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イギリスで労働組合法が制定されたのは,〔 〕年のことである。 |
答 |
1871 |
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歴史で学んだように産業革命が最初におこったイギリスで,資本主義が発達し,そして最初に労働問題がおこり,労働運動が展開されてきました。(18世紀:産業革命→19世紀:資本主義・労働運動)
イギリスの主な労働運動は次の通り
1833 工場法制定…世界初一般工場労働者の保護(日本では1911年制定→1947,労働基準法)。
1838 チャーチスト運動…労働者が普通選挙権獲得を要求。
1871 労働組合法成立…労働三権の確立(日本では1946年,日本国憲法で保障)
1906 労働党成立
1924 マクドナルド労働党内閣成立→戦後,保守党との二大政党制へ |
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2 |
労働組合法には使用者の〔 〕の禁止が規定されている。 |
答 |
不当労働行為 |
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労働組合法は,労働者の労働三権を具体的に保障している法律でした。逆にいえば労働三権を認めないような使用者の行為を禁止しているわけで,このような使用者の行為を不当労働行為とよんでいます。(使用者が労働者の正当な組合活動を妨害する行為)
☆労働組合法
労働者の労働三権を保障=使用者の不当労働行為の禁止
具体的には,労働者が自主的に労働組合を結成し(団結権),使用者と対等な立場で団体交渉をおこなって労働協約を結び(団体交渉権),ストライキなどの争議行為をおこなうこと(団体行動権)を認めているんだ。
※労働協約とは,労働条件に関する労使双方による取り決めで,労使双方を拘束するものです。労働条件に関する法的拘束力の強さは,まず日本国憲法,次に労働基準法,そして労働協約(使用者と労働組合で決定),就業規則(使用者が決定),労働契約(使用者と労働者個人で決定)となります。日本国憲法>労働基準法>労働協約>就業規則>労働契約 |
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3 |
労働基準法の改正によって,現在は〔 ① 〕の深夜業禁止の規定は廃止され,〔 ② 〕未満の深夜業禁止規定だけが残っている。また労働者の解雇は〔 ③ 〕前に予告する義務や〔 ④ 〕歳未満の労働の禁止,有給休暇,性別による賃金差別の禁止などが定められている。 |
答 |
①女性 ②18 ③30 ④15 |
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労働基準法の注意点
・1週40時間,1日8時間以内(35条)
休憩時間は除く
次条の36条で,労使間協定によって時間外労働を認める。通称:36(サブロク)協定。
・労働者の解雇
30日前に予告
・有給休暇
6ヶ月間継続勤務(全労働時間の8割以上出勤)した労働者に対して,10日間の有給休暇。以後勤続年数に応じて加算。
・男女同一賃金
女性の賃金差別禁止
・最低年齢
15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで使用してはいけない。
・賃金支払いの5原則
通貨払い(現物支給の禁止),全額払い,直接払い,毎月1回以上払い,一定期日払い。
その他
・法律に規定のないもの
週休二日制,セクハラ防止規定(→男女雇用機会均等法),女子の深夜業禁止(改正後,撤廃),最低賃金の基準(→最低賃金法)
・外国人労働者
労働基準法だけでなく,すべての労働法規が適用される。
労働条件に関して法的拘束力をもつ国際条約にILO条約がありますが,日本は全条約中の4分の1しか批准しておらず,加盟国特に先進国中では非常に少ないことも頭にいれておきましょう。特に,労働時間関連,雇用形態についての条約批准に消極的な傾向があります。 |
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4 |
労働基準法の監督機関として,厚生労働省に〔 ① 〕,都道府県など地方に〔 ② 〕が設置されている。 |
答 |
①労働基準局 ②労働基準監督署 |
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労働関係調整法は,〔 ① 〕のあっせん・調停・仲裁について定められている。これらの監視・実行は〔 ② 〕が行う。 |
答 |
①労働争議 ②労働委員会 |
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憲法で団体行動権が認められている以上,労使間対立・紛争がおこることは避けては通れないはずです。そんなときの調整・解決法を示した法律も当然,前もって用意しておかなければならない。というわけで制定されたのが労働関係調整法です。
平和的解決がまず第一ですが,労使間で自主的な解決ができなかった場合,第三者機関である労働委員会が登場し,労使紛争に関して,労使双方の主張の要点を確かめて自主的な紛争解決を促す斡旋(あっせん),解決案を作成してその受諾を勧告する調停,書面による裁定を下して紛争を終結させる仲裁をおなこう。斡旋・調停・仲裁の順に手法がきつくなります。斡旋・調停では,まだ穏やかですが,仲裁になると労使双方を法的に拘束する力があるんです。
鉄道やバスなどの公益事業に従事する労働者が労働争議をおなこうときには,10日前までに予告することを定めている。だって知ってても困るけど,知らんかったらもっと困るもんね。 |
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6 |
労働者が団結して作業を放棄し,使用者に経済的打撃を与えて要求の貫徹をはかる労働争議を〔 ① 〕という。また意識的に作業能率を低下させることは〔 ② 〕という。 |
答 |
①ストライキ ②サボタージュ |
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労働者がおこなう争議の代表例に,「ストライキ」があります。労働者が労働組合の統制のもとで,集団で就業を拒否するやり方。これは昔,待遇に不満をもった水夫が船の帆を降ろした(strike sail)のが語源。
就業拒否とまではいかなくても,作業効率を低下させたり,遅延させることを「サボタージュ」といいます。「さぼる」っていうでしょ。あれは「サボる」で,フランス語の「怠ける=サボタージュ」が語源の外来語。ちなみに「サボ」とはフランスやオランダの農民が履いていた木靴のこと。産業革命後,工場労働者も愛用していたんだけれども,不満をもった労働者が機械を木靴で蹴ったり,機械の中に放り込んだりして破壊活動をおこなったことからこの語が生れた。
「ボイコット」というのもある。不買運動のことで,これはボイコットされたイギリス人貴族の名前:「ボイコット」が由来です。
いずれも使用者に経済的打撃(損害)を与えて,労働者の要求を認めさせるための行為です。 |
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7 |
労働基準法を補完する,賃金に関する法律を〔 〕という。 |
答 |
最低賃金法 |
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賃金の最低額は地域(都道府県)・職種によって異なることに注意。「最低賃金は全国一律」と書いてある文は誤文。 |
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8 |
企業が女性を積極的に採用・昇進をおこなうことを〔 〕という。 |
答 |
ポジティブアクション(アファーマティブアクション) |
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まず男女雇用機会均等法について。1997年に改正され,募集・採用・昇進・配置などで女性を差別しない規定が,努力規定(1985年,制定時)から禁止規定となりました。これによって企業が女性を積極的に採用しようとするポジティブアクション(アファーマティブアクション)が導入されていきます。クオータ制という,具体的に数や割合を決めて割り当てる方法もあります。「クオータ」とは「割り当て・分担」という意味です。
またセクハラ防止については,事業主の配慮義務が明記されたことも重要。
さらに2007年の改正では,性差別について,「女性差別」から「男女双方の差別」に拡大されたことが重要。当然,男性に対するセクハラも禁止事項として明記されただけでなく,事業主の防止義務に強化されています。さらに現在は,妊娠・出産などに関するハラスメント(マタハラ=マタニティ・ハラスメント)についても明記されるようになりました。
これまで女性労働者と男性との格差が大きかった理由に,結婚や出産・子育てにより退職する人が少なくないためでした。技能や職務が中断されやすい。応用編でみたグラフがM字型になっているのは,出産・育児と仕事の両立が難しいことを示しています。
そこで1992年,育児休業法が制定され,さらに介護休業制度を追加して,育児介護休業法となりました。労働者が育児や介護のために退職することのないようにするための制度です。
☆育児介護休業法
・1歳未満の子どもの養育のため,1年間休業を申し出ることができる。
・要介護状態にある家族の介護のため,休業を申し出ることができる。
・休業を申し出た場合,事業に損失が出る場合,事業主は賠償を求めることができない。
・パート社員・派遣社員も同様。
大切なポイントは,休業を申し出ることができるのは男女ともであること。(女性だけではない)休暇を申し出ても解雇・降格されることはないという点です。
現在,女性労働者は,労働力人口の約48%を占めるようになりましたが,その一方で女性正社員の割合は低く,多くはパートタイマーや派遣労働者となっています。また女性の管理職(部長・課長・係長)の割合は,10%を少し上回る程度で,先進国中では最低水準の低さであるのが現状です。
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9 |
企業ごとの労働組合や官公労働者の労働組合が集まってつくる日本最大の全国組織を〔 〕(日本労働組合総連合会)という。 |
答 |
連合 |
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日本の労働組合の特徴は,企業別であること。欧米諸国では産業別労働組合・職業別労働組合が一般的。
しかし労働組合は何といっても結成根拠が団結権であるだけに,労働組合員の加入人数が発言権・交渉権を拡大につながります。そこで高度経済成長期には,労働組合の全国組織が次々と結成されていきました。
高度経済成長後,石油危機やバブル崩壊などで景気が停滞すると,今度は労働条件よりも雇用そのものが当面の課題となり,労働運動自体が低迷していきます。そんな中でも組合人数を確保しようと,1987年,いくつかの全国組織が結集したのが日本労働組合総連合会(連合)でした。現在,日本最大の労働組合の全国組織ですが,労働組合の組織率(組合に加入している人の割合)自体が戦後下降傾向にあり,現在の組織率は20%未満です。
[グラフ:発展編7-1 日本国勢図会2024/25より]
大企業の組織率は以前高いのですが,日本は中小企業が中心の国,中小企業における正社員の数が減少し,非正規社員の数が増加したことが原因の1つに挙げられます。
一方,所属する企業や雇用形態に関係なく,産業・業種・職業・地域別に組織され,個人で加入する労働組合を合同労働組合(ユニオン)といいます。現在増加している非正規労働者の受け皿として活動が活発になっています。特にブラック企業・バイトが社会問題となっており,ブラックバイト・ユニオン,首都圏サラリーマンユニオン,首都圏高校生ユニオンなどが注目を浴びています。 |
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正規労働者とは異なり,期間を定めて雇用契約を結び,常勤で働く社員を〔 〕という。 |
答 |
契約社員 |
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労働者には企業の雇用形態によって,まず正規労働者(正社員)と非正規労働者に区別されます。非正規労働者にも様々な形態がありますが,これを理解するためには,正規労働者とはどんなものかを知っておく必要があります。
正規社員は,終身雇用・年功序列賃金制が絶対ではなくなっていますが,一応基本です。企業が経営危機に陥ってリストラされる可能性がありますが,原則,その会社に定年まで勤めることができます。年功序列賃金制も近年は成果主義へと移行していますが,毎月一定のお給料は安定してもらえます。それだけでなくボーナスや退職金もあります。ただし企業の就業規則で決められた時間をフルタイム働かなければなりません。
日本は企業別労働組合が特徴なので,勤めている会社の労働組合に参加することができます。また福利厚生も充実しており,会社の社会保険(医療・労災・厚生年金・雇用)に加入することができます。
非正規労働者の形態には,パートタイム労働者,契約労働者(契約社員),派遣労働者(派遣社員)があります。
・パートタイム労働者
正規労働者がフルタイム働くのに対し,その一部の時間帯(短い時間)を働く労働者です。「パート」・「アルバイト(ドイツ語で「働く」の意味)」とよんだりしますが,契約社員や派遣社員であっても,会社の労働時間よりも短い労働者はパートタイム労働者といいます。「パート」といえども正社員に近い労働時間を働けば,会社が社会保険に入れてくれます。(少ないとダメ)
・契約労働者(契約社員)
一定の期間,その企業で働く契約を結んだ労働者です。期限付きの契約を結んでいるので,途中で解雇されたり,自ら辞職することができませんが,期限が切れると次の雇用は保障されません。退職金がないことが多く,ボーナスも正社員に比べて低い。
フルタイム働くことを求められますので,会社が社会保険に加入させてくれます。
・派遣労働者(派遣社員)
契約社員は,労働者が直接,企業と契約を結びますが,派遣労働者は,労働者は派遣会社と雇用契約を結び,派遣会社が派遣先(依頼会社)に労働者を派遣します。企業が派遣会社(派遣元)に派遣料金を支払い,派遣会社(派遣元)が派遣労働者へ賃金を支払います。
契約期限が切れたあとの雇用不安という点では,契約社員と同様です。
現在は労働者の約3分の1が非正規社員となっています。賃金月額が少なく,ボーナスや退職金もないので収入が著しく低い。さらに企業の業績や景気に左右されやすく,すぐに契約を打ち切られるので生活が安定しません。
このような非正規雇用の増加の背景には,バブル崩壊後の景気の停滞。金融の自由化と外資系企業の参入とともなう企業間競争の激化により株主配当や経営者報酬などが重視され,人件費が抑制されるようになったこと。国際間競争を勝ち抜くために,規制緩和によって派遣業務の自由化が進んだこと。フレックスタイム制,裁量労働制など,多様な労働形態への対応が進んだことなどがあります。 |
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勤務時間終了後に,残業手当の支給なしに働かされることを〔 ① 〕といい,働きすぎが原因で,突然に死亡することを〔 ② 〕という。 |
答 |
①サービス残業 ②過労死 |
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定められた労働時間を勤務すれば,始業または終業時間は自由に決められる勤務制度を〔 〕制という。 |
答 |
フレックスタイム |
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新しい労働時間制
・変形労働時間制
平均労働時間が法定労働時間を超えなければ,特定の日や週に1日8時間を超えて労働させることができる。(業界によっては年末・年始やゴールデンウィークに集中して労働など)
・フレックスタイム制
労働者が出社・退社時刻を決めることができる。
・裁量労働制
労働時間を労働者の裁量に任せ,実際の労働時間にかかわらず,定められた時間だけ働いたとみなす(みなし時間)ことができる制度。仕事の成果さえ出せば,1日8時間も働かなくてもいい(5時間でできれば,それで帰ってもいい)ということ。逆に成果が出ないと残業代なしで10時間働かされることもある。
おさえておきたいのは,これらすべて労働基準法(改正)に定められているということ。逆にワークシェアリングについての法律はまだ整備されていません。(ワークシェアリング法はない)。
また連休を増やすため,国民の祝日の一部を固定日から月曜日に移動させる制度(法)をハッピーマンデー制度(法)といいます。成人の日・海の日・敬老の日・体育の日の4祝日が対象です。(祝日と祝日に挟まれた平日は祝日となるというルールもある。毎年5月4日と年によって敬老の日と秋分の日の間の日)
一方,月末最終金曜日の終業時間を早めるプレミアムフライデーは個人消費喚起キャンペーンであり,法律で定められたものではありません。 |
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性的嫌がらせによって,仕事上で不利益を与えたり,職場環境を悪化させることを〔 ① 〕といい,職場の上司が,その権限を利用して,嫌がらせをおこなうことを〔 ② 〕という。 |
答 |
①セクシャル=ハラスメント ②パワー=ハラスメント |
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外国人が正式な許可を得ないで,日本国内で働くをことを〔 〕という。 |
答 |
不法就労 |
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〔 ① 〕とは,教育・労働・職業訓練のいずれにも参加していないものをいう。また働いても貧困から抜け出せない就業者を〔 ② 〕という。 |
答 |
①ニート ②ワーキングプア |
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「フリーター」という言葉がありますが,フリーターは非正規労働者と正規・非正規を問わず職を探している人を合わせた言葉です。社会とのつながりをもつ点や働こうとする意欲がある点で「ニート」とは異なります。
「ニート」は「NEET=Not in Education,Employment or Training」の頭文字をとった言葉。学校にもいっておらず,就職もしておらず,職業訓練も受けていない人を指します。 |
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