1 |
社会主義経済の特徴は,〔 ① 〕経済と〔 ② 〕の社会的所有にあり,資本主義の弊害の原因は〔 ② 〕の私有にあるとする。 |
答 |
①計画 ②生産手段 |
|
資本主義では,生産手段をもつ資本家(ブルジョワ)と生産手段をもたない労働者(プロレタリアート=無産階級)が誕生します。
当初資本家は,労働者から利益を搾取する存在であり,搾取により労働者が貧しくなると,必然的に労働運動がおこります。さらに資本家と労働者の対立が激しくなると労働者革命(プロレタリア革命)がおこり,資本主義が崩壊,社会主義が到来して,やがて共産主義社会へと発展する。こうマルクスは予言しました。(※これに対して,市民革命はブルジョワ革命といいます)
社会主義は現在の社会の中で,より平等で公正な社会を目指していこうという考えです。そしてその目標が共産主義の実現です。共産主義社会は財産のすべてが共同所有されている社会です。
またレーニンは帝国主義が資本主義の最高の発展段階であるとし,この次に訪れるのが社会主義社会であるとして(『帝国主義論』),ロシア革命を指導しました。
社会主義と共産主義はほぼ同意義だと考えて結構ですが,社会主義を共産主義の前段階と考える主張をマルクス=レーニン主義といい,スターリンによって実践され,ソ連が体現しようとしました。 |
|
|
2 |
中国では外資導入の受け入れ特別地区を〔 ① 〕として国内に5ヶ所設置し,〔 ② 〕を進め,社会主義市場経済を進めてきた。ベトナムでも1986年以降,〔 ③ 〕政策をおこない,資本主義経済を導入した。 |
答 |
①経済特区 ②改革開放 ③ドイモイ |
|
☆社会主義国家の問題点
・共産党一党独裁
共産主義をめざす国家なので,それ以外の政党を認めない。共産党の政策=国家の政策として実行される。共産党代表=国家元首。選挙もないので,民主主義・自由主義的思想は認められない。
・官僚制
国のすべての産業が,国有であるため官僚(公務員)の権力が大きくなりがち。官僚制が強化されていくと,腐敗と非効率化が進んでいく。
・生産意欲の減退
国の計画に従って生産活動をおこない,一定の賃金が保障されるので,生産意欲が落ちる。
・社会の停滞
自由競争がおこなわれないので,新技術の発明・開発が進まず,社会や生活の向上が見込めない。
その他さまざまな弊害を自覚した社会主義国は,独自に自由主義(資本主義)の要素を取り入れようと努力します。ソ連では1980年代のゴルバチョフによるペレストロイカ(改革)やグラスノスチ(情報公開),中国では改革開放政策,ベトナムではドイモイ(刷新)政策がそれです。 |
|
|
3 |
採算などの関係で実施することが不可能か、不可能に近いような事業を実施することを目的として法律により直接に設立された企業を〔 〕という。 |
答 |
特殊法人 |
|
例としてNHK(日本放送協会)は放送法という法律によって設立された特殊法人です。特殊法人の中でも株式会社の形態をとり,国がその株式の全部または一部を保有する企業を特殊会社といいます。 国営企業であった日本電信電話公社(現NTT)・日本専売公社(現JT)・日本国有鉄道(現JR)などは1980年代,中曽根内閣のときに民営化され,特殊会社となりました。小泉内閣で民営化された日本郵政公社もそうですね。特殊会社の国がもつ株式がすべて民間に売却されると,完全民営化といいます。
特殊法人と同じく特別の法律で設立された会社に認可法人というのもあります。これは国ではなく民間が設立して,所管の大臣の認可を受けたものです。日本銀行や日本赤十字社などがこれにあたります。 |
|
|
4 |
国や地方公共団体と民間の共同出資による企業を〔 ① 〕という。また公共施設について,施設の所有権を公共が有したまま,施設の運営権を民間事業者に設定することを〔 ② 〕方式という。 |
答 |
①第3セクター ②コンセッション |
|
特殊法人や認可法人は半官半民の企業であることから公私合同企業とよばれます。また法人税や固定資産税が免除されるのも特徴です。近年は行政改革の一環で,これらの会社は独立行政法人へと移行が進んでおり,特殊法人などに比べて運営・資金の運用について自由度が高く,法人税や固定資産税が課せられるのが違いです。国からの資金交付を受けていない独立行政法人もあります。
公私合同企業のうち,特に地域開発や交通などの分野で設立されているものを第3セクターといいます。 また公共施設(社会資本)の所有権を公共に残したまま,民間企業がこれを運営する形式(運営委託)をコンセッション方式といいます。現在,空港が多く,水道事業への展開が進められています。 |
|
|
5 |
株主は,株式会社の債務について,自分の出資額の範囲内でしか責任を負わない。このような責任を〔 〕という。 |
答 |
有限責任 |
|
会社へ出資したものが,その出資した額についてのみ責任を負うことを有限責任といい,このような出資者を有限責任社員といいます。会社で働く「社員」とはまた別ものです。有限責任社員は,もしその会社が負債を抱えて倒産した場合でも,会社の債務について責任を負う義務はありません。逆に,だから出資しやすいのです。
出資した会社が倒産した場合,出資した額だけでなく,個人の私財のすべてを投げ打ってでもその会社の債務を返済しなければならないことを無限責任といい,そのような出資者を無限責任社員といいます。出資するにはリスクが高く,出資者=経営者であったり,経営者に身近な存在(家族や親しい友人など)である場合が多く,経営規模も小さい企業が多い。
一方,株式会社の出資者は,資本家であり経営者であるという単純な関係ではなく,一般株主は経営に参加する意思はなく,株価の値上がりや配当を期待する投資家が多い。この状況を指して,所有(株主)と経営(取締役)の分離といいます。
。 |
|
|
6 |
会社企業には〔 ① 〕会社・〔 ② 〕会社・〔 ③ 〕会社・〔 ④ 〕会社がある。 |
答 |
①合名 ②合資 ③合同 ④株式(①~③順不同) |
|
私企業は大きく個人企業と法人企業にわかれ,法人企業は組合企業と会社企業に分別することができます。組合企業は特定の事業(例えば農業)を営む組合員(農家)で構成され,事業活動(組合員の相互扶助)をおこない,事業運営の議決権は1人1票となっています。会社企業,例えば株式会社の株主が,持株数に応じて会社運営の投票権をもっていることを考えれば,会社企業は「資本」を土台として成り立つ企業といえるでしょう。それに対して組合企業は特定の事業を営む「人」が土台となっているといえます。「~協同組合」というのが企業名になっているのが多い。
会社企業は「資本」が土台ですから,その資本の集め方(出資)によって会社を区別します。《5》で登場した「社員」という言葉が重要になりますが,ここでは「社員=会社員・従業員」ではなく,「有限責任社員」・「無限責任社員」を意味することをおさえておきましょう。
・合名会社
無限責任社員のみが出資している会社。リスクが高いため,出資額の範囲が限られており,小さな企業に多い。
・合資会社
「合資」なので,無限責任社員と有限責任社員からなる会社。
・合同会社,株式会社
有限責任社員からなる会社。
このうち,合名・合資・合同会社は会社規模が小さく,所有者と経営者が一体である点で株式会社と異なります。また株式会社は大きな資本が必要であるため,大会社に適した形態である点で合同会社と異なります。
最近では企業や個人がさまざまな目的やイベントのため,インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達するクラウドファンディングという方法が注目を集めています。「クラウド」は「cloud」ではなく,「crowd(群衆)」の意味です。 |
|
|
7 |
2005年に〔 ① 〕が制定され,〔 ② 〕会社は株式会社の一部となり,会社は資本金〔 ③ 〕円から設立できるとした。 |
答 |
①会社法 ②有限会社 ③1 |
|
現在の会社法でおさえておくべき点は3つ。まず有限会社という会社がなくなったこと。有限会社は株式会社同様,有限責任社員からなる会社ですが,その数が50名以下という中小企業に多い会社の形態でした。これまで有限会社であった会社は,そのまま特例として残されますが,以後新設はできなくなった。そして有限会社にかわって設立できるようになったのが,合同会社であること。
もう1つは最低資本金制度が撤廃されたこと。これまで会社設立時に必要な最低資本金は,株式会社で1000万円,有限会社で300万円でした。それが「1円」の資本金で会社を設立できるようになりました。事実上,資本金の下限がなくなったわけです。
※株価と配当
株主が得ることができる利益には配当金と株式の売買によるものがあります。配当金は,企業が出した利益の一部を株主に還元するというもの。業績によって配当金は変わりますが,例えば1株5円の配当金を出す企業があって,その企業の株を10000株もっているとします。すると配当金は5円×10000株=50000円の配当金を受け取ることができる。銀行に預金をして利息をもらうような感じですが,配当金の方がより利益は大きい。ただしその企業が業績不振に陥ってしまうと,配当金も下がり,最初に買った株価も下がるので元金の保障はありません。リスクが大きいということです。
銀行預金や株式の配当金のような保有資産によって利益を得ることをインカムゲインというのに対し,株式の売買によって得られる利益をキャピタルゲインといいます。
株式の値段も普通の商品と同じく,株式市場という市場において需要と供給の関係で成り立っているのです。配当金をたくさん出す企業は業績もよく,その企業の株を欲しいと思う人が増える。需要の増加ですね。するとその企業の株価が上がります。画期的な新技術の開発や新製品の発売も株価を押し上げる要因になりますし,社会全体の景気も影響します。株価が安いときに買って,株価が高くなって売るとその差額が利益となります。逆にさまざまな要因で株価が下がることも大いにあり得るので注意が必要です。
このように株式は市場において売買が可能になっており,会社法では,株式会社をその株の譲渡に制限がない(自由に売買できる)公開会社と,譲渡に制限を設けている非公開会社とに区別しています。公開会社は広く多数の人に株を買ってもらいたいので,証券取引所の厳しい審査をパスして株を売ってもらえるようにします。これを上場といい,上場企業とは一流企業の証明なのです。まだ上場していない公開会社の株も証券会社を通じて購入することが可能です。
逆に一流公開会社でも上場していない企業があります。また株式に譲渡制限を設けることで非公開会社となり,株式の譲渡を制限している会社もあります。会社の許可なく株式の譲渡ができないようにするのです。同族経営を守りたい企業や,大株主に言論が左右されることを警戒するマスコミ関係,大企業の下請けとなっている中小企業などがそうです。
株式保有比率については個人株主の割合が20%を下回っていること。そしてそれを越えて,外国人の保有比率が伸びていることもおさえておきましょう。
[グラフ:発展編5-1 日本取引所グループ 株式分布状況調査より] |
|
|
8 |
独占禁止法によって禁止された〔 ① 〕会社は,1997年に再び解禁された。これによって企業の合併・買収:〔 ② 〕が活発になった。 |
答 |
①持株 ②M&A |
|
1997年,独占禁止法が制定されてちょうど50年目に同法律が改正されました。戦後,過渡経済力集中排除法によって財閥が解体され,独占禁止法によって財閥=持株会社が禁止されましたが,改正法によってこれを解禁します。規制緩和の一環ですね。
持株会社は株を保有することで子会社を支配すること自体が目的の会社であり,企業の合併・買収:M&A(Merger & Aquisition)を進めることで国内外での競争力の強化,事業規模の拡大を図ろうとしたのです。「~ホールディング」とよばれる会社がこれにあたります。 |
|
|
9 |
企業の〔 ① 〕とは,組織活動が社会に与える影響に責任をもち,利害関係者には説明責任をもち,持続可能な社会の実現のため環境・労働問題などにも自主的に取り組むことをいう。法令遵守:〔 ② 〕もその1つである。今日の投資家は〔 ① 〕だけでなく,環境に取り組む姿勢も重要視しており,このような観点からの投資を〔 ③ 〕とよんでいる。 |
答 |
①社会的責任 ②コンプライアンス ③ESG |
|
企業は大規模になればなるほど,株主の所有物から社会の所有物という性格を強めます。そのため法令遵守(コンプライアンス)はもちろんのこと,さまざまな利害関係者に対して責任ある行動をとるべきだという考えを「企業の社会的責任(CSR)」といいます。(Corporate Social Responsibility)ただしこれには法的な義務はありません。
逆にCSRの視点から企業を評価して投資しようとする人をグリーン=インベスターといいます(インベスター=投資家)。このような投資家が企業を評価する3つの指標は「ESG」とよばれ,環境・社会(社会的責任)・ガバナンス(内部管理)の英語の頭文字をとったものです。社会的責任とともに環境への配慮が企業には必要で,今後の企業は利益が最優先ではないということです。 |
|
|
10 |
企業がおこなう様々な文化支援活動を〔 〕という。 |
答 |
メセナ |
|
「メセナ」とはフランス語で「文化活動を擁護」といいますが,もとはといえば人名です。1世紀,古代ローマのマエケナス(Maecenas)という人物です。初代皇帝アウグスツスの片腕で,軍事担当のアグリッパとともに政治面でアウグスツスを支えました。
このマエケナス,当時の文学・芸術の保護者でもあったことから,現在でもこのような活動を彼の名をとって「メセナ」(活動)とよんでいます。これも企業の社会的責任の1つ。企業や創業者の名前をとった美術館・博物館なんかが多い。 |
|
|
11 |
製造業で資本金〔 ① 〕億円以下か従業員〔 ② 〕人以下の企業を中小企業という。小売業では資本金〔 ③ 〕万円以下,従業員〔 ④ 〕人以下である。 |
答 |
①3 ②300 ③5000 ④50 |
|
中小企業の中でも特に企業規模の小さいものを小規模企業者(零細企業)といい,日本では従業員5人以下という規模の企業が多く存在します。大企業に比べて中小企業の賃金は一般的に低く,大企業との賃金水準の開きを賃金格差といいます。
また中小企業が,特定の大企業に従属的に結び付けられていることを系列化といい,近代的な工業と前近代的な第一次産業の併存,および大企業と中小企業が併存しており,そこに大きな賃金格差が生れる。このような経済状況を二重構造といいます。 |
|
|
12 |
中小企業の努力目標と,政策の目標を示している法律が〔 〕であり,1963年に制定された。 |
答 |
中小企業基本法 |
|
1963年制定の中小企業基本法では,二重構造による「企業間の格差是正」という政策目標がありましたが,現在(1999年)はこれが削除され,中小企業の「自助努力を国が支援する」という競争政策的な法律に改正されました。
☆高度経済成長期に制定された主な基本法と現在
・農業基本法(1961)→新農業基本法(1999)
・中小企業基本法(1963)→改正
・公害対策基本法(1967)→環境基本法(1993)
・消費者保護基本法(1968)→消費者基本法(2004) |
|
|
13 |
大規模な株式会社の,迅速かつ円滑な再建を可能とする倒産処理手続きを定めた法律を〔 〕といい,申請と同時に,経営陣は総退陣する。 |
答 |
会社更生法 |
|
倒産手続きの法律です。次の民事再生法と【比較】しておさえたい。この法律の対象となるのは株式会社だけです。 |
|
|
14 |
中小企業について,再建を見込んでの倒産処理手続きを定めた法律を〔 〕といい,手続き申し立て後も経営者は残留できる。 |
答 |
民事再生法 |
|
主として中小企業を対象とした倒産の手続きに関する法律です。(すべての法人・個人でも可) |
|
|
15 |
自社の業務の一部を外部に頼んでやってもらうことを〔 〕という。 |
答 |
アウトソーシング |
|
従来は会社の内部でやっていた業務の一部を外部に委託すること。その業務にのみ特化した企業があってそこに委託する。例えば,財務管理・知的財産管理・コールセンターなど。情報産業ではITアウトソーシングといい,ソフトウェア・ハードウェア・ネットワーク技術の開発などを手がけます。インドがこの手の世界最大のアウトソーシング受入国であることは地理で学びました。 |
|
|
16 |
新しい生産技術の導入や新しい経営方式を導入することを〔 〕という。 |
答 |
イノベーション |
|
日本語では「技術革新」と訳されます。 |
|
|
17 |
対象間における放送・通信の情報量に差があることや情報技術(IT) を使いこなせる者と使いこなせない者の間に格差が生じていることを〔 〕という。 |
答 |
デジタルディバイド |
|
「ディバイド」は「分ける・分割する」の意味。特に情報技術を使えていない,あるいは取り入れられる情報量が少ない人々の事を情報弱者ともいいます。 |
|
|
18 |
企業や自治体などが自社(地方)の製品の紹介や消費者の反応を見ることを目的として開設する店舗を〔 〕という。 |
答 |
アンテナショップ |
|
|