閣
第2項において一切の軍備と国の交戦権を認めない結果,自衛権の発動としての戦争も, 交戦権も放棄している。
・朝鮮戦争…吉田内閣
警察予備隊の目的は全く治安維持にあるので,それは軍隊ではない。
・1972年…田中内閣
「第2項が保持を禁じている「戦力」は自衛のための必要最小限を超えるものである。それ以下の実力の保持は同条項によって禁じられていない。」
「わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは,わが国に対する急迫,不正の侵害に対処する場合に限られるのであって,したがって他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は,憲法上許されないといわざるを得ない。」→集団的自衛権の否認。
・1990年…国連軍への参加と協力に関する政府統一見解
国連軍の目的,任務が武力行使をともなうものでも国連軍の武力行使と一体にならない限り,自衛隊の協力は憲法上許される。→湾岸戦争後,ペルシャ湾の機雷除去に自衛隊の掃海艇を派遣(初)。1992年,PKO協力法に基づいてカンボジア派遣(初の海外領土)。
・2014年…安倍内閣
わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これによりわが国の存立が脅かされる場合において,必要最小限の実力を行使することは,自衛のための措置として,憲法上許容される。
安倍内閣にいたっては集団的自衛権を限定的ではありますが認めている点が重要です。「わが国と密接な関係にある他国」とは,具体的にはアメリカのことでしょう。「わが国の存立が脅かされる場合」というのは「存立危機事態」といい,日本の存立や国民の権利が危うくなるケースで,これにあたると判断されれば,自衛隊は他国軍と一緒に戦うことができるというのです。
安倍内閣は,この見解に基づいて2015年,平和安全法制整備法(安全保障関連法・安保法制)を成立させました。自衛隊の役割を拡大するため,関連法を一括して改正させるための法律です。 |
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自衛隊が防衛出動をおこなうような緊急事態がおきた場合,自衛隊や政府諸機関が円滑に行動できるよう,あらかじめ法整備をおこなうことを〔 〕という。 |
答 |
有事立法 |
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安保条約はそもそも冷戦を背景としていました。具体的な相手(敵)はソ連です。そして安保条約に基づく具体的な防衛協力のあり方をまとめたものを「ガイドライン(日米防衛協力のための指針)」といいます。
1990年代,冷戦が終結し,ソ連の脅威がなくなると,当然,日米安全保障の再定義が必要になり,ガイドラインも見直さなければならなくなりました。そこで1997年,新たに「日本の周辺において発生しうる事態」への対応を盛り込んだ新ガイドラインがつくられました。これにともなって周辺事態法(現:重要影響事態法)をはじめとする国内法の整備がはじまりました。
2001年,アメリカ同時多発テロを受けて,テロ対策特別措置法(テロ特措法)が成立し,自衛隊がテロ対策に限って,戦時に米軍などの軍事行動を後方支援できるようになりました。これによって自衛隊がインド洋に派遣され,米軍支援をおこなったわけです。戦時としては初めての自衛隊海外派遣です。
さらに2003年,イラク戦争終結後,イラクの復興支援や治安維持活動のため,イラクの非戦闘地域に限って自衛隊を派遣します。
また1990年代から北朝鮮が長距離ミサイルの発射実験を繰り返します。このような自衛隊の積極的な海外派遣,周辺国の動向から,日本はいつ武力攻撃や戦争に巻き込まれないとも限らない。有事(緊急事態)の際には国家が迅速に態勢を整えなければならないということで,あらかじめ有事法制を整備しておく(有事立法)必要にせまられました。
有事関連法には,他国からの武力攻撃に対処する際の理念や手続きを定めた武力攻撃事態法,有事における自衛隊の活動を円滑化するための改正自衛隊法,有事に対処する政府機能の強化をはかる改正安全保障会議設置法,武力攻撃を受けた際に,国民の生命・財産を守るため,国や地方公共団体,医療・交通といった公共機関などの役割を定めた国民保護法などなどです。 |
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ソマリア沖やアデン海での海賊行為から,日本に関係する船舶の航行を守るための法律を〔 〕といい,これによって自衛隊や海上保安官の海上船舶護衛任務おける武器の使用が認められることになった。 |
答 |
海賊対処法 |
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きっかけはアフリカのソマリアを拠点とする海賊行為が急増していたことになありました。各国政府は海軍の戦艦を現地に派遣し、航行船舶の護衛をはじめていましたが,日本関係の船舶の護衛は外国に任せっきりの状況だったのです。
日本の領海外で行われる自衛隊の警備活動は,護衛の対象は日本船籍の船,日本企業の運航する外国船,日本人が乗船している船に限られ,外国船を護衛することはできませんでした。また武器の使用は警告射撃,正当防衛,緊急避難,武器防護のために限られていました。いずれも憲法9条との関係から,海外での武器使用を限定すべきだという理由でそうなっていたのです。
この海賊対処法では,護衛の対象を拡大し,日本関係の船舶だけでなく他国船舶も保護対象とします。また武器の使用を拡大し,海賊船が民間船舶に著しく接近し,停船命令に従わない場合に,他に手段がなければ船舶停止のための船体射撃もできるようにしました。条件を絞ったとはいえ従来の範囲を超えて船体射撃ができるという点は,憲法が禁止する「武力の行使」からみて大きな転換です。
この結果世界中どこでも武装した自衛隊を海賊行為対処という名目で派遣することができ,事実上戦闘行為が可能になったのです。 |
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日本の外交・安全保障の意思決定を,迅速かつ適切におこなうために,〔 〕(日本版NSC)が設置された。 |
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国家安全保障会議 |
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有事関連法に基づいて,アメリカの国家安全保障会議(NSC)をならって設立された機関で,内閣総理大臣,外務大臣,防衛大臣,官房長官らで構成されます。 |
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日本の安全保障に関する情報のうち,特に秘密にすることが必要なものを〔 〕として指定し,この漏洩による罰則を定めた法律を〔 〕保護法という。 |
答 |
特定秘密 |
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沖縄県の〔 ① 〕(宜野湾市)にあるアメリカ軍海兵隊基地は,安全性や騒音,アメリカ兵による刑事事件などから〔 ② 〕(名護市)への移転が計画されている。 |
答 |
①普天間 ②辺野古 |
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