公民 第2回 民主政治・国会 応用編

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選挙と政党

1 憲法で定められている直接民主制は,最高裁判所裁判官に対する〔 ① 〕,地方自治〔 ② 〕制定のための住民投票,憲法改正の〔 ③ 〕の3点である。また地方自治法には地域住民の〔 ④ 〕が定められている。
①国民審査  ②特別法  ③国民投票  ④直接請求権
 
2 近年の選挙では,各政党が政権公約を国民にわかりやすくまとめた〔   〕を発表する。
マニフェスト
   もともとイタリア語です。日本語では政権公約とでもいいましょうか,各政党が政権をとった場合の政策の数値目標や実施時期,裏づけとなる財源などを具体的にまとめた公約です。各政党はマニフェストをもとに政策論争を繰り広げ,選挙戦をおこないます。
   
3 投票率を上げるため,選挙当日に投票に行けない人も前もって投票を行える〔    〕が実施されている。
期日前投票
   まず選挙の投票率は低下傾向にあることを頭にいれておきましょう。次のグラフは衆議院議員選挙における投票率の推移です。全体の投票率と,投票率がもっとも高い60歳代,投票率がもっとも低い20歳代の3つのみ示しています。

[グラフ:応用編2-1 総務省ホームページより 衆議院議員総選挙における年代別投票率の推移を加工して作成]
 では投票率を上げるための対策にはどんなものがあるか?すでに実施されている制度も含めて,問われることがあります。【説明】
 まず投票日当日の投票時間の延長があります。現在は午前7時から午後8時となっています。それでも当日に投票にいけない人は,事前に投票できる期日前投票という制度もあります。選挙日に住んでいる町にいない場合は全国どこからでも投票が可能ですし,高齢者・入院患者・要介護者・身体障害者など投票所まで出向くことが困難な場合は郵便投票もできます。
 しかし何より,若者の投票率が低いことが大きな問題となっています。若者の投票率を上げるため,選挙権が満18歳以上に引き下げられましたが,いったい投票率が低いこと(投票に行かないこと)の何が問題なのでしょうか?
 選挙ではたとえ多くの人が投票にいかなくても,立候補者を支持する企業や団体・組織(組織票)があります。組織票は立候補者からすれば,必ず入ってくる票であり,計算できる票です。投票率が低ければ低いほど,当選者の得票数に占める組織票の割合が大きくなる。当選者が自分を支持してくれた人のために多くの労力を使おうとするのは当然です。つまりそれはみんなのための政治ではなく,一部の人たちのための政治になってしまうわけです。
 例えば,若者の投票率が低く,高齢者の投票率が高いとします。すると政治家は高齢者に厚い政治になりがちになります。また特定の組織:XがA氏の応援をして組織票を固め,A氏が当選するとします。当選後,A氏はXの利益になるような政策を次々に打ち出すようになる。


 このように現在の選挙では組織票をしっかり固めた党や人物が当選する傾向にあり,投票率が低ければ低いほど,そのような政党や個人が有利になる。
   
4 選挙区ごとの議員一人あたりの有権者数に不均衡が生じることがある。この問題を〔   〕という。
一票の格差
   非常によく出る問題です。「一票の格差」・「一票の重み」あるいは「議員定数不均衡」といういい方もします。議員定数において,選挙人(有権者)の投票価値(一票の重み)に不平等が存在することです。次の表をみて下さい。
第49回総選挙(2021年)
     衆議院小選挙区別登録者数
多い選挙区  人  少ない選挙区  人 
 1  東京都第13区  482314  1  鳥取県第1区  231343
 2 東京都第10区  482180  2  鳥取県第2区  234731
 3  東京都第22区  480733  3  長崎県第3区  237112
第26回参議院通常選挙(2022年)
    参議院選挙区別登録者数
多い選挙区  人  少ない選挙区  人 
 1  神奈川 965441  1 福井 319764
 2  宮城 964573  2 佐賀 338258
 3  東京 961598  3  山梨 344203
[表:応用編2-2 総務省 挙人名簿登録者数及び在外選挙人名簿登録者数]
 この票は衆議院・参議院の選挙区(1議員)ごとにどれだけの有権者がいるか,有権者の多い上位3区と少ない下位3区を挙げたものです。議員1人あたりの有権者数といい換えてもよい。
 すると衆議院ではもっとも多い東京都第13区ともっとも少ない鳥取県第1区では,議員1人あたりの有権者数が2倍(2.085倍)の差がある。選挙は一人一票の平等選挙が原則ですが,実際東京都第13区の議員を1人選ぶための票の重み(票の価値=人間の価値)は,鳥取県第1区の半分以下ということになっている。つまりこれは憲法【第14条】が定める「法の下の平等」(平等原則)に違反しているということです。【説明】(参議院では最高の神奈川と最低の福井との比率は約3:1で一票の格差は衆議院より大きい)
   
5 国民の多数の意見である〔 ① 〕は,テレビ・ラジオ・新聞・雑誌など〔 ② 〕の影響を大きく受ける。
①世論  ②マスコミ(マスメディア)
   マスコミの自由な報道を保障することが民主政治には不可欠ですが,一方的・画一的に情報を流すという問題点もあります。そのため情報を様々な角度から批判的に読み取る受け取る側の力が必要になるわけです。(メディアリテラシー)
   

国会

1 衆参両議院の任期は〔 ① 〕に,議院定数は〔 ② 〕に定められている。
①憲法  ②公職選挙法
 
2 衆議院議員の選挙は〔 ① 〕とよばれ,小選挙区制から〔 ② 〕人,全国を11のブロックに分けた比例代表制から〔 ③ 〕人が選ばれる。
①総選挙  ②289  ③176
   衆議院議員の選挙は4年の任期満了時におこなわれる場合と,途中解散があった場合は任期途中でも議員資格を失い選挙がおこなわれます。衆議院の場合は465人を一度に選出するため,「総」をつけて「総選挙」といいます。小選挙区比例代表並立制という制度で実施され,有権者は小選挙区と比例代表にそれぞれ1票,合計2票を投じることになります。
 比例代表制は全国を11のブロックにわけ,それぞれのブロックで政党に投じられた票を集めます。各ブロックごとで議席数が決まっており,各政党の得票数に応じて,議席を分配します。各政党の議席数が決まると,あらかじめ政党が選挙管理委員会に提出していた候補者の名簿順に当選者が決定するのです。
 小選挙区と比例代表の両方に立候補することができ,人によっては小選挙区で落選しても比例代表で復活当選することもあります。(重複立候補)
   
3 参議院議員の選挙は〔 ① 〕選挙とよばれ,〔 ② 〕年に1度半数の〔 ③ 〕人が改選される。全参議院議員のうち,都道府県選挙区から〔 ④ 〕人,比例代表制からは〔 ⑤ 〕人が選ばれる。
①通常  ②3  ③124  ④148  ⑤100
   参議院議員の任期は6年ですが,248人の議員はその半数ずつ,3年ごとに改選されます。任期途中の解散もありませんので,参議院議員の選挙は3年に一度必ず定期的におこなわれる。そこで「通常選挙」とよばています。(議員数は2019年の通常選挙で245人,2022年に248人へと段階的に増加することになっています。)
 選挙は,都道府県選挙区と比例代表制で実施されます。都道府県選挙区とは都道府県ごとに議員定数が決まっている選挙です。半数選出の1度の選挙では多くの県で1人を選出しますが,人口の多い東京都では6人,人口の少ない鳥取・島根はあわせて1人が選出されます。したがって小選挙区制・大選挙区制の区別ができない選挙区制といえるでしょう。(参議院議員全体の選挙で考えると1人区は合計で2人選出されるので,その意味では参議院議員都道府県選挙区はすべて大選挙区といえる。)
 比例代表制は衆議院とは異なり,全国区です。全国で票を集計します。集計した票を各政党の得票数に応じて議席(1回の選挙では50議席)を分配するところは衆議院と同じです。
 比例代表制の獲得議員数の計算にはドント式という方式を用います。ドント式については,《発展編》を参考にして下さい。
   
4 本会議の定足数は,両院とも総議員の〔 ① 〕以上,本会議・委員会とも議決は原則として出席議員の〔 ② 〕の賛成による。
①3分の1  ②過半数
   採決をとるために必要な議員の参加人数を定足数といいます。「決定に足る人数」という意味。「最低これだけの人数が集まった状態で,多数決をとりなさいね」という決まりです。あまりに少ない人数で多数決をとっても意味がありませんね。かといってあまりに最低人数を多くしておくと,緊急のときそれだけ集まらないかもしれない。だから「3分の1」ぐらいがちょうどいい。
 衆議院の議員定数は465人。3分の1すると155人。では最低どれだけの賛成があれば,衆議院での議決が成立するかというと,出席議員の過半数だから,78ということになります。
 参議院の定足数は83人。議決のための必要な最低賛成数は42となります。
※定足数は現職議員数ではなく,公職選挙法に定められている定数をもとに計算します。
   
5 国会の議事は原則として〔   〕される。
公開
 
6 国会の召集は〔 ① 〕が決定し,〔 ② 〕が召集する。
①内閣  ②天皇
   さぁ,これがまちがいやすい。「国会の召集」は内閣の仕事でもあるし,天皇の国事行為でもある。内閣がまず何月何日に召集しますよという決定をおこない。天皇がその助言と承認によって「では召集します。」と一種の儀式的行為(押印・署名)をおこなう。これは逆ではえらいことです。
   
7 常会の会期は〔   〕日である。
150
 
8 臨時会は〔 ① 〕が必要と認めたとき,またはいずれかの議員の総議員の〔 ② 〕以上の要求があったとき開かれる。
①内閣  ②4分の1
   「4分の1以上」というこれまでにない少数規定は,国会内の少数派への配慮です。
   
9 衆議院で可決した法律案を参議院が〔   〕日たっても議決しない場合は,参議院が否決したものとされる。
60
 
10 予算の議決・条約の承認において,衆議院が議決してから〔   〕日たっても参議院が議決しない場合,衆議院の議決が国会の議決となる。
30
 
11 内閣総理大臣の指名において,衆議院が議決してから〔   〕日たっても参議院が議決しない場合,衆議院の議決が国会の議決となる。
10
   《9~11》はいずれも衆議院の優越の続きの1つです。まとめて「衆議院の議決後,参議院が受け取った議案を参議院が~日以内に議決しなかった場合」というもの。これらはすべて参議院が否決したものとみなします。(みなし否決)
 参議院が否決したのだから,あとの手続きは衆議院の優越と同じです。法律案の場合は,衆議院で再可決後成立。それ以外は衆議院の議決が国会の議決となる。
 問題は参議院が議決するまでの期間です。緊急性の高いものから期間は短いと考えて,内閣総理大臣の指名は10日以内→予算・条約の承認は30日以内→法律案の議決は60日以内となっている。
   
12 国会の仕事のうち,国政を調査をする権限を〔   〕という。
国政調査権
   国政の調査ですから,立法・司法・行政の国政全般に有効です。ただし司法に対しては裁判所は司法権の独立をもっているので実行は難しく,もっぱら国政調査というと行政権をもつ内閣に対しておこなわれる。衆議院・参議院とも独自に調査権をもっており,この権限は両院対等です。
   
13 衆議院と参議院で与野党の数が逆転することを〔   〕とよぶ。
ねじれ国会
   政権を担当する与党は衆議院で多数の議席をもっていますから,具体的には参議院で政権を担当していない野党が多数を占める状態をいいます。

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