公民 第5回 経済① 応用編

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消費

1 経済の三主体とは〔 ① 〕,〔 ② 〕,〔 ③ 〕である。
①家計  ②企業  ③政府(順不同)
   家計・企業・政府の三主体の間で財・サービスと貨幣が流れていくことを経済の循環といいます。
   
2 家計の収入には〔 ① 〕(賃金),〔 ② 〕(農家や個人経営の商店など),〔 ③ 〕(利子・配当・地代)がある。
①勤労所得  ②個人業主所得(事業所得)  ③財産所得
   勤労所得とは,サラリーマンなど企業や役所で働いて得たお給料のことです。これに対し個人業主所得は農家や商店,工場など自営業で得た所得をいいます。労働によって得られた収入のうち,サラリーマンのお給料以外は,個人業主所得と考えて結構です。
 一方,労働によって得られたものではない収入は不労所得。例えば銀行預金の利子,株式の配当,土地や家屋の賃貸などすでにもっている自分の財産を利用することで得たお金です。財産の活用によって得られた所得なので財産所得ともいいます。

 近年の家計の支出の特徴として,消費費出の中で通信費の占める割合が増加しているということ。これは携帯電話(スマートフォン)やインターネットが普及したことが原因です。【説明】

[グラフ:応用編5-1 「家計調査年表」(総務省統計局)より]
※2020~21年は,新型コロナウィルスの感染拡大によって消費傾向に若干の変化があらわれています。外出機会が減少したことや,在宅勤務が奨励されたことから交通費や娯楽費が減少しました。また在宅勤務の広がりはスーツや婦人服などの被服費の割合も減少傾向にあります。一方,マスクの購入など保険医療費が増加しているのも2019年と比較したときの特徴といえます。

 またわが国は家計の貯蓄率が他の先進国にくらべて高いといわれてきました。将来に備えて現在を消費を抑えようとする意識が高かった。しかし現在の傾向としては高齢化の進展により貯蓄額が多い高齢者が,貯蓄を取り崩して生活する人が増えたため,貯蓄率は大きく下がっています(※貯蓄額ではありません)

[グラフ:応用編5-2 OECD Dataより]
 グラフは主要先進国の貯蓄率の推移を示しています。日本に注目しましょう。日本は1990年代初め(バブル期)までヨーロッパ並の貯蓄率の高さでしたが,現在はアメリカを下回る低さになっています。特に2015年の手前,2013・2014年あたりでマイナスになっていますね。貯蓄率がマイナスとは,家計が所得以上に消費してこれまでの貯蓄を使ってしまっていることを表しています。なぜそんなことになってしまったかというと,2014年の4月に消費税が5%から8%に引き上げられたんです。消費税が上がる前に必要なものを買っておこうとする駆け込み消費がおこったんですね。
 2020年は,各国で新型コロナ感染症対策がとられ,外出に伴う消費が減ったため,貯蓄率が大幅に上昇しています。日本でも国民一律10万円の特別定額給付金が国から支給された一方で,政府の緊急事態宣言の影響で家計消費が減退し,主要先進国同様,貯蓄率は大きく伸びました。
   
3 われわれが購入する商品のうち,長期間にわたって使用するものを特に〔   〕という。
耐久消費財
   具体的には,家電,自動車,住宅,家具などのことです。よく問われる耐久消費財に「三種の神器」と「3C」があります。
 高度経済成長前半に普及した耐久消費財が「三種の神器」で,冷蔵庫・電気洗濯機・白黒テレビ後半に普及したのが「3C」で,カラーテレビ・クーラー・カー(自動車)。前半と後半を【比較】させておさえましょう。
 家庭用電化製品(家電)の普及によって家事労働の時間が軽減され,女性の社会進出につながっていきました。
   
4 1962年,アメリカ大統領:〔 ① 〕は,「〔 ② 〕権利」,「〔 ③ 〕権利」,「〔 ④ 〕権利」,「〔 ⑤ 〕権利」の4つの消費者の権利を認め,消費者行政を推進する宣言をおこなった。
①ケネディ  ②安全である  ③知らさせる  ④選択できる  ⑤意見を反映させる
 
5 製造物責任法では製造者に〔   〕がなくても,損害賠償の義務がある。
過失
   「過失」とは注意義務を怠ること,不注意です。この法律の施行前は,メーカーの過失と事故との因果関係を証明する必要がありました。しかしこの法律によって商品に欠陥があって,それによって被害を受けたことを明らかにすれば,メーカーに損害賠償を請求することができるようになった。したがってこの法律のポイントは「過失がなくても(過失の有無に関わらず)」という部分。
   
6 消費行政の中心的機関として,2009年,〔 ① 〕に〔 ② 〕が設置された。
①内閣府  ②消費者庁
   

生産

1 資本主義経済では工場や土地などの生産手段を所有する〔 ① 〕が〔 ② 〕を雇って生産をおこなう。〔 ① 〕は〔 ③ 〕追求を目的として,原則的に自由な生産活動を行う。
①資本家  ②労働者  ③利潤  
   資本主義経済では,生産手段の私的所有(私有財産制)経済活動の自由が原則です。この資本主義の利点を説いたのが,18世紀のイギリスの経済学者:アダム=スミスです。『国富論』という本の中で,国家が経済に干渉しない自由放任主義を説き,自由競争をおこなえば国富は増大すると主張しました。そこで資本主義経済は自由主義経済という表現もします。
   
2 社会主義経済の原則は,生産手段を〔   〕とし,生産活動は計画的におこなわれる。
公有(共有)
   資本主義とは反対に生産手段の社会的所有(公有)計画経済を原則とするのが社会主義です。資本主義の生み出す経済問題・社会問題を解決しようとしたもので,19世紀,ドイツカール=マルクスが理論化し,経済格差や階級対立のない平等な社会の実現をめざしました。社会主義がめざす理想的な社会は共産主義社会ともいいます。
 世界初の社会主義国は1922年に成立したソ連でした。第二次世界大戦後には東ヨーロッパを中心に多くの社会主義国が誕生しましたが,計画経済のもとでは生産効率が悪くなり(生産意欲が低下)が,社会主義経済の国でも市場原理を導入するなどの改革がはじまりました。ソ連のペレストロイカ(改革)や中国の経済特区などがそうです。
 1990年代にはソ連が崩壊したのを皮切りに,ほとんどの社会主義国が自由主義国へと転身していきました。
   
3 私企業のうち,農家や商店など個人が経営する企業を〔   〕という。
個人企業
   私企業のうち,会社の形態をとらない個人経営の企業を個人企業といいます。農家・漁家・個人商店などです。個人企業以外法人企業といいます。法人企業には法人税がかかりますが,個人企業の場合は所得税となります。
   
4 株式の売買がおこなわれる場を〔 ① 〕といい,証券会社を通じて株式を購入する。また企業の経営方針や取締役を決定する会議を〔 ② 〕といい,株主には持株数に応じた投票権がある。
①証券取引場  ②株主総会
 
5 製造業でみると,出荷額に占める中小企業の割合は約〔 ① 〕%,企業数は全企業の〔 ② 〕%を占め,大部分は大企業の〔 ③ 〕企業となっている。
①50  ②99  ③下請(関連)
   大企業は多額の設備投資によって大量生産をおなこい,生産効率を向上できるため労働生産性が高い。そのため賃金など労働条件も整っています。巨大な生産設備をもっている大企業ほど付加価値の生産額が高くなります。
 逆に中小企業は,生産効率が悪く,大企業の下請けとして系列化されているのが現状です。大企業と中小企業の間には大きな経済格差があるのです。下請けは親企業(大企業)にとって,資本の節約,低賃金の利用といったメリットがあります。景気が悪くなると発注の削減や単価の切り下げなどによって不利な取引を強いられる。
 また1990年代,バブルの崩壊が原因で,金融機関から資金を借りにくくなったり,生産拠点が海外移転したことによって,下請け(系列)関係を弱める大企業が増えてきました。
 多くの中小企業が倒産を余儀なくされる一方で,下請け・系列から脱却をはかり,独自の技術やアイデアをもって自立する中小企業も現れました。以下《6・7》は近年活路を見出した中小企業の例です。
   
6 新技術や高度な知識を軸に,大企業では実施しにくい創造的・革新的な経営を展開する中小企業を〔    〕という。
ベンチャー企業
   「ベンチャー」とは「冒険的な企て」という意味で,「アドベンチャー」の「ベンチャー」です。主に情報技術(IT)・通信・ソフトウェア関連,新エネルギーやバイオテクノロジーなどの企業が多い。
   
7 特定の地方において,その地方の資源や労働力を活用して発展し,定着している産業を〔   〕という。
地場産業
   ベンチャービジネスが「新しい」技術なら,地場産業は「伝統」技術です。伝統産業の技術を活かした特産品の生産・販売をおこなう地域密着型の産業です。
   

財政

1 財政のはたらきは,〔 ① 〕の再分配,〔 ② 〕の安定化,公共的な仕事である。
①所得  ②景気
   財政とは単純に,国民の税金を使って,社会資本や公共サービスを国民に提供することだけでなく,大きな役割が3つあることをおさえます。
(1) 公共的な仕事
 利潤に結びつかないが社会にとって必要な財・サービスを供給し,市場が提供しにくい部分を補います。警察・衛生・公園・教育などなど。一般的な財政のイメージです。

(2)所得の再分配機能
 累進課税をとることによって高所得者から多く税金を取り,集まった税金によって低所得者に対する医療・年金などの社会保障をおこないます。また相続税にも累進課税制度がとられており,これによって財産所得の平等化を図ります。こうして所得の分配が財政によって是正されること所得の再分配といいます。

(3)景気の調整機能(ビルト=イン=スタビライザー)
 不景気時には減税をして国民の購買力を高めます。公共事業の支出を増やして景気を刺激する。好景気時には増税をしつつ財政支出を減らし,その差額で国債を返済します。
   
2 国税の直接税うち,遺産相続にかけられる税を〔 ① 〕という。地方税の直接税では,現在居住している地方公共団体に治める〔 ② 〕や自動車の所有者に課せられる〔 ③ 〕(都道府県税),土地や家屋に課税される〔 ④ 〕(市町村税)などがある。
①相続税  ②住民税  ③自動車税  ④固定資産税
   相続税は,所得税と同様に累進課税がとられていることをおさえておきましょう。
 地方直接税では,住民税・自動車税・固定資産税がよく出題されます。住民税には都道府県民税と市町村民税があり,それぞれ都道府県と市町村の歳入となります。
 地方間接税は特に名称をおぼえる必要はありません。間接税なので,消費税のように何か物品を購入したり,施設(サービス)を利用したりするときに料金に上乗せして支払うことになると考えて下さい。
   
3 消費税などの大衆課税は,商品の購入者が〔 ① 〕の多少にかかわらず同額の税を負担するため,低所得者にとっては税負担の割合が〔 ② 〕。
①所得  ②大きい
   例えば年収1000万円の人が1万円の商品を買って,1000円(消費税率10%)の消費税を支払うのと,年収100万円の人が同じ商品を買って1000円の消費税を支払うのとを比べてみましょう。どちらの1000円が負担大でしょう。年収100万円の人にとっての800円の方(負担率)が大きいでしょ。「所得の少ない人ほど税負担の割合が高くなる」というのが問題点です。【説明】
 その一方で消費税はその大部分が社会保障の財源となっています。所得税や法人税と異なり,景気に左右されにくく,安定した収入が期待できるという利点があるからです。【説明】⇒《発展編》
 消費税は税率の歴史が重要です。導入されたとき(1989年)から3%→5%→8%→10%(2019年)
   
歳入の不足を補うため〔   〕を発行することは,慎重におこなわなければならない。 
公債 
  ☆公債発行の問題点【説明】
・公債は借金であり,増発すると将来の世代の返済負担(税)が重くなる
・元本だけでなく利子の返済も必要になり,歳出における公債費(国債費)の割合が増大し,他の財源を確保しにくくなる
・公債返済のために税収入を増やそうとすると,安易な増税につながる

 現在,国と地方の公債の残高は1000兆円を越えています。国民1人あたりで考えると約800万円の借金です。これは今日生れたばかりの赤ちゃんも800万円の借金を背負っているということです。

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